表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
テスト×眼鏡×弁当編
55/63

あり得ない!







テストが終わってちょうど一週間。

干からびた大根のように生気の抜けた生徒たちは復活し、テストの結果を今や遅しと待っている。採点を終えたばかりの教師陣は干からびたゴボウのように満身創痍で、渡り廊下にやって来た。

テストの結果が廊下に張り出される。


勝敗は決した。


人事を尽くして天命を待つ。

あとは結果を受け入れるだけ。望む結果であろうがなかろうが、受け入れるしかない。

……ないのだが。


「こんな結果、間違っている!!」


相馬は叫んだ。その顔には驚愕がありありと浮かんでいる。



二位 二階堂静


二位 相馬颯



お気づきだろうか?俺たちは引き分けた。この際、勝負の事は置いて置いて、ならば一位は誰なのか。


「当然の結果ですね」


不敵な笑みで堂々と頂点に座すのは。



一位 天野ユエル



……こんな結末を誰が予測出来ただろう。





*****





「あいつと同点だと?しかも、この僕が二位?何かの手違いに決まってる。あり得ない。こんな結果、絶対に認めない!!」

順位表の前に立ち尽くし、あり得ない、認めない、と相馬はうわ言のように繰り返す。勝負の行方を見届けにきたギャラリーはその異常さに、見てはいけないものを見てしまったというように、この場を立ち去っていった。

この場を立ち去っただけで、離れたところから様子を伺っているのが、隠れきれていないいくつもの頭部から見てとれる。

廊下に残ったのは相馬に俺、天野さんといつものメンバーだ。


「僕が人間ごときのテストで間違えるはずがないでしょう。ただの人間にしては頑張ったかもしれませんが、僕に勝とうなんて百億年早いですね。こんなくだらない勝負に青葉さんを巻き込んで、ただで済むと思ったら大間違いです。精々覚悟しておくんですね」

打ちひしがれる相馬に追い打ちをかけるように、天野さんはのたまった。冷え冷えとした目で相馬を睨み、俺を睨む。……あれ?ただで済まないってテストで負かす以上になんかあんの?てか、俺もただじゃ済まないの?

おもむろに天野さんはくるりと振り返った。

「青葉さん!僕が一番です。ば階堂よりよっぽど賢いんですよ。どうですか?惚れ直すでしょう?」

文楽人形のようにくるりと表情を変え、天野さんはとびっきりの笑顔で言った。この変わり身の早さはもはやお家芸と言ってもいいだろう。

ここで黙っていなかったのは相馬……ではなく女子三人だった。

「天野さん。その言葉遣いは間違ってますわ。惚れ直すというのは、惚れていることが前提ですのよ」

「仮にも一位を取ったなら、そういうところもきちんとしてもらわないとね」

「まあ、テストの点数が良くたって、頭が良いとは限らないけど」

と言って、最後に井上さんがちらりと俺を見た。

女三人かしいましい。恋する美少女四人も寄れば大戦争。背景には吹雪が吹き荒れ、雷が轟いている。なんだかんだ女子同士仲良くやっていると思っていたが、彼女らの矛はまったく鈍っていないないらしい。

青葉は得意の困り顔に苦笑を張り付け、岡倉は喧嘩を止めようとおろおろしている。……お前には無理だ。諦めろ。

「見苦しい真似はやめたらどうですか。テストの点数が劣っている時点であなた方が何を言ったところで負け犬の遠吠えに過ぎません。何かひとつでも僕に勝ってから言うんですね。万が一にもあり得ませんが」

天野さんは鼻で嗤う。歯牙にもかけない天野さんの居丈高な物言いにかち切れたのは女子三人……ではなく相馬だった。


「うるさいうるさいうるさい!黙れ!!」


……やっべ。普段通り過ぎる女子たちのせいで、相馬の存在忘れてた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ