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フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
テスト×眼鏡×弁当編
51/63

タノシイベンキョウカイノハジマリ…

前回投稿した『見落とし…』の前にこちらを入れました。

続きから読んでくださっている方はこちらから読んでいただけると助かります。




「なんて分かりやすい弱点なんでしょう」

大野さんは頭に手を当てて大げさにため息をついた。井上さんも藤木さんも同意と言わんばかりにうんうんと頷く。

「……あんたニュースとか見てる?」

「二階堂って確かに情緒とか分からなさそうだよねぇ」


「現代文の文章問題、社会の時事問題は壊滅。それ以外はほぼ完璧。たまにケアレスミスもありますが、見直しすれば問題ない範疇。……はあ。重点を置く場所が限られていてこちらとしては助かりますが」

「ば階堂ですからね。天性の馬鹿は何度死んだところで治るものではありません」

そうなんだ。馬鹿って死んでも治らないんだな。頭良くなったはずなのに馬鹿にされる俺って一体……。って、こら!青葉!こっそり笑ってんじゃねえぞ!

とりあえず腹いせに、青葉の頭を小突いておいた。そうしたら女子四人からそれぞれ十倍返しされた。



勉強会を開くとなった時点でこういう展開は予測出来ていた。

弱点とか改めて言われなくても、何がだめだったかなんて、自分で分かる。基本的に勉強とか興味ないし、赤点取らなきゃ万事オッケーのスタンスでやってきていたため、成績が上がると恋も成就しちゃうよ(キラッ)な通信教育に頼った事もない。……ん?待てよ。恋がうまくいくのか!?しくった〜!やっとけば良かった。そうすれば俺にも小冊子に描かれた漫画のような彼女が今頃……。いや。さすがにそれはないな。

苦手を放置してきた所で問題なかったわけだ。

しかし、ここまできて突かれる日が来ようとは。しかも美少女に。天野さんはなんか確信ついてくるし。確かに一回死んでますが。いや、成績めちゃくちゃ良くなったんですよ?才色兼備なイケメンに生まれ変わったんですよ?

なのに、この扱い。解せぬ。





俺ん家のリビングにて、四角いテーブルを囲うように座る。

俺の右隣に青葉。向かいに大野さん、佐々木さん、井上さん。青葉と大野さんが挟んだ面、いわゆるお誕生日席に天野さんが一人で座っている。

席順に文句はない。美少女の顔が良く見れるこの位置にどんな不満があるというのだろう。多少距離が遠くとも教えてもらう分に不便はない。

大人数な時点で、放課後の勉強会から生まれるラブロマンスなど期待していない。


言われた通り前回のテストの解答用紙を提出し、どこを重点的に抑えていくか確認した訳だが、ものの数分で対策箇所は決まった。

大野さんらは呆れつつ、投げ出すようなことはしない。何と言っても青葉の弁当の命運がかかっているのだ。俺だけの話ならばそもそもこんな状況にはなっていない。




「時事問題なら出そうなところまとめてきたよ。まあ、普段からニュースとか新聞見てれば出来ないはずないんだけどね」

そう言って藤木さんはノートを取り出した。ん、と渡されたのでありがたく受け取る。ぱらぱらとめくってみると、中にはびっしりと書き込まれていた。前世の俺だったら、文字の魔力で脳みそをやられていたところだが、この優秀な脳みそはぺらっとめくっただけでもきちんと情報として入ってくる。丁寧な字で時系列、テーマ別にまとめられ、ものすごく分かりやすい。

さすが特進クラスなだけはある。お忘れの方も多いかもしれないが、彼女らは紛うことなき才色兼備なのだ。

俺が感心していると、井上さんが勢いよく反論した。

「それは言い過ぎだよ〜。あたしも朝のニュースをちょっぴり見るだけだし。いつもはテスト前にネットで最近のニュースを遡ってるよ。美和子ちゃんレベルはそうそういないって」

「ファッション雑誌の代わりに経済新聞をきらきらした目で見る女子高生の普段を一緒にしてもらっては困りますわ」

「枕草子を愛読書にしてるあんたには言われたくないけどね」

「あ、あたしだって、えっと……!」

ばちばちと火花を散らす二人と張り合おうとする井上さん。……それは無謀というものだ。猛獣の足元をぴょこぴょことうさぎが跳ねているようにしか見えない。

この二人は息をするように嫌味を言い合うからな。見てるこっちがハラハラするというか。そんな二人を諌めるのは他でもない青葉だ。

「僕も新聞はあまり読まないなあ。これだけ細かく書いてるなんてすごいよ藤木さん」

俺がぱらぱらとめくっていたノートを横から見ていた青葉は目を輝かせて賞賛の眼差しを送る。すると藤木さんは頬を染めて口をつぐんだ。

「それぐらい僕にもできます!」

という天野さんの言葉は無視して青葉は続けた。

「大野さんは現代文も古文も得意だったよね。得意な二人を中心に勉強を進めていこう。大野さんと藤木さんには負担をかけることになっちゃうけど。……あんまり役に立てなくてごめん」

申し訳なさそうに眉尻を下げる青葉に大野さんと藤木さんはぶんぶんと首を横に振った。

「青葉くんが謝るような事は一つもありませんわ!これは二階堂のせいですもの!」

「そうだよ!二階堂が馬鹿なせいでこんなことになったんだから!」

テーブルから乗り出さんばかりの勢いで俺を罵る息ぴったりな二人。仲が良いのか悪いのか……。井上さんも天野さんも一緒にうんうん頷いている。

青葉を擁護しつつ俺を貶す時の女子陣の結託感は半端ない。


なーんて、のんきな思考に浸っていた俺をどついてやりたい。


俺は教えられる立場だったのだ。それはつまりしごかれるということ。

なぜ、彼女らは青葉の前でも猫を被らないのか。俺に対する態度も青葉に見られてるんだぞ?もうちょっと……はだいぶ控えめな表現だが、もうちょっとだけ俺に優しくしてくれてもばちは当たらないと思う。


さあ、楽しい楽しい勉強会の始まりだ。

俺の屍は優しい青葉が拾ってくれるだろう。




たいへんお待たせした上に、順序がおかしなことになってしまい申し訳ございません。

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