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フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
テスト×眼鏡×弁当編
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日陰の頂点…




前回のテスト


『やっぱ、二階堂くんってすごいよな。学年三位だぜ』

『スポーツ万能で、勉強も出来る、ルックスも満点。男の俺から見てもかっくいいわ』

『なのに偉ぶってないから、好感が持てるんだよな。どっしりしてるっていうか、命を預けてもいいっていうか』

『もう、憧れじゃなくて崇拝だね。ちなみに俺は二階堂教に入信した』

『あ、俺も!』

『俺も、俺も!』

『なんだ、お前らもか!じゃあ、全員じゃーん!』

『『あはははは〜〜』』




廊下に貼り出された順位表の前では、生徒達が一喜一憂している。

努力が報われた者。散々な結果に終わった者。赤点を免れた者。

テストとは自身との闘いだ。己を研鑽し、高みを目指す。それでも、こうして順位をつけられてしまえば、気になるのが人の性。

たとえ井の中の蛙だとしても、誰それより順位が良いとか悪いとか、気にしてしまうものなのだ。

自身の順位を確認し、次に注目されるのは、一番上に書いてある名前だろう。

敵う、敵わない、関係なく、頂点とはどんな理由があろうとも注目される立場である。

けれど、生徒達の目は一位ではなく三位の者の名前に釘付けだった。


三位 二階堂静


その名を知らない者は城西学園にはいない。

容姿、頭脳、家柄、三拍子揃って文句なし、おまけに運動神経抜群の超ハイスペック男子を本人は自負しているが、クラスの女子を除いて概ね、全校生徒の共通認識だ。

行動一つとっても、注目されない訳がなく、ファンクラブどころか勝手に宗教まで開かれていたりする。

進学校のテストで余裕の三位は努力を嫌う現代の若者にしてみれば最高にカッコよく映ることだろう。


だからこそ。静が気に入らない人間もいるわけで。


学校中が二階堂静をもてはやす中、強烈な光の中に埋没した相馬颯(本来の一位)は、屈辱にほぞを噛んだ。






「どいつもこいつも二階堂二階堂!何が二階堂教だ!一位は僕なのに!前回も前々回もそうだし、もっと言えば新入生代表も僕だった。中学時代はずっと生徒会長を務めたし、告白されたのだって一度や二度じゃない!僕は何一つ、あいつに劣ってないのに、注目されるのは二階堂静。こんなのおかしい!間違っている!」

颯はトイレに備え付けられた鏡に向かって叫んだ。一気に捲し立てたため息が上がり、髪も乱れた。

落ち着くために髪をなで付けると、角度をつけて鏡にキメ顔を映す。

「大丈夫だ。今日も決まってる」


一旦冷静になったところで、自身の行動を振り返り今度はため息が出てきた。

「僕はあんな注目のされ方したかったわけじゃないのに……」

いきなりキレて、退室。クラスメイトは意味が分からないだろうし、悪目立ちもいいところだ。それでも積もりに積もった不満が爆発して、ほんの少しすっきりした。だから後悔はしていない。

クラスメイトが必死になって勉強している中、一人だけ余裕綽々に机に頬杖ついて、高みの見物。周りの人間を馬鹿にしているとしか思えないその態度が我慢ならなかったのだ。


「そうだよなあ。あいつばっかりもてはやされるのはおかしいよなあ。お前はこーんなに努力してるのに誰にも認められないなんて」


「そうだ。僕の方が偉いんだ。僕はみんなに讃えられて然るべきなんだ」

なのに、どいつもこいつも二階堂静ばかり褒めそやす。学年一位は颯なのに眼中にもない。


「あいつさえいなければ、お前は誰もが認める一番なのになあ」


そうだ。あいつさえいなければ僕はもっと注目される。あいつさえいなければ……。


「…………え?」

颯はふと我に帰る。鏡には夢から覚めたばかりのようにぼけっとした自分がいるだけだ。

「僕、誰かと話してた?」

でも、そんなはずはない。別校舎の中でも端の方にあるこのトイレを使う者はほとんどいない。移動教室のついでに利用される程度だ。ここももっぱら特進クラス専用でクラスメイトは今も教室で自習している。

「気のせいか……?」

それで済ますにはなんだか胸がもやもやする。けれど、すぐに別のことで頭がいっぱいになった。

「どうやって教室に戻ろう……」

授業はまだ残っている。このまま帰るなんて選択肢、颯にはありえない。何より勉強道具を教室に置きっぱなしだ。

それならいっそ。このままでは終わらない。

「二階堂静、覚悟しておけ。お前の独裁も今日限りだ」


その頃、教室で静が颯は便秘発言をしていた事を颯は当然知る由もない。

半開きになっていた扉の隙間から黒い影がするりと出て行った事にも颯は気づかなかった。









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