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映像は語る… 中編

走者は次々と障害を突破していく。精神を削られようと、悶絶ものの羞恥心を駆り立てられようとも、仲間に応援され、全校生徒に期待されれば、やらねばという気持ちが芽生えるのだ。

オオトリなだけあって配分点は高い。一位には他の競技の二倍以上のポイントが加算されるため、総合優勝したければここが踏ん張りどころである。

その分、走者は周囲のプレッシャーから逃げるわけにもいかず、もうゴールめがけて邁進するしかなかったりする。


しかし、ほとんどの者がやるしかないとやけくそに走っている中でひとり、そういった事情とは関係なくこの競技に全身全霊をかけているものがいた。

誰もが羞恥心から尻込みし、躊躇する中、真っ先に着ぐるみを着てぴょんぴょんとまさしくウサギのように跳ねていった彼女だ。


浅間美結は今、りんごジュースを三杯飲み干した所だった。けれど判定は不正解。残る二杯のどちらかが正解であるのは確かだが、匂いを嗅ぐだけで胃の奥がせりあがりそうになる。


「おおーっと!一位通過の浅間さんまたしても不正解です!この間に再び最下位に順位を落としていた青葉くんが追い上げてきました!りんごジュース品種当てクイズ未だに正解者を出していません!」

りんごジュース品種当てクイズ。用意されたコップの中にはそれぞれ、ふじ、紅玉、王林、ジョナゴールド、世界一の五種類の品種から絞られた果汁百パーセントのジュースが並々入っており、指定された品種のコップを全て飲み干せばクリアという、渇いた喉を潤す走者に嬉しい競技になっている。……わけもなく。

コップ一杯にはおよそ一缶分、三百五十ミリリットルが入っており、一杯目で正解すればまだしも間違えるごとに二杯目三杯目と当然のごとく飲まなければならない量が増えていく地味にきつい障害となっている。

「浅間さんここでギブアップか!?……と思ったら何やら青葉くんに宣戦布告している様子です!声が聞こえないため、定かではありませんが、何やら勝負を持ちかけたようです。一方的に言い終えた後、なんと四杯目に続いて五杯目まで一気に飲み干してしまいました!!浅間さんは自動的にこのステージはクリアとなります!」

一方的に宣言された青葉と言えばぽかんと彼女のへろへろの後ろ姿を見送り、困ったように眉尻を下げて笑ったかと思うと、五つ並んだりんごジュースに改めて向き合った。一つづつ舐めるように味見をしている間に続々とライバルが抜けていく中、選び抜いたそのコップを一気飲みする。そして実行委員に判定をあおいだ。

「なんと!!青葉くん一発で正解をたたき出しました!!正直りんごジュースで品種当てとか無理じゃね?ほとんど運ゲーじゃね?とか思ってた私ですが彼の味覚には舌を巻いて……」


彼女がなんと言ったのか。撮影者は正確に読み取ったらしい。

「わ、た、し、が、かっ、た、ら、……。私が勝ったら青葉くんのお弁当、私にも作って。……あいつも青葉狙いだったのか。負けんなよ、青葉」

独り言はけれど、しっかりとビデオに録音されていた。


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