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お弁当の後は…




「二人ともー、もうすぐ昼休み終わるよー」

そう言って青葉が手を振っている。すでに片付け終わったらしく、準備は万端だ。

「あっ!片付け手伝えなくてごめん!」

藤木さんは木刀をおろして慌てて青葉たちの元へ戻る。そんな藤木さんを美少女たちが労った。

「ううん!美和子ちゃんは頑張ったよ!」

「そうですわ。必要な片付けはひとつではないのですから」

「まったくです。それにしてもゴキブリ並みの逃げ足の速さでしたね」

「美和子先輩かっこよかったです!」

どうしよう。俺に対する悪意しか感じない。天野さんにいたっては人類の天敵である奴らの名を伏せ字にすらしないという……。

「じゃあ、グラウンドに戻ろうか。樹里はどうする?まだ見学してく?それとも帰る?」

「ううーん。せっかくだし最後まで見てくよ。お兄ちゃんの活躍まだ見てないし」

「…………そう。人がいっぱいいるから気をつけてね。怪我しないようにね」

兄弟は和気あいあいと、美少女たちは俺の悪口に花を咲かせて盛り上がっている。

もはや突っ込みすらもらえない俺の扱いって……。

藤木さんの後ろからのこのこ戻った俺は誰にも相手してもらえず、涙腺は決壊寸前だ。

そんな俺の肩を誰かがぽんとたたく。のっそりと振り返るとそこには岡倉がいた。気絶から復活していたらしい。

ちょっと前までおどおどびくびくと俺に接していた岡倉が今ではこんなに親しくなった。その目におおいに同情を含んでいようが俺は心の中で声を大にしてこう言おう。

おお、心の友よ!







樹里ちゃんは観覧者席の方に行き、井上さんは自身の団へと戻った。俺たちも自分たちの団の席に座り、体育祭午後の部が始まった。


残る競技はあと四つ。

まず初っ端は各団の有志による応援合戦だ。毎年のことだがどこの団も胃もたれ必至の凝りようでなかなかに見応えがあった。

テーマは様々だが、学ランを着ての正統派だったり、ポンポンを使った本格的なチアだったり、変わり種ではオタ芸を駆使してきた団もある。

ちなみに俺らのところは太鼓の音に合わせて空手の型と組み体操と人文字をやっていた。細々説明すんのはめんどいから頑張って想像してくれ。


続いて、三学年男女混合選抜リレー。各学年から男女共に三人づつ選出され、トラックをひとり半周し、計九周で勝敗が決まる。メンツは四月の始めに行った体力測定の結果をもとに上から順に強制的に選ばれるため、拒否権はほとんどない。それゆえ城西学園の俊足頂上決戦と言っても過言ではないだろう。

この競技には俺も出るが、特進クラスからは他に大野さんと藤木さんもメンバーに入っている。文武両道、眉目秀麗とはまさしく彼女たちのためにあるに違いない。にしても大野さんは意外だったな。藤木さんの足の速さはすでに実感しているが大野さんは普段、動作は楚々としているため運動出来るイメージがなかった。

しかし、大野さんは藤木さんに負けず劣らず素晴らしい走りを見せてくれた。

結果は言わずもがな。俺たちが華々しく一位を飾った。


そしてトリの前に棒倒しだ。

棒倒しは単純に相手チームの棒を先に倒せば勝利となるのだが、そこは城西学園。様々な戦略が練られ一筋縄ではいかない競技となっている。

男子の部と女子の部があり、なかなか白熱する競技のひとつだ。これには岡倉と天野さんが参加した。岡倉にはなぜ参加したとしか言いようがなく、天野さんは青葉にいいとこ見せようととんでもなく張り切り、体育祭を大いに盛り上げていた。

美少女がゴリラに見える錯覚に陥ったのは俺だけではないはずだ。


これで残すところは最後の一つとなった。

花形競技は多々あれど、城西学園でこれに叶うものはない。

その名も多目的リレー。

なんのこっちゃと思うかもしれないが、名前からは想像もつかない競技者にとっては過酷なリレーとなる。

そう、青葉が出場することになったのはこの競技だ。ちらりと隣を見ると、若干目が死んでいた。準備に時間がかかるため、ここで最後の休憩に入るが、いっそ逃げてしまおうかと考えているのがありありと分かる。

「……まあ。頑張れ」

岡倉がしたように俺も青葉の肩をぽんとたたいてやった。青葉は泣きそうな目を俺に向けて「ありがとう」と弱々しく微笑んだ。


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