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青葉の弁当は天竺にあるに違いない…




この背筋がムズムズする感じをどうしてくれよう。青葉のセリフは一般高校生男子には恥ずかしすぎる。なんでこんな平然としていられるんだ?そんな晴れ晴れとした笑みを浮かべなくていいからもっと羞恥心を持てよ!……いや、今青葉に恥じらわれたら発狂するわ。もうほんと恥ずか死ねる。全身掻き毟りたいぐらいだがいくら俺とてそういうわけにもいかず無言で悶えていると来た道の方から声が聞こえてきた。


「青葉さ〜ん!一緒にお昼食べましょう〜!」

ま、まぶしいっ!白いシャツと長い黒髪のコントラスト。太陽の光に弾ける笑み。

効果音にあははーとかうふふーとか聞こえてきそうな感じで体操服姿の美少女が手を振りながらこちらに駆け寄って来る。

まさか、俺を追って…!?……なんてこともなく。ばっちり青葉の名前を呼んでいた。

…なんだ天野さんか。と思ったらその後ろにいつものメンバーが続いていた。

「やっぱり天野さんに着いてきて正解でしたわね」

「さすが天野さん。青葉くんに関しては犬並みの嗅覚だね」

「ちょっと二階堂!青葉くんを勝手に連れて行くってどういう了見なのよ!」

「ま、待って〜〜!」

大野さん、藤木さん、岡倉に井上さんまでいる。

なんでここが分かったんだろう。って天野さんですよねー。犬並みの嗅覚で嗅ぎつけてきたんですよねー。

…正直、青葉に対するその執念が怖い。

そんな青葉は呑気なもので「よくここが分かったね」なんて普通に対応している。

「もちろんです!青葉さんがいるところ火の中水の中、地獄の底だって探し当ててみせます!」

「そういえば、どうしていきなり走り出したの?」

と、青葉が今さらながらに疑問に思ったようで首を傾げる。当然天野さんのセリフは華麗にスルーだ。

「まさか青葉くんをひとりじめにしようとしたわけじゃありませんよね?」

と笑顔の大野さん。やばい。黒いオーラが見える。そうだと答えたら闇討ちされかねない気迫を感じる。だがしかーし!今回の俺には立派な大義名分があるのだ!

「お前ら俺に感謝しろよ。あのまま青葉が捕まってたら『一緒に弁当』どころじゃなかったぞ」

その言葉に四人の美少女ははっとしてなにがしに気づいたようだ。天野さんはさっきの喜びようから一転顔を真っ青にしてぶるぶると震え始めた。その怯えようを見るに早速洗礼を受けていたようだ。

「そっか…。あそこには先輩とかもいたもんね…」

「……まあ、今回は二階堂にしてはよくやったのかな」

そうだろう。そうだろう。あの場にいては猛獣の群れにリボンを結んだ子ウサギを差し出すようなものだ。とうとう俺も美少女に褒め称えられる日が……!

……けど、なんでそんなに悔しげなわけ?井上さん。そんな唇を噛み締めなくても。藤木さんもほら、握り拳を作らないでさ。大野さ〜ん。その笑顔は怖いです。

青葉と岡倉が分かってない感じでどうしたんだろうねって見交わしてるのがなんか腹立つ。

なんだろう。この虚しさ。考えちゃいけないんだろうな。うん。


「腹減った!飯食うぞ!」

まともに付き合ってたら俺の繊細なハートにひびが入ってしまう。とっとと切り替えて青葉の弁当を食べるに限る。


と、弁当を広げるのに適当な場所を探そうとし始めたところに新たな闖入者が現れた。


「あ、こんなところにいた!!もう、すっごい探したんだからね!待っててくれてもいいのに、お兄ちゃんのバカ!」



見たことのない少女が頭に葉っぱをくっつけてプンスカと怒りながらやって来た。

……へっ?オニイチャン?

青葉の弁当にありつくにはいつだって一波乱も二波乱もあるらしい。

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