とある少女の考察…?
説明過多です。
二階堂と青葉以外で初の一人称。
……誰ですか?
我が城西学園にも体育祭の季節がやってまいりました。
体育祭と言えば秋!というイメージがありますが城西学園では梅雨入り間近のこの時期に開かれます。
二年B組も体育祭とあって皆さん浮かれてますね。女子は細かな身だしなみまで念入りに、男子までもが前髪をいじってそわそわとしています。
普通の高校ですと“体育祭マジだり〜”状態に陥りがちですが城西学園ではそんなものとは無縁です。
なぜかと言えば、特進クラスの方々との合同チームになるからです!
はっ?特進クラス?ガリ勉くんとメガネちゃんの寄せ集めクラスでしょ?と思ったそこのあなた!!
城西学園の特進クラスは一味違うんです。
成績優秀者というところは変わりませんがそのお姿までもが優秀なんです。
つまり!全員が美形!
そのレベルも半端なくて私なんぞが直視しようものなら眩しすぎて目が潰れてしまいます。
上から順に選んだはずなのにどうして美形が集まるかは教師が頭を悩ましても解明出来ない謎として学校七不思議に数えられていたりもします。
はい?私は誰かって?ふふふっ。箸にも棒にも引っかからない、名もなき一般人ですのでどうぞお気に召されず。
と、自己紹介はこれぐらいにして、その特進クラスの方々が今日この教室にいらっしゃるんです。
特進クラスの皆さんは普段、別校舎で授業を受けていらっしゃいます。体育やどうしても授業で専用の教室を使う時に移動する際も他クラスが騒がないように鉢合わせしたり覗きに来れないよう上手いこと組んであるのでおいそれと特進クラスの方々のお姿を拝見することが出来ないようになっています。
食堂、果ては校門まで分ける徹底ぶりはどうかと思いますが、ここに至るまでにいくつもの苦難があったのでしょう。
というわけで、体育祭は特進クラスの方々のお姿を間近で拝めるひっじょ〜〜に貴重な機会なんです。
ご理解いただけましたか?
先ほどまで騒がしかったクラスがピタリと静まります。
この時点では特進クラスのどなたがこのクラスにいらっしゃるかは分かりません。けれど、どなたが来ても外れがないという所が特進クラスのすごいところでして……。
ドアの磨りガラスの部分に人の影が映ります。コンコンというノックの後に「失礼します」という声が続きました。
いらっしゃいました!
引き戸が開いてお一人目が姿を現しました!
一つに括った黒髪をなびかせて颯爽と入って来たのは藤木美和子さん。
お家が剣道の道場らしく藤木さん自身も嗜んでいるようです。その腕前は全国に行くレベルで凛々しい袴姿は男子どころか女子まで魅了します。
続いて入っていらしたのは大野サラサさん。楚々とした立ち振る舞いは華道の家元の跡継ぎとだけあって品が漂ってきます。西洋のお姫様のような縦ロールはフランス生まれのお母様の影響らしいですよ。
三人目のお方は岡倉雅人くん。すらりとした高身長のモデルのような美人さんです。もちろん男の子なんですが色白でまつ毛も長くて彼の隣に並びたいと思う女の子は稀でしょう。岡倉くんも同性にモテるタイプですね。
この時点でB組のみんなは魂半分抜けてます。彼らは特進クラスの中でも更に人気のある方々です。
二年生の特進クラスは歴代最高峰とすでに評判になっています。ファンクラブの規模もちょっとしたアイドル並みで誰でも好きな方のファンクラブに入れますよ。
いくつでも掛け持ちオーケーで他校の方でも自由に入会出来ます。なので皆さんもどうですか?
ちなみに私は全てのファンクラブに属しています。
先ほどの情報もファンクラブに共通の知識であってストーキングしたわけではありませんのであしからず。
さて残りお三方ですね。
ちょっと不機嫌そうに登場したのは天野ユエルさん。すでに伝説を築き上げた桁違いの美少女です。彼女に関してはまだまだ謎な部分が多くいろんな噂が飛び交っています。その中でも有名なのが……。
彼女の背を押して苦笑いしながら入ってきた青葉浩一くん。一見平凡な彼なんですが、私の見立てですと彼が一番平凡とはかけ離れています。天野さんの噂というのも彼を追って転校してきたとか。特進クラスの美少女たちの中心にいるのが彼ですね。のほほんとした微笑みの下に一体どれほどの魔性を隠し持っているのでしょうか。平凡と言いましても普通のクラスでしたら中の上以上の顔面レベルなんですよ。周りの方々が美形すぎるだけなので。何というか物語の主人公タイプですね。
それで!なにが一番すごいかといえば!青葉くんのすごさはこれだけじゃありません。
ああ。やっぱりですね。彼の後から我が教室に入ってきたのは城西きってのカリスマ性を誇る別格の存在二階堂静くん。世が世なら彼は王様だったとか。神をその身に宿しているだとか。常に美女をはべらしているだとか。彼も噂話に事欠きません。そのお姿を拝めただけで運気は上がるそうで男子は勝手に二階堂教なるものを作って崇め奉っているようです。
才色兼備で文武両道、家もお金持ちとくればそりゃあ女子が目の色変えて群がるところなん、です、が、二階堂くんはなんと言いましょう。威厳?風格?どことなく近寄りがたい感じがするんですよね。庶民が気軽によう!とか言って肩を叩こうものなら即投獄されそうな。
いくら校舎が別でなるべく接する機会を減らそうとしたって会おうと思えばいくらだって彼らのもとに行くことは出来るんです。
入学したての新一年生は初っ端から規制がかかりますがそれほどなのかと逆に好奇心を刺激されて別校舎に殺到します。そこに便乗して上の学年もちゃっかり押しかけたりするんですが。
教師、生徒会、ファンクラブによってあらかたの統制は図られますが完璧とは言えません。
体育祭もそうですが学校行事の際はその垣根も取り払われて特進クラスの皆さんと接する機会は以外と多いわけです。
アイドルでたとえると普段やってるのが追っかけ、体育祭などがアイドルと間近で触れ合える公式行事ってところですかね。
それで。何が言いたいかと言いますと。運が良ければ特進クラスのどなたかと仲良く出来るチャンスは多々あるんです。まあ、そこは人間性によるものが大きいですが。
そんな中、二階堂くんはどなたとも馴れ合うことはありませんでした。それどころか特進クラスの中でも特別親しい人はいないように見受けました。まさに孤高の一匹狼。その英才故の孤独……。
えっ?それってただのぼっちじゃん。
とか思いませんでした?違いますからね。凡人が天才を理解できないように天才は凡人を理解できないんです!
とまあ、長々と語りましたが私自身、二階堂くんに対してそこまでの興味なかったんですよね。
確かに完璧な仮面の下にどんな本性を隠しているのか気になるところではあるんですが二階堂くんより見つめていたい人がいたんです。
私、何を隠そう人間観察が趣味でして。特に注目してたのが一見平凡な中に非凡を隠し持ってそうな青葉くんでした。
まあ、容姿云々の前に特進クラスにいるって時点でものすごく頭がいいんですけどね。私が言うのもなんですが城西ってすっごく偏差値高いんですよ。
彼はギャルゲーの主人公のごとくなみいる美少女たちを陥落させていきました。
入学してからこの一年ちょっとで世の男子果ては一部の女子まで羨みそうなハーレムを築き上げたのです。
それだけ言うと良いイメージは湧かないんですがテンプレ通りの超鈍感を装備してますから皆さんいいお友達状態です。
で、ここからが本題です!
じゃあ、今までのはなんだったんだ?ですって?やだなあ。前座ですよ、前座。
二学年に進学してからなんと青葉くんは二階堂くんまで攻略したようなんです!
目撃談によりますと、一緒にいる姿をよく見るだとか、いつもは彫像のようなお顔に輝かんばかりの笑みを浮かべて青葉くんを見つめていたとか。この間は自宅デートの約束を取り付けていただとか。
これはもうあれでしょう!?
孤高の彼にそっと寄り添う野辺の花。硬く閉ざされていた心が陽だまりの笑顔に溶けて……。
そうしていつしか二人は……キャアアー〜〜!!
なんです!!ええーと。ハンカチ、ハンカチはっと。あ、あった。失礼。ちょっと鼻血が垂れてきたもので。
なるほど。と思ったあなたは同志ですね!!
……とまあ。彼らの辿る未来を生暖かく見守っているわけでして。
そんな彼らが我がクラスに一堂を会しました。
相思相愛?の青葉くんと二階堂くん。青葉くんのハーレム要員の天野さん、藤木さん、大野さん。そして新たなライバル岡倉くん。
今年の体育祭は色んなドラマがありそうで私、今からとっても楽しみです。
でも……。
私も人のこと言えませんが皆大丈夫でしょうか?鼻血を噴いてる人が数人。失神してる人がちらほら。
今から競技決めなんですが……。




