体育祭、始まります!?
話がらっと変わります。
「……再来週の土曜日は体育祭だ。よって、組分けを決めるぞー。後は委員長、頼んだ」
近藤はあくびを噛み殺しさっさと自分の席に腰を下ろす。その代わりに立ち上がった三木が黒板の前に立った。
「今年も面倒な行事の一つがやってきました。面倒なので組分けもさっさと決めて早く帰りたいです」
……おーい。願望が漏れてますよー。
と、心の中で突っ込んでみるもののこういうやつだから仕方ない。
俺たちが通ってる城西学園の体育祭の組分けは少々変わっている。
A組からF組を学年で縦に割るのは大抵の高校と同じだが特進クラスの扱いは別になっている。
クラス内で六つに割りA組からF組にそれぞれ属することになる。
というのも特進クラスは普段、別校舎に隔離され他クラスとの交流が極端に少ない。こんな時ばかりは分け隔てなく仲良くしようじゃないかと見せかけて更なる混乱を避けるための建前だ。
美形が集まり始めて数年は特進クラスの組分けも存在したという。しかし勝負にならなかったらしい。
特進クラスの勇姿に見とれて自身の競技を放棄するものが多数。
勉強だけでなく身体能力が優れたものも多かったため圧倒的大差をつけて特進クラスが勝利。
教師的にこれはまずいと思ったらしい。
特進クラスを各組分けに分割することによって生徒達の視線を拡散し、自分たちの組分けに特進クラスがいるから負けられないと指揮向上を図った。
そんな教師の目論見は功を奏することとなる。
よって毎年の恒例になった組分けは特進クラスにとっては憂鬱な行事の一つだったりする。
ちょっとでも鬱屈する気持ちが晴れるようにとせめて好きに分かれようということで毎回決めているのだが……。
「じゃあ、六人組を十分以内に作って下さい。その際の注意事項は男子三人、女子三人で組むこと。あと、二階堂くんと青葉くんは同じ組になるように」
三木の言葉に俺が反応するより前に天野さんが声を上げる。
「なんで青葉さんがこんなクズ男と組まなくちゃならないんですか!?」
そう言って天野さんは憎々しげに俺を睨む。
昨日最後まで残っていた青葉を送った際に二人きりになったことを未だ根に持っているらしい。天野さんが朝の時点で問い詰めて青葉がぽろっともらしてしまった。
確かにわざわざ注意事項として言ってきたのは謎だが最初から組むつもりでいたから俺に異論はない。
「安全措置です。以上。では組分けを開始してください」
三木は取り付く島もなくタイマーをセットする。制限時間は十分。全員が慌ただしく席を立ち一気に騒がしくなる。
「ちょっと!話はまだ…!」
「ユエル。僕たちと組もう?」
更に文句を言おうとしていた天野さんに青葉がすかさず声をかける。いつものように含みのない笑顔を向けられて天野さんもわずかばかり溜飲が下がったらしい。
苦々しくわかりましたと言ってもう一度だけ俺に鋭い一瞥を寄越してそっぽを向いてしまった。
……はあ。俺に屈託ない笑みを向けてくれる優しい子はいないかな。 そこそこ可愛くて笑うとえくぼが出来て、おしとやかで、料理が上手で、時々おっちょこちょいな彼女を俺はまだ諦めていない!
天野さんへの恋心はどうしたって?何のことだ?天野さんは女子ではない。きっとどこかの惑星から来た珍獣に違いないんだ。
そんな珍獣に懐かれている青葉はやっぱり只者じゃないのかもしれないと失礼なことを考えているとると……。
「二階堂くん。ユエルと同じ組でもいいかな?というか僕が一緒でも良いのかな?」
と、不安そうに眉尻を下げて青葉が聞いてきた。
「はっ?その見掛け倒しは置いておいてお前と組まずに誰と組むんだよ」
今更な質問がなんとなく面白くなくてぶっきらぼうな言い方になってしまった。
「見掛け倒しはあなたでしょう!?」
けれど憤る天野さんの横で青葉は嬉しそうに微笑んだ。
「……うん。そうだね」
「お、俺も!一緒にいいかな!!?」
「「最初はっグーー!ジャン!ケン!ポン!!」」
「あぁ〜!!負けちゃったよー〜!」
「っふふ。今年は諦めてくださいまし」
「青葉くん!女子があと二人必要でしょう!私たちと組まない?」
岡倉、大野さん、藤木さんが寄ってきて俺たちの組分けは決定した。




