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フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
二階堂邸in青葉のお料理教室編
14/63

だから俺にそっちの趣味はない!!




「……てっ、きゃーー〜!!?」

いきなり母さんの絶叫が部屋に響き渡った。その眼差しは天野さんに向けられている。

天野さんはびくっと肩を揺らし青葉に抱きついた。

「なっ!?なんですか!?」

盾にされた青葉はおろおろと母さんと天野さんを交互に見て俺に何事かと助けを求めて来る。俺はそっと視線を逸らした。

六人をリビングに案内しソファーに座ってやっと一息つけたところで母さんのこの奇行。驚くのも無理はない。すでに怯えている美少女達と岡倉には同情するが俺にはどうしてやることも出来ない。というか俺もすでに残りHP僅かでベッド行きもそう遠くはないだろう。

「ユエルちゃん、だったかしら?なんて格好してるの!?ダサい!ダサすぎるわ!なんなの!?この神憑ったダサさ!?そのスカートとTシャツどこに売ってたの!?速攻でそれを売ってたお店潰してくるから教えてくれないかしら?いいえ!!その前にあなた自身をどうにかしなきゃ!!」

「え!?……ちょっ!!僕はいいです!あ、青葉さ〜ん!!」

そう言って母さんは天野さんの腕を引っ掴んで奥へと引きずって行った。天野さんと言えば若干涙目で抵抗していたがそれも虚しく拉致られて行った。

「「「…………」」」

「……あの。なんか悪いな」

なんとも言えない表情をしている五人に謝っておく。まさか母さんがいるとは思わず魔女の家に連れて来てしまったのは自分だ。テンションの上がった母さんは息子の俺から見ても危険極まりない。

するとまたも青葉以外から珍獣を見るような目で見られた。

「いえ……。二階堂のお母様は“Lily of the valley”の社長兼デザイナーでしたわね」

「よく知ってるな」

微妙な空気の中真っ先に口を開いたのはやっぱり大野さんだった。それにしても俺の母さんのことを知ってるなんて大野さん実は俺に気があったり……。

「よく知ってるなって……。当たり前でしょ?“Lily of the valley”と言えば女の子憧れのブランドなんだからね?これもそうだよ」

井上さんは呆れたように言って自身の服を指し示す。……そうだったのか。母さんグッジョブ!

「まあ、天野さんのあれは……うん。見過ごせないよね」

誰もが同じ気持ちで居たが誰も突っ込めなかったらしい。それほど天野さんの格好はある意味強烈だった。

美少女達は母さんの話で盛り上がっている。キャピキャピとはしゃぐ美少女達。……い、癒される!!

「俺までお邪魔しちゃって大丈夫だったかな?」

内心鼻の下を伸ばしていると岡倉が今更なことを聞いてきた。じゃあ帰れと言ったら本当に帰ってしまいそうなほどびくびくしている岡倉は不安そうに指をもじもじとさせている。そう言えば岡倉ってなんでついてきたんだ?やっぱあれか?

「お前って青葉狙いか?」

ふと疑問に思ったことを聞いただけなのにまたも全員がぎょっとして俺に注目した。

「まさか……あなたまで青葉くんを!?」

「…………へっ!?」

井上さんの言葉に今度は岡倉に視線が集中する。

「いや、二階堂くんは別にそういう意味で言ったわけじゃ……」

青葉がなにやらよくわからないフォローをするが井上さん達が敵意の篭った瞳を引っ込めることはない。岡倉は逃げ場を探すようにきょろきょろと視線をさ迷わせた末に俺に照準を合わせた。その必死な表情に俺は嫌な予感しかしなかった。

「お、俺は!!二階堂くん目当てだから!!」

ソファーから立ち上がって宣言する岡倉。そんな岡倉をポカーンとして見上げる俺たち。

「…………は?」

ぞぞぞっと背筋に寒気が走る。なんだ!?俺狙い?青葉と違って俺は料理できねーぞ!?

「いや!?あのっ!違くて……」

そう言いながら前髪の下の頬を赤く染める岡倉になんだか既視感を覚える。井上さん達はなーんだそっちかーと興味をなくしたように元の話題に戻っていった。そっちってどっち!?硬直する野郎三人と会話に花を咲かせる美少女三人。

そこにご機嫌な様子で戻ってきた母さんとこの短時間でげっそりとした天野さん。さすが母さん。見るに耐えなかった美少女がさなぎを通り越して蝶へと変貌を遂げていた。

ああ〜。癒される〜。中身はどうあれやっぱり美少女は正義だ。

岡倉の発言はなかったことにして父さんが人数分入れてきた紅茶に口をつけた。

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