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フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
新しい始まり編
11/63

青葉は一人で二度美味しい!?

「ダメです!青葉さんを野獣の巣に連れ込むなんて言語道断!恥を知りなさい!!」

青葉に聞いたのになぜか天野さんが弁当を持ってこちらに突っ込んできた。弁当を投げ出さんばかりに机に叩きつけたため中身が踊って、見るも無残な状態になった。ああ!憧れ女子の手作り弁当が!!……ん?少しぐらいぐちゃっただけでここまで悲惨な有様になるだろうか?卵焼きと思しき黄色の部分を残した黒っぽい何か。ご飯と思しき白いどろどろ。……うん。見なかったことにしよう。

俺は何事もなかったように弁当から目を離し、天野さんに向き直った。

「だからなんでお前が突っかかってくるんだよ。俺は青葉に聞いてるんだ」

「ダメなものはダメなんです。ね?青葉さん?」

天野さんは俺を鋭く一瞥すると一転青葉には子犬のようなうるうるとした瞳を向けた。

青葉はなぜかため息をつき何事もなかったように会話を続けた。

「日曜日に何かあるの?」

「なにかあるって言うか。親が夜会に参加するらしくて俺ひとりになるんだ。青葉の作りたての料理食いたいし遊びがてら夕飯作ってくれないかなと」

「親がいない!?もっとだめに決まってるじゃないですか!!家に二人きりなんてなんて破廉恥な!」

天野さんは俺の言葉に更に食ってかかって来る。破廉恥って……。言葉選びが古い上に野郎と二人きりで何が起きるって言うんだ。

「転校生。なに勘違いしてるか知らないが青葉は歴とした男だぞ?友達を家に呼んで何が悪い?」

「あなたこそ何言ってるんですか!青葉さんはおん……むぐっ」

天野さんがなにか言いかけたところで青葉が素早く立ち上がり後ろから手を回して口を塞いだ。

「今週の日曜日だね。特に用事もないし是非伺わせてもらうよ」

「よっしゃ!じゃあ、高田駅に一時な。…………あと転校生を離してやれ。顔真っ赤だぞ」

青葉からの了承をもらい、弁当に引き続き夕飯の約束も取り付けた。弁当であのうまさだったたら作りたてはどうなるんだ?と妄想に一花咲かせたかったが無視する訳にはいかないだろう。天野さんは顔を真っ赤にして硬直していた。そして何より……女子からの殺気が半端なかった。いつもは食堂で昼食をとる女子たちもなぜか全員弁当持参で教室に残っていた。青葉としては口を塞ぎたかっただけなのだろうが遠目にだと抱きしめているようにも見える。

そのため青葉は背を向ける形になって気づかないのかもしれないが俺からはばっちりと女子たちの目がやばいことになってるのが分かる。

「あ、ごめん。苦しかった?」

青葉はぱっと手を離し、心配そうに天野さんの顔を覗き込む。そんな青葉に天野さんは更に顔を真っ赤にして……。これか!?これがお前の手口なのか!?青葉よ!!今までも青葉と女子のやりとりは散々見てきたがこんな決定的な瞬間は初めてだ。しかもよりにもよって天野さんに!!

きょとんと首を傾げる青葉は案の定俺の恨みの篭った目も、女子たちから放たれるドス黒いオーラも、天野さんがりんご状態になってる理由にも気づかない。

しかし緊張感漂うクラスに空気を読まない強者がここにもひとりいた。

「どうしてもと言うのなら僕も行きます!!あんなけだものと二人きりより僕もいた方がマシです!」

硬直状態から回復した天野さんが俺を指差しまさかの参加表明を掲げた。……まじか!?

逆に硬直状態に陥った俺を置いて話はどんどん進んでいく。

「ユエル。行くって言っても二階堂くんの家なんだからちゃんと許可を取らないと」

「そうですわ。それに殿方しかいない家に女性ひとりで行くなんて感心しませんわ」

「青葉くんはともかく二階堂の家だからね」

「まあ、どうしても行きたいって言うなら私たちが着いていってあげないこともないけど」

「という訳で私たちもお宅に伺ってもよろしいかしら?」

青葉ハーレム筆頭の三人がいつの間にか俺たちのもとに集結し大野さんが代表して俺になにやら問いかけている。

いったい今何が起こってるんだ?青葉におまけで美少女四人が着いてくる?……なんなんだこの美味しすぎる展開は!!俺の答えは決まっていた。

「……好きにしろ」

青葉もこの成り行きに困惑しているようだが俺は構わない。むしろウェルカムトゥマイホーム!休日に青葉の手料理を食べられて美少女までやってくる。これがあれか!?ハーレムへの第一歩か!?

四人が汚物を見るような目で俺を睨んでるなんて知らない。俺は気づいてない。青葉と二人っきりだからといって何も起こらないと地球滅亡をかけて誓えるが女子はそうは思ってくれないらしい。

それもまあいいかと思える今日この頃。空気を読めない人間はもう一人いた。

「…あの!俺も行っていいかな?」

そう言って名乗りをあげたのはもじもじと人差し指どうしをこねくり回す空気を読めないというかほぼ空気の存在、岡倉だった。

かくして珍妙なメンバーによる俺ん家での夕食会が決定した。





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