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高校生、うっかりマズローを論破してしまう  作者: シンリーベクトル


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32/59

少しだけ前へ


翌週の昼休み。

佐伯が部室に飛び込んできた。

「木村さん、クラスでグループに混ざってお弁当食べてたよ!」


俺たちは顔を見合わせた。

高橋がニヤッとする。

「お、承認欲求満たし作戦、効いたか?」


西村がペンを回しながら言う。

「たぶん“相手の欲求を先に読む”ってやり方が、木村さんの安心欲求を支えたんだと思う」


山本は微笑んだ。

「……前より話しかけやすくなったって、本人も言ってました」



その日の放課後。

木村が部室に顔を出した。

「まだ全員とうまく話せるわけじゃないけど、前より楽になりました。

 失敗しても、“あ、これは欲求読み間違えたな”って思えるようになって」


俺はうなずく。

「完璧じゃなくても、動き続ければベクトルは変わる」


高橋が笑いながら肩をすくめた。

「まぁ、俺は読み間違えたまま突っ走るタイプだけどな」


「知ってる」

全員のツッコミが揃い、木村はくすっと笑った。



そこへ国枝先生が現れ、何やら紙袋を置く。

「今日は特別だ。安いインスタントじゃなく、ちょっといいクッキーだ」


湯気の立つカップと甘い匂いが部室を満たす。

コーヒーではなく、紅茶とクッキー。

いつもの分析と違い、今日だけはただの世間話で時間が過ぎていった。



——欲求もベクトルも、人によって違う。

でも、それを知って動こうとする人がいる限り、世界は少しずつ前へ進む。


俺はクッキーを一口かじり、静かに笑った。

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