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14話 僕の欲求

あの、村での出来事を忘れられない人は多いと思う。

僕らと年も変わらない男の子がたった1つ他の人とは違う異常が見つかった

それだけでお父さん、お母さんや周りの人達が寄って集って批判・暴力を繰り返していた。

しかし、男の子とよく遊んだ女の子がいた。

女の子は男の子を見つけるとすぐさま彼に近づこうとした。

その場にいた大人たちはこぞって彼女を止めた。

彼女の身の安全を最優先にするために。


しかし、広場でのことだ、女の子はまた男の子を見つける。

すぐさま近づこうとしたが父親に叩かれた。

彼女自身が飛ぶくらい強く叩いた。


近づいたらお前もこうなるという戒めだと思う。

しかし、女の子は立ち上がった。

あれだけ強く叩かれひどい顔になり、

泣きながらも男の子に向かって歩いた。


男の子は一生懸命女の子を待っていた。

すぐに向かうことも出来ただろう、

しかしそれでは意味が無いことも知っていたのだろう。

女の子のことを信頼し、全てを託したのだろう。

男の子は女の子が来るのを待っていた。


そして、男の子の目の前に到着した女の子はハグしてあげた。

すごく強くギュッと二度と離さないかのように。

微かに聞こえた言葉。僕らが鬼ごっこをしている時に使った言葉

「・・・つーかまーえた」

その瞬間、男の子は泣いた。全ての感情を吐き出すかのように泣き喚いた。

広場中の皆が振り向くぐらいに。いままでの悲劇を終幕を告げるかのように。

僕も仲間と一緒に見ていた。そして驚いた。

一度も泣いた所を見たことが無かった彼が泣いているのだ。

大声でむせび泣いているのだ。


マミルもコンフィルもみんな目から涙が伝っていた。

でも何も出来ない、友だちなのに。

「彼は異常者だ近づくな」

そう大人たちにそう言い聞かされていた。

大人に反抗するなんてこと

まだ子供の僕らには到底できることじゃなかった。


そう、できることじゃなかった彼女はそれをやってのけたのだ。

散々、お父さんお母さんにも言われているだろう。

それでも守りたかったのだろう。


彼を、コーリィを・・・


・・・


自ら部屋のベットで毛布に潜り込む。

セシリアがコーリィを救った場面を脳内で何度再生したか忘れてしまった。

それくらい衝撃的なものだったのだ。


僕がこんな格好をする様になったキッカケ。

彼女みたいに断固たる意志があったらと思った。

あの時はどうすれば彼女みたいになれるのかと考えた。


最初は形からと思い、なけなしのお小遣いをはたいて村の商店で女の子の服を買ってみた。

買うときは色々と緊張した。アキメ姉さんは終始ニヤニヤと笑ってた。


家に帰りお母さんの部屋でその服を着てみた。

どこにでもあるような水玉模様のワンピースだ。


すっごく似合っていた。

どこぞの大食い少女以上の可愛さではないかと思ってしまった。


黒曜石製の鏡を見て一周する。

これは一見では男とは絶対に思われない。

そう思い自身が湧いてきたその時だ


「ライルー?ここに居るのっ・・・!!!!?」


お母さんに見つかってしまった。

お母さんは絶句しているだろう。

息子が女の格好をしてキャッキャしているなんて

末代までの恥と言わんばかりに怒られるだろう。

怖いがここは怒られる覚悟を持たなければならない。

それは僕が彼女のみたいな人間になるための第一歩とでも

言っておこう。


「・・・かっわいいー!!!!!」


お母さんはキャッキャと僕の周りを見まわり始めた

どうやら感情の予測を180度程違ったらしい。


「お母さんね!実は女の子が欲しかったのよー、

 可愛く着飾ってみたかったのよ!

 ライルのお友達のマミルちゃんは少し食い気が盛んで

 スタイルが維持しないから出来上がった頃には

 既に狭すぎて入らなかったりするのよねぇ」


マミちゃんを着せ替え人形にしようとしてたんだ。マミちゃんは春夏は痩せて秋冬は太るからね。

でもコーリィに太ったって馬鹿にされたときから最近は維持に努めているいるよ。

相当悔しかったか、ショックだったのかは分からないけど自業自得だったって覚えはあるよ。


 「ライルが男の子だったっときは少し残念だったけど

  男の子でもそういう趣味があるなら仕方ないよね、

  秘密にしてあげるから!お母さん可愛いお洋服沢山作っちゃうからね!」


お母さんは洋服仕立て人であるため、着る服は沢山用意してもらった。

民族衣装をアレンジしたものや露出が多いものと様々だ。

都に行った今でもガリアさん経由で2週に5着位新作の服が届くほどの

情熱っぷりだった。


コンちゃんと護衛騎士になってからは隠れて着ることが多くなった。

やはり、都を守るべき護衛騎士が公務中・プライベートだろうと見本となる

服装、礼儀、、言葉遣いはきっちりするべきである。


それらをくぐり抜け、一番人目につかない所、それが我が家

護衛騎士の寮もあったのだが、それでは我が楽しみを十分に満喫できぬ

というわけで護衛騎士の給与2分の1を使ってでも借家を借りたのだ。

もちろん、知り合い全てには秘密である。コンちゃんであろうとマミちゃんであろうと

この秘密を教えてはいない。僕の城。


さて、色々考えていたら夜も更けてきた時間だと気付いた。

明日はコーちゃんが都にやって来る。


コーちゃんは僕が大好きな人だ。

もちろん僕は男だ、しかし好きになったものはしょうがない。

もし両思いになったら森の奥深くの小屋でひっそりと暮らすつもりだ。


そんなことはさておき

コーリィが都へ来る情報はガリアさんから情報を仕入れた。

あの人は商品だけじゃなく情報も取り扱っている。

今まであからさまに出さなかった商売方法だ。

それでも価格は銀貨1枚。普通はこれだけあれば酒屋で豪勢な食事が出来るだろう。

中流平民の朝昼夕の一日分の食費を賄えるだろう。

消して安くない価格だ。


「明日が勝負だからね!そろそろ寝ようっと」


ライル勢いで布団の中に潜り込み

目を瞑る。気持ち的には楽しみで眠れないと思ったが、

毛布のぬくもりでいつの間にか眠りにつけた。


・・・


翌朝、ライルはいそいそと支度を整えていた。


今回、初めて女装し外へ出かける事となる。

化粧、付け毛をし、外見からでは絶対にライルとは思えない

そして、昔コーリィが一番反応を示していた服装。

ちょっと足の露出が気になるところだけれど、まぁそこは

彼が喜ぶのであれば仕方がない。

ムダ毛処理は幾度もチェック済み。

持ち物も大丈夫。

さぁ、最後は自らの覚悟だ。


玄関の前に立ち、覚悟を決めた。

扉を開き彼は新たな第一歩を進ませた。


・・・


その後、"偶然"に都に到着したばかりのコーリィと再開し、"色々"とあり、

今からコーリィの向かおうとする教会前広場へと向かっていた。

前から歩いてくるカップル?がいた。


女性のほうが今まで見たこともない綺麗な女性と

この世の嫌悪感を人の形へ凝縮したかのような醜男が一緒に歩いていた。

女性が手を引かれ連れて行かれているようであれば護衛騎士として

職務を全うしなければいけないのだが、どうも逆で男性が手を引かれ

歩いているのだ、よく触れるなと彼女を感心してしまう。


コーリィも絶望的な表情を浮かべていた。

どうやら僕と考えが一致しているようだ。


2人がすれ違った後、少ししてコーリィは後ろを振り向いた。

僕もそれに合わせ振り向いたがあの2人はどこかお店にでも入ったのだろうか

姿が見えなくなっていた。


「すごいカップルだったね」


うなだれているコーリィは力なく返答した


「あぁ、そうだな」


「どうしたの?さっきの衝撃がまだ残ってるの?」


「あぁ、あまりに衝撃的で思考がまともに働かない」


そう言って、それからコーリィ一言も言葉を発しようとしなかった。


「ここまででいい」


そういったのは丁度教会前中央広場についた頃だった。


「わかった、いつまでいるの?」


折角都に来たんだし、滞在中に4人で一緒に観光でまわれたらな

と思い聞いてみた。


「とりあえず20日間は滞在する予定。次第によっては伸びる場合も

 あるかもしれない」


20日か、都側もそこまで予算は出さないって形かな。


「分かった」


「まぁ、コンフィルやマミルとも会っておきたいしな。

 お前もまともな格好してたらまた会ってやることもないぞ」


この言葉にものすごくキュンっとしてしまった。


「う、うん、今度はちゃんとした格好で会うようにするよ。

 コーちゃんにやらしい目で見られるとまた憲兵さんに捕まりそうだもん」


「・・・・それは言わない約束だぜ」


互いに笑いその声が二人の耳に届く。

笑い終えたあとに少し気まずい間が流れた。


「んじゃ、案内ありがとう。今度会うときは巡回中のお前にでも声かけるよ」


「やだ、コーちゃん、それじゃぁ今か今か待ちわびて

 僕にアタックする変態さんにしか見られないよ?」


「んなわけねぇだろ!」


互いに笑った

少し雰囲気は和らいだだろうか。

そこで互いに背を向けた。


・・・


コーちゃんと別れ僕は教会前広場の街道を下っていった

人通りの多い道、コーちゃんと一緒の時は平気だったのだが

1人になるとやはりこの格好は恥ずかしい。

中道に入り人目を避けるように帰ろうと考えた。


中道に入ると、意外と露天が多かった。

巡回しているのは主に主街路と目に見える範囲の中道のみ

そこまで奥深くはいることは無かった。

露店が多く、展示されている商品は主に性的欲求、薬物欲求

に関連する薬品の数々だ。


いかに平和な都でも、やはり犯罪の芽から断つことは出来ないらしい。

ここに都条例違反となっている物を販売している露天は後日摘発しようと考えながら

女装男は足を進める。


露天の商品を目に止めながら足早に通るライル、そこでひとつ気になる商品を見つけた。


"性別転換薬"


ライルは瞬時に足を止め、少し通り過ぎた露天に戻った。

すぐさま店主に向かい、尋問を始めた。


「店主、この薬は本当に効くのか?そんな薬は聞いたことがない」


店主は答えた


「んー、ねぇちゃんこの薬に興味をお持ちかい?

 心配せんともちゃんと効きまっせ。何ならあっしが試しても

 良いですがね。」


そう言っておもむろに販売しているはずの性別転換薬を一つとり、

店主自らぐいっと一気に飲み干した。

するとすぐに変化が訪れた。

店主は男だった。布切れみたいな服からいきなり乳房の形が姿を現した。


店主は、自慢げに立ち上がった。


「これでも信じられんなら股を触ってみ?」


男の股下を触る程嫌悪感があるものはない。

しかし、僕は好奇心に負け、恐る恐る店主の股下に手を差し伸べた。


「・・・・っ!!!?」


「さて、どうする?」


店主の言葉に即座に反応するかのように僕は残りのその薬を買い占めた。


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