13話 都道中
『都』
この国の王都
高い建物が並び。建造技術の高さを誇示しているかのようだ。
円型の都教会広場には白く塗装された環状型街路が2つ、
4つの放射型街路が都の境界線まで伸びており、
住民の大通りとして使われている。
広場内は街路以外芝生と均等に植えられた植林で整備されている。
居るだけで自然と一体化したかのような気分さえ味わえる場所だ。
また、広場中央の噴水広場には数多くの出店が集まり、商品を求める人々が賑わい溢れている。
さらに芝生には仲睦まじいカップル方々がわれよわれよと互いの愛を確かめ合っている。
その中に男が1人ポツンと立っている。もちろん俺は、待ち合わせをしている所だ。
度々だが、周囲にいるカップルからは1人でいることに対する哀れみの視線を感じている。
しかしそういった誤解はすぐに打ち破られる。
すこし遠くからゆっくりと歩いてくる見覚えのあるシルエットが見えた。
どうやら待ち人がやってきたようだ。
華やかにそして美しい雰囲気をかもちだす彼女は
周囲の男性諸君を瞬時に彼女の虜にさせ、
その男性諸君は自らの愛する女性への反感を買っていった。
「待った?」
彼女は俺に問う。
「いや、いま来た所だ」
俺もその問にすぐ答える。
「よし、それじゃあ、行こうか」
「あぁ」
俺達はそのまま市街へと足を進めた。
・・・
あれから6年が経った。
俺の無紋章力に対する偏見もなくなり、
いつもの生活が戻ってきていた。
そんな中、都の研究機関から
無紋章力の身体の研究及び診断
という名目で都から招待状が届いたのが
約2ヶ月ほど前。
この招待状を両親に見せた所、
謎の多い身体だからこそ見せてもらった方が
良いとの返事をもらった。
セシリアにその話をしてみた。
両親と同意見だった。珍しく『私も行く』
と言わなかったのが意外だった。
多分、都の学園に一般で入学する為、今現状
忙しいのだろう。
でもでも、男の手綱握っとかないと
つまみ食いに行っちゃうぞ。
そんな期待を胸にしまいつつ
今回1人で都へ向かうことになった。
お迎えに来た都の護衛兵に連れられ
都の入り口までやってきたのだが
そこで既に圧巻だった。
高さ50メートルはあるかと思われる
大きな門が目の前にあるのだ
巨大な建造物を前に興奮を抑えきれない。
護衛兵から初めて訪れた旅人達は皆
あの門を見て驚くと言っていた。
そんな大迫力の門を潜るとそこは別世界が広がっていた。
30メートルを超える建造物の数々
高さを合わせ外観を損なわぬように配慮され。
段々畑のように整地された地形の一番上には
大きくそびえ立つ教会があった。
護衛兵に都内の地図を手渡された。
どうやら仕事はここまでらしい。
チップを渡せば目的地まで連れて行くと
言い出したがあいにく手持ちがそこまで無いため
ここからは自ら足で向かうと伝え護衛兵と別れた。
地図に描かれている図面はまず太い線で正方形が描かれていた
これが都の境界線であることがわかった。
そして直線と直線が交わる所、いわゆる直角の少し手前に
円型の広場がある。
これが正方形の上左から第1広場、
上右が第2広場、下左右で第3,4とあり
中央に一番大きな広場『教会前ロータリー』と記されていた。
そこを中心とし4放射の街路が途中もう一つ大きなの環状型
街路を通過し境界線まで伸びていた。
第1広場に黒く丸が付けられている、護衛兵がご丁寧にも
俺のいる位置に印を付けてくれたらしい、護衛兵はデキる男。
その教会前ロータリーにある教会に赤丸が付いている
どうやらそこが招待状をくれた研究施設のようだ。
とりあえずはそこに向かう事にしよう。
そうして足を進め始めた矢先視界外れた横から
声が聞こえた。
「あ!コーちゃんだ!」
どうやら着いた早々に知り合いに見つかったらしい
まぁ、案内人に使ってやろうと考えて振り向いた。
そこには知らない女性が満面の笑みで佇んでいた。
「・・・」
誰だ?こいつ?
クエッションマークが頭を支配する
脳内データベースを検索しても
見当たらない。
「あのぉ、どちら様?」
何かの勧誘?
なら結構、ノーテンキュー
「コーちゃんひどいよ、僕のこと忘れちゃったの?」
ボクっ娘とか知り合いにいねぇよ。
「うん」
「う~・・・ライル・ガンゴルドだよー」
っあ~
なんか聞いたことある声と姿が
マッチングしなかったから分からなかった。
声変わりしてねぇ・・・
この世界の変声期ってなんなんだろう?
「すまん、忘れていたわけじゃないんだ、だがしかしだ・・・
思い出す以前にお前の今の格好を見てみろ!!」
「可愛くない?」
「そこは否定しないが、昔のライルはもっと男前だった」
何故にその方向に行ってしまったのだ。
俺は悲しくなるよ。
「それにさ、ほら」
ライルがくるりと一周する。
彼女いや、彼が見せてきたのは
自らが身に着けている服装である。
ライルの格好は
白のノースリーブ肌着の上に白くゆるめの薄布地ブラウスを着ていた
ズボンが黒のショートパンツである左裾にあるワンポイントの銀装飾が
飾られている。
なるほど、そういえば昔、好みの服装がこいつにバレたことがあったな。
それで俺の好みに合わせ着てきたと?男のお前が?
ふん、そんなんで俺が釣られるわけがない。
「ちょっと、コーちゃんそんなかぶり付くように
見ないでよ、みんな見てるから!」
うっせ、今いいところなんだ。
「ふぅむ、なるほど、ショートパンツの布地はウールか、
黒を基調として裾周りにワンポイントの銀装飾・・・悪くない。
服の合わせも幅広くカバーできるだろう。
素材がウールだから、材質上の保温性に優れているし
たしか湿気をよく吸うはずだ。不快感なく非常に履きやすいはず。
しかし水洗いでの洗濯は非常に面倒くさいはずだぞ?
・・・っは!?むしろ洗わない!そうすることにより
要らなくなったら着用者の下半身から発せられた湿気を
じゅうぅぅぅっっぶんっ!に吸ったショートパンツを
紳士たちが買取りどちらもWinWinの関係になるということか!
下着だったら躊躇するがショートパンツとなれば多少は抵抗が減る
市場にはそれなりに広まりやすいかも知れん。
こ、これは!一大ウールメントの予感がしてきたぜ!!
古服屋のウール製品買い占めてやる!」
「こ、コーちゃんこの6年間に何があったの?
随分変態さんの思考になっちゃったような気がするよ?」
「ここで付け合せにニーソ、オーバーニーソそれとも生足・・・うーん迷う」
「おーいコーちゃん戻ってきてよ~!!」
・・・
「っもぅ、コーちゃんの前で二度とこの格好しないからね!」
「勝手に着てきたお前が悪いと思うが内心すまんと思っている、
以後自重するよう努めます」
人通りの激しい場所で男が女装した男の下半身をマジマジと
観察し、なおかつぶつくさ呟いているのだ、怪しまれてもしょうがない。
ここは憲兵所、怪しまれた俺とライルは連行されたわけだ。
丁度、憲兵さん方々にお灸を据えられて出てきた所だ。
コーリィは冷静になった所でライルに聞きたいことを口にする
「そういや、俺が来るのをわかっていたかのような口ぶりだったけど
誰から聞いたんだ?」
「え?ガリアさんから手紙が届いたんだよ。
丁度2ヶ月前くらいに」
なるほどパケニティの紋章で荷物の輸送ついでに手紙も送ったんだな。
っで郵便でこいつらに配られているから情報が知れ渡っているということか。
「瞬時で手紙送れるとか使い勝手よすぎだろあの紋章」
「レア紋章だからね。そのくらいの恩恵はあってもいいと思うよ」
「まぁな、そういえばあいつらはどうしている?コンフィルとマミル」
「コンちゃんは国の騎士団に志願していま訓練中なんだって」
「ブレないねぇ。あいつは」
「昔から騎士になるんだって言っていたからね、今かなり充実しているらしいよ」
なるほど、コンフィルはある意味リア充乙ってやつだな。
「んで?マミルはどうなってんだ?」
「マミちゃんは学校に通っているよ。都一の超一流の学校」
まぁ、国2番目の回復紋章師様に教養が無いと困るのは国だからな
通わせて当然だろう。
「最近は紋章の使い方がわかったーって言って
何気に怖いものなしになってきている感じ」
「そ、そうか」
あいつを怒らせないようにしよう。
「そんでもって僕が・・・」
「いや、聞きいてない」
すごく興味が湧いてこない。
聞きいて置こうという気持ちすら起きない。
「なんで!2人のこと話したらそりゃ次は僕の番でしょ!?」
「いや、友人が男が男を連れ込む店で働いているなんて聞きたくない。」
「何の話さ!僕もコンちゃんと同じ国の騎士団に志望してるんだよ!これでも」
なるほど、自覚は合ったんだな。
「せめてプライベート位は自分の好きな服着せてよ」
コーリィはライルのもじもじした態度に
『てめぇのその態度が俺の中の知らない感情を刺激するからやめろ!』
と言いかけたが喉まで来たものを飲み込んだ。
「家の中だけで楽しめよ」
「コーちゃんの家で?ヤダッ、恥ずかしい」
これは素直にイラッときた。
「自分の家でだよ!」
ライルと他愛もない話で盛り上がる
2人は歩きながら道のずっと向こうに見える大きな教会へ向かっている。
コーリィはそこがその他愛もない話の終着地点となるだろうと思っていた。
向かいから歩いて来るカップルとすれ違った。
非常に美人な女性と非常に見るに耐えない醜男のミスマッチカップル
最初は遠くでなにか見間違いをしているのだと思った。
しかし、近づいてくる事にそれが間違いだと確信に変わった。
すれ違うまで飛び出すかのような動悸が収まらなかった。
女は絶世はスタイル抜群のパツキンネーチャン!!!
そして、その相方の男は
この世のものとは思えない程醜い男だった。




