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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第四章 戦争の予兆
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4話 怪しい動き (4)

イーサの後継者発表は一時延期となった。

メノウの出奔も、密かに探す事で納得を得た。


逃げたメノウには効かなければならない事が沢山

あるからだ。


同じ牢に入れられていた目の前でメイドが服毒死

したのだ。

何も見ていなかったはずはない。


それに手を貸した者、密かに殺しに来た者の顔位

は見ているだろう。

もし、その人物が知っている人物だとしたら……。


イーサには一つ、気になる事があった。

それはメノウの母であるアンネ婦人だ。


彼女はナニス王国の王女だったのだ。

彼女の息子に国を継がせる。それが停戦の条件だった

と父は言った。


メノウには、少しでも国の為に、民の為に尽くす事を

願った。

だが、彼はそうは育たなかった。


いつも講義はサボるは、剣術も真面目に取り組まない。

魔術はそれなりに強いし多いのだが、コントロールが

まるでなっていない。

そばにいた兵士を何度燃やした事か。


国を継がせる事に抗議する貴族が多くいたのだ。


ナニス王国との停戦は、もう諦めるしかないと。

せめて国内だけでもまとめ上げられる人物でない

と国が傾く。

そう思って、イーサとメノウを競わせる形で民に

イーサを選ばせるつもりだったのだ。


マーロの目論見は半分上手くいったように見えた。

イーサが頭角を表し、貴族の大多数の後ろ盾を持

てた。

だが、イーサは毒殺されそうになった。


その犯人がメノウの専属メイドだった。

メイドに指示したのはメノウだという。


マーロは頭を抱えると、頭痛に顔を歪めた。

最近、ずっと頭痛がひどいのだった。


「どうしてこうなったのだ。兄弟が仲良く手を取り

 合う事ができたなら……」


夢物語りを語っても仕方がないのだった。




実りの季節を迎える頃には、隣国との関係は険悪なも

のとなっていった。


北の国境付近では、頻繁に小競り合いが起きていたか

らだ。

どこから聞いたのか、ナニス王国からの書状にはメノウ

を会合に出席するようにと書かれていた。


「全く、どこでかぎつけたのか……」


メノウが居ない事が知れ渡るのも時間の問題だった。


「いや、これは…イーサのところに赤の塔の錬金術師

 が居ただろう。彼を呼んでこい」


マーロは一つ思い当たる事があった。

それが、錬金術の中姿変える秘術がある事を思い出した

からだ。


メルバルト・ファオニンがそうしたように、誰かメノウ

をよく知る人物に彼になりすまして貰えばいい。

そう考えたのだった。


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