3話 怪しい動き (3)
父のマーロから直々に呼ばれたイーサは、珍しくマー
ロ公爵の執務室へと来ていた。
コンコンッ。
軽いノックをすると中から返事が返ってきた。
「イーサか、入りなさい」
「失礼します…父上」
「そこにかけなさい。話しというのは他でもない
後継者の事だ。メノウが姿を消したと聞いている。
あいつがあんな馬鹿げた事をし出かすとは思わな
かったが、仕方がないだろう。次の祝祭でイーサ、
お前を後継者として発表する事にした」
「父上、その事ですが……少し待っていただけません
か?メノウ兄さんの事でお話があります」
「まだあいつを兄と呼ぶのか……まぁいい。話してみ
なさい」
こうして、イーサの毒殺事件の首謀者としてメノウと
その周辺にいたメルバルト・ファオニンとその弟子の
せいとして解決を図った事についての言及をしたのだ
った。
そもそも、メノウには動機もなくあの単細胞が手の
込んだ事をするとは思えないとイーサは庇ったのだ。
「しかし、メノウの専属メイドが自ら自供し独房で
自殺を図ったのだ。そのメイドが死ぬ間際にメノウ
に命令されたと言っていたのだぞ?」
「では聞きますが、メノウ兄さんに毒を購入する知識
などあるとお思いですか?あの人なら魔法で後ろか
ら攻撃してくるでしょう。そういう人ですよ」
確かに、その通りであった。
メノウは真正面からぶつかっていくような人物で裏で
コソコソとできる人間ではない。
それどころか、協力してくれるような信頼すら築けて
いないほど我儘なのだ。
誰もメノウに従うとは思えなかったのだった。
では、どうして専属メイドが「メノウに指示された」
と言ったのか?
考えられるのは一つだけだった。
イーサもメノウも邪魔だったのではないだろうか?
そんな答えに辿りついたのだった。
そうなると、敵は大臣を含め父の側近の可能性も
出てくる。
もう城の人間を信じる事ができなくなったのだった。
食事には十分気をつけている。
また死の境を彷徨う気にはなれないからだった。
昔にメルバルト・ファオニンが作ったとされる毒を
検知する魔道具を宝物庫から出してきて使っている。
微量でも近くで検知すると色が変わるペンダント型
なのだった。
「本当にこのようなものを作ってしまうとは、我が
師ながら本当にすごい人だったんですね……」
タヒソは師が弟子の代わりに処刑された事を知って
いる。
そして、その弟子が多分師匠の最後で最高の教え子
なのだろう事も気が付かないわけがなかった。
自分優先の師匠が、自分の命よりも大切にできる存在。
それは、唯一認める存在だからだろう。
「師匠……貴方にも大事な者ができたという事ですね。
私もそんな存在になりたかったですよ」
いつか、師に認めてもらうような物を作るといきがって
師匠の元を飛び出した。
だが、結局は超える事は叶わなかった。
だが、今は護りたい主君がいるのだ。
その方の為ならば、自分の同じ事をしよう。
自分の命を投げ打ってでも護ろう。
それが、この国の最高錬金術師の称号を得た、タヒソ
の願いだった。




