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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第四章 戦争の予兆
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2話 怪しい動き (2)

オスタリア公国を仕切っているのは公爵である

アウグスト・マーロ公爵だ。


その第一息がメノウで、その次にイーサがいる。

もし、イーサも、メノウも居なくなれば最後には

まだ幼い10歳のアンバーが継ぐ事になってしまう。


メノウは貴族達の信頼もなかった為、後継者には

イーサが妥当だと思われていた。


だが、メノウの母親は北の国であるナニス王国の

姫だった。

オスタリア公国とナニス王国は昔から小競り合い

が続いていたが、停戦をする代わりにナニスから

嫁いで来たのだった。


「アンネ王妃がいる限りナニス王国が王都に攻め

 て来る事はないと思いたいが……どうにも北が

 きな臭い事になってきたようだからね」

「この前も国境付近で荒くれ者が騒動を起こした

 と報告があったそうですが…」

「その報告は聞いているよ。荒くれ者ね……多分

 だが、ナニスの密偵の可能性もあるだろうね」

「そんな………まさか」


イーサはメイドが入れた紅茶に口をつけると書類

整理に取り掛かった。


側ではタヒソが控えている。

彼は錬金術も優秀だが、それ以外の事務仕事にも

才能を示した。


今は、毒を判別する魔道具をイーサに付けて貰っ

ているので食べ物や飲み物を安心して摂取できて

いる。


毒殺事件以来、食事にも気を使うようになった。

メイドから食事の管理番に至るまで全ての人員を

入れ変えた。


そして、出自に不明瞭な人間は全員城から追い出

したのだった。


あとはアンネ王妃の取り巻きが問題でもあった。

この前の毒を入れたメイドはメノウの専属メイド

でもあったが、元はアンネ王妃の使用人なのだ。


イーサの事を疎ましく思ってもおかしくない人物

でもあったからだ。


「アンネ王妃には避暑地にでも行ってもらいたいな」

「それは、難しいかと……。一国の王妃が城を離れ

 るというのは…」

「言ってみただけだ。犯人としては疑わしいところ

 だらけだからな。さて、おしゃべりはここまでに

 しないと今日中に終わらないな……」


イーサがいくら優秀と言っても、まだ成人したばかり

なのだ。

そして毒殺によって死にかけたばかりなのだ。

命を拾ってからは、すぐに公務に取り掛かったくらい

だが、タヒソからしたらもっとゆっくり休んでいて欲

しいくらいだった。


イーサの思惑通りにファルマン公国はオスタリア公国

に賛同する形で共同戦線を発表した。

これで北のナニス王国の脅威に挑む姿勢を見せた。


それに同調するかと思われた南のアネスタ王国は我れ

かんせずを貫いている。


正確には内部の不正を暴いている最中であって、諸外

国にまで手が回らないというった事情を抱えていた。


アネスタ王国は女王が納める珍しい国家だ。

クンツァイト・ノン・イグネリア王女によって厳しい

統治が行われている。

女王だからと舐められる事がない理由に軍事長官の

存在があった。

正義の人とまで言われるパルポロ長官とその片腕で

あるスフューエン副長官の連携の取れた裁きに罪人

には容赦ない仕打ち。

奴隷を憎む割に、罪を犯した者は即奴隷として僻地

に送る非情さ。

健全な社会を目指す上ではなくてはならない存在だ。


しかも、軍を動かしたら右に出る者はいないという

ほどの采配能力。

実に羨ましい人材だ。


「アネスタ王国も我らと同盟を結べたらいいのだがな」

「それは無謀な考えですね。あの国はどことも交易は

 するが手を組む事はないでしょう」

「そうだな…」


イーサとて分かってはいる。

ナニス王国からの侵攻がいつ来るかもわからない緊張

状態だからこそ、国の民を護る為にも強い兵力が多く

欲しかったのだった。






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