30話 イーストの街 (3)
たかがゴブリンと思うかもしれないが、一匹なら
誰でも問題なく討伐できる弱小モンスターだ。
だが、彼らは群れで行動する事が多い。
一匹見つけて、仲間を呼ばれると実に厄介なのだ。
小規模の群れなら10匹くらい、大規模になると20
匹〜30匹が側にいる事もある。
一般的なゴブリンは武器も持たず向かってくるのだ
が少し賢い個体がいると仲間全員が木の棒を持って
いる。
仲間が増えると木で作った弓を持っていて後方から
狙って来る場合もある。
これがゴブリンアーチャーと呼んでいる。
そして、もっと多くなると魔法を放つ個体もいると
いう。
これをゴブリンシャーマンと呼び分けている。
ゴブリンシャーマンがいる時は、だいたいは一番奥
に大きな個体がいる場合が多い。
それがゴブリンキングと呼ばれ、知能が高くゴブリ
ン達が統率が取れた動きになってしまうのだという。
ゴブリンは大人の腰ほどの身長しかなく、キングに
なると2mはゆうに超えるという。
「群れの大きさ次第で危険度が増すって事か……」
「たかがゴブリンだろ?俺にかかれば問題ねーよ」
「油断は禁物だって言葉知らないようだね……まぁ、
まずは偵察程度に見に行こう」
魔力探知の魔道具をメノウにも渡すと周りの魔力
を探りながら探す事にした。
「結構離れた場所に小さな魔力が固まってる?」
「群れで固まってやがるのかよ……いっちょ魔法
をぶっ放してやるか!」
「待って!それじゃ、討伐の証拠が……」
「あ……面倒くせーな」
メノウは頭を掻くとやめたのだった。
確かに倒すだけならメノウの魔法もありなのだ。
最近はコントロールも正確になってきたし、群れの
ど真ん中に放つ分には問題ない。
だがそれは、討伐部位の持ち帰りという点では大問
題だった。
死体まで焼いてしまっては、どれだけ倒したかが分
からなくなってしまうのだ。
『精霊魔法で氷の礫を降らせたら?』
「それなら、問題ないね…エルフィ、力を貸してく
れる?」
『えぇ、勿論よ。ハルカの魔力を使ってるからハルカ
自身の力として使えるわ』
「おっけ!じゃ〜目標はあの群れの真ん中に向かって
アイスランス!できるだけ多く作ってぇ〜いっけぇ」
空いっぱいに細い氷の氷柱が出来上がると目標の場所
へと降り注ぐ。
次から次へと落ちていく。
辺りは地震でも起きたように地面が揺れたが気にしな
い。
撃ち漏らしがないようにと念を込めてもう一回空一面
に作ると一気に落下させたのだった。
「おいおい、すげー威力だな………」
「た……確かに………」
遙自身もここまでとは思わなかった。
エルフィの力はあまりにも強い事が理解できた。
前に一回使ってみたがここまでではなかったので油断
していた。
こんなに威力があるなら、精霊と契約したがる冒険者
が多い訳だと納得してしまう。
「やり過ぎ……かもね」
「行ってみようぜ。撃ち漏らしがあったら困るだろ?」
「そうだね……」
一応魔力探知では魔力の残滓が数個残って見えたのだ。
現場に着くと。見るも無惨な状態だった。
無数の氷に貫かれて死んでいるゴブリンと大きな個体
がかろうじて生きている程度だった。
「メノウさんは、生きているのがあったら止めを」
「任せろっ、ついてに討伐部位も取っとくぞ」
「うん、お願い」
遙は手近の死体から短剣を手に持つと耳をはぎ取って
いくのだった。
半分凍っているせいか血が出る事もなかったので少し
ホッとしたのだった。
やっぱり、こういう作業は慣れないと思う。
師匠にも言われた事があるが、動物など死体を切り刻
のを遙は嫌煙してしまう癖があるのだった。
魔物も動物も死ねば討伐部位を剥ぎ取り、食べれる肉
は捌いていただく。
それが自然の摂理だと知ってはいても兎などの小動物
ならいざ知らず、大きくなるとどうにも気が引ける。
ましてや人型になると尚の事、気が引けるのだった。
殺らなければ、殺られるという戦場ではそんな事を
言っていられないと師匠にも言われたっけ……。
ブチッ……ブチッ……と討伐部位を取っていくと袋
にまとめてしまっていく。
「ハルカ、これで全部か?」
「多分……そうじゃないかな…メノウさん、これを
全部焼いてくれる?」
「ほかっとけばいいだろ?」
「血の匂いに他の魔物がこの地に集まったら困るん
だよ。それにイーストの街に近いしね」
「分かった。一気に燃やせばいいんだな」
「うん、お願い」
そう言うと、死体を人ところに固めると一気にメノウ
のファイアーボールで燃やしたのだった。
デカい火炎が上がると一気に燃え上がった。
骨しか残らない火力で燃やすと、最後は消化の為に
辺り一面に水を撒いた。




