22話 森の異変 (2)
森の中のトレントは本当に多かった。
普通に動き出すまで待って倒していたらキリがない
事だっただろう。
だが、遙の魔道具のおかげか擬態中に見つけられて
いるせいかスパスパッと問答無用に切る事が出来る
のだった。
「なぁ〜。これ多くないか?」
「ここはトレントの森なんですから多くても仕方が
ないんじゃないですか?」
「そんな訳ねーだろ?そもそも、トレントの森って
森の中にトレントって魔物が住み着いているだけ
でこんな…あちこちに居ていいもんじゃねーって」
メノウが言うのも事実だった。
トレントの森というのは、森に住み着いたトレント
という魔物が危険だからその名がついたのだ。
普通は動き出すまで、魔物だと気づかないからだ。
そして、何よりトレントに有効な手段は火魔法で
焼き尽くす事だと知られていた。
だが、今回は風魔法で剣を覆うと鎌鼬のスキルを
使えるようになったのだった。
そこに遙の魔道具によって辺りの温度を下げる事で
動きを鈍らせ、メノウが仕留めていったのだった。
気づくと周りにはトレントだった魔物のドロップ品
である木材が所々に散らばっていたのだった。
「今日はこれを持ち帰って、明日はもう少し奥まで
行きますか」
「あぁ。この森やっぱりおかしいな……」
「何がおかしいのですか?」
「だってそうだろ?群れで住む魔物以外は普通は共存
しねーからさ」
言われて見ればそれもそうだった。
たまにはメノウも真面目な事を言うらしい。
「なんだ?」
「いえ、メノウさんが珍しく真面目な事を言うから」
「俺の扱い酷くないか?俺はこれでも……いや。
いいや」
昔だったらオスタリア公国の後継者だったのだ。
いくらかバカだとは思っていたが、少しは頭を使え
る事に遙は驚きでしかなかった。
結局その日は一旦村に戻った。
そして、過酷な仕様をしたメノウの剣に刻んだ魔力
回路に改良を加え、魔石に刻んだ刻印も薄れてきて
いたのを新しいのと交換した。
「やっぱり、すげーな。スパスパ切れたしな〜。そ
ういえばあのマナポーション他とは比較できねー
くらいすげーじゃん!」
「語彙が……まぁ、いいです。はい、これで明日か
らもお願いします」
「おぅ。この剣に刻まれている刻印って魔力流すと
切れ味も変わるけど、バシュって剣気を飛ばすや
つ!まじで強くなった気がするしさ〜」
「あれはスキルです。剣に魔力を込めるだけで使え
るって事です。まぁ、試作品なのでこまめにメン
テナンスしないと使えないんですけどね」
「まぁ、常にハルカがいれば問題ないって事だろ?
なら、全く問題ねーな!俺と一緒にこれからも冒険
するんだろ?」
「そう………ですね」
ふっと笑うと遙は年相応の顔をしていた。
いつもはどこか大人びている青年だったが、今日ばか
りは子供っぽい一面を見せたのだった。
集めたトレント材はまとめてマジックバッグの中
へとしまっておく。
暫くメノウとも一緒に行動すると言う事で、メノウ
の分のマジックバックも作っておいたのだった。
「おぉーーー!これがマジックバッグかぁ〜。俺の
って事でいいんだよな?返せとか言わねーよな?」
「いいませんよ。ですが、他言無用ですよ」
「おぉ、もちろんだ!俺だけのマジックバッグかぁ〜
欲しかったんだよな〜」
目をキラキラさせながら喜ぶメノウを前に遙はため息
を吐いた。
メノウに渡したのは容量を抑えたものだった。
それでも一部屋分くらいの大きさはある。
そして、最初に血の登録をすると本人以外には遙しか
取り出せなくなるのだった。
「ここに登録してもらって……はい、これでメノウさ
んにしか取り出せなくなりましたよ」
「………うわぁ〜最高だろ!」
そこにメノウが欲しがっていたマナポーションを入れ
てやると、その夜は寝るが寝るまでずっと話を聞かさ
れることとなった。
村の人は冒険者達を止めたが聞き入れられる事は
なかった。
綺麗な景色は失われてゆき、今のような薄暗い森
へと変貌を化していった。
そして、ある日の事。
村に一人の少女が来たのだった。
見覚えのない少女を見た村人は次々と森の奥へと
自らの足で歩いていく。
冒険者達が村に来た時には、誰一人居なくなった
後だった。
そしていつも通りに精霊を捕まえるべく森へと入
ったところで、大きな狒狒を連れた少女の出会った。




