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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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19話 ウボツメ村 (4)

野宿すること一回。

順調に第一目的のウボツメ村に辿りついたのだった。


「ここが、かつてのウボツメ村のようですね」

「もう、人が住んでないと言われても納得だな」


それもそのはず、家屋は所々崩れ落ちており、人が

生活していない証拠だった。

草も生え放題で手入れなどない。

それどころか、壊れた壁にはびっしりと蔓が張りつ

いている。


「トレントの森はこの側なんで、ここで暫く泊まる

 事になりそうですね。どこかマシな建物は……」

「他にも近くに村とかないのかよ?」

「あるにはあるけど……毎日行き来するには不便だ

 と思うけど?ほら……」


遙はもらった地図を見せると離れた場所にはちゃん

と村が点在していた。


「あるじゃん。やっぱりベッドはしっかりしたやつ

 がいいよな〜」

「しっかりって、結局僕の作った布団を上に敷くの

 ならどこでも一緒でしょ?」

「それは……でも、それでも違うだろ?ほら、あれ

 だ。酒とかさ……」

「必要のないものは飲まない主義なので。それに

 酒なんて高級品でしょ?まさか、たまに飲みに

 行っていたんですか?」

「あ……いや……それは……」


じーーっと睨まれるとメノウが目を泳がせた。


「はぁ〜。お金がたまらない理由はそこじゃないん

 ですか?そもそも、酒なんて買わなくても………

 いや、無駄ですね」

「おい、今何を言おうとしてたんだ?まさか………

 まさか…作れるとか?」

「………さて、それより、あそこなんていいんじゃ

 ないですか」


遙は話を逸らすと、村で一番大きそうな建物の前で

足を止めた。


他の家に比べて劣化が少ない気がする。

そして、庭の雑草が一部だけ抜かれており、石が積

み上げられた場所には草花が添えられている。


最近誰かがきたのだろうか?

この石は誰かの墓なのか?

そう言えば、ここまで送ってくれた馬車の御者の方

がウボツメ村の出身だったと言っていた気がする。


「僕たちの前に誰かが訪れたみたいですね。なら、

 もしかしたら……」

「誰かって誰だよ?こんな廃墟にか?……おい」


いきなり遙が走り出すと一階の部屋を見て回った。

一応、この村ではこの屋敷だけ頑丈につくられて

いるように見えた。

そして、調理場には埃がかぶっていなかったのだ。


「やっぱり、誰かが使った形跡がありますね」

「掃除するなら全部やれよな〜」

「逆ですよ。一部の部屋だけ使ってたんです。多分

 ですけど、ベットも……」

「使ってたやつはまだ使えるって事か!」


さっそくメノウが他の部屋を探しに行った。

その隙に、近くの魔力反応がないかを確認した。


トレントの森までは距離があり、そばにはメノウの

魔力反応しかない。


離れている場所には多くの魔力反応が蠢いていたが

これは森の方角なので、きっとトレントの反応だろ

う。

トレントという魔物は、一応魔物という括りではあ

るのだが、その場からあまり動かず、木の根を鞭の

ように伸ばして敵を捕食する。


一定の距離をとって戦う分には、全く脅威ではない。

だが、トレントの森というほど、多くの数がいるので

一匹ずつ誘い出すという事はできない。


今回の依頼はトレントの幹を持ち帰るというものな

のだ。

それは即ち、倒して周りに邪魔されずに持ち帰ると

いう事になる。

火に弱いが燃やしてしまっては意味がないのだ。


「一旦、メノウさんには別の魔法で応戦してもらう

 しかないですかね」


鑑定で床下の貯蔵庫から穀物を出すと鍋に水をはる。

薪にランプの火を移すと湯を沸かした。


お茶にしても、スープにしても、まずはお湯が必要

だからだった。


さっきのうさぎ肉を取り出すと茹ででサラダ用に。

残りは串に刺して塩を振って焼く。


雑草ばかりに見えたが、ちらほらと薬草が混ざって

生えていた。


元の主人が薬草を育てていたのだろう。

雑草に負けずに育った薬草はそのまま自生して逞しく

育ったのだと思われたのだった。


鑑定は遙がこの世界に落ちて初めて使えたスキルだ。

普通なら生活魔法は使えても鑑定は覚わらない。

だが、遙はその逆で鑑定は使えるが生活魔法は使えな

かった。


その為、師匠と一緒にいる時は常に色々な物を鑑定

して回っていた。


最初は手に触れた物だけしか使えなかったが、今では

目に見える範囲なら鑑定できる。


だが、これは人に話してはいけないらしい。

その為、今は魔道具の眼鏡をつけている時だけ鑑定を

同時使用している。


レステルにも売ったが、この眼鏡型の魔道具は一般

のものより性能がいいのだ。

鞄の中身を見分けたり、魔力反応を感知する用に作

ったのだが、魔力の流す量によっては色々と観る事

ができるように作ったのだ。


メノウにも渡してあるが、魔力の調節が上手くいかず

彼が使えるのは周りにある魔力反応をみる事しかまだ

出来ないと言っていた。








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