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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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15話 昇級の理由

Bランク昇級試験の内容は、同じBランクの冒険者

との一騎打ちだった。

引き分けるか、それなりの強さを見せる事が出来れ

ば合格で、昇級できる。


だから、遙がやった行為は屋敷に控えていた全員

を戦闘不能にするという快挙をみせた事になった

とみなされたのだった。


「おめでとう、これでハルカくんもBランク冒険者

 だよ」

「………ありがとうござい…ます」


遙には納得できない事だった。

そもそも、Cランクで止めておくはずだったのだ。

それなのに、錬金術師としても名を馳せてしまっ

たのだ。


これでは落ち着いてポーションでも売ってお金を

稼いで飛行船に乗れるまで貯めるという計画が台

無しだった。


「これからは錬金術師としても注目されるだろう。

 長官のお墨付きをもらっているからね。誰も文句

 は言えないぞ?」

「僕はそんな事を望んだつもりは……」

「無くても、実力が認められれば、その分褒賞も

 増えると言うものだ……それに、君への指名依頼

 来ているからな」


ギルド長のネイサンは遙宛ての依頼を紹介してくれ

たのだった。

そのほとんどが貴族からの依頼だった。

ろくでもない依頼が多い中。

一つだけ目を引くものがあった。


「これは………」

「あぁ、とある地方貴族からだね。依頼内容は……」


これはなんともありがたい依頼だった。

飛行船に乗る為にイーストの街へと向かう予定だった

が、この依頼はアネスタ王国の王都があるマジステの

街の近くの地方貴族からの依頼だった。


内容は、船舶に合う材木の確保と加工だ。

それもその材木に指定してきたのがトレントの森の

木々だったのだ。


トレントはそもそも樹木の精霊が変化した魔物とされ

ていた。

昔師匠と一緒にトレントの木材を取りに行った事があ

るのだ。


木だから火に弱いと思うだろうが、そうではない。

火を見るといきなり襲ってくる事があるのだ。


生きた精霊が魔物になった状態と言っても過言では

ない。

精霊としてのさがなのか、他の魔物を見ると襲いか

かる習性があるのだ。

だからか、トレントの森は他の魔物が寄り付かない

場所とされていた。


「これを受けてみようと思います」

「なるほど……しかし、この依頼はここからだとか

 なり遠いな。王都のあるマジステへ行ってからの

 方がいいだろう。そこまでの馬車はこちらで用意

 しよう」


そう言ってくれたのはギルド長のネイサンだった。

トレントの材木は普通の冒険者でも命を落とす事

がある場所なのだ。

少しでも体調が万全の状態で挑んで欲しいとの

心遣いだろう。


「ありがとうございます。では、出発は早い方が

 いいのですが」

「では、朝一の馬車乗り場へギルド御用達の馬車

 を止めておくから使ってくれ。業者もいるから

 名前を言えばわかってくれるだろう」

「分かりました」


こうして足の手配も済んで、メノウにも情報を共

有スべく部屋に帰ってきたのだった。


昼過ぎにはメノウも帰ってきていた。


「お、ハルカがいるのは珍しいな。いつも部屋に

 こもってたのにな。この後、討伐依頼受けようぜ」

「まずは、トレントの森での素材採取の依頼を受

 けました。もちろん、メノウさんには断る権利

 があります。とても危険な場所なので……。で

 すが、報酬はけっこういいです。どうしますか?」

「そんなもん、行くに決まってるだろ?」

「そう言ってくれると思いました。では、明日一番

 でこの街をでます」

「おっと、急だな……ま、荷物もすくねーしいいぜ」


メノウは後先考えていない事が多いがやっぱり今回

もそうなのだと思った。



     ♦︎♦︎♦︎




ハルラの街での一連の事件が片付くと、首謀者を含

めた屋敷にいた全員が奴隷として売買されたと聞い

たのだった。


買ったのは鉱山を持っている貴族だったらしい。

厳しい鉱山での仕事は、毎年数人の死者を出してい

ると聞いた。


遙達はそんな奴隷市場の事情など知らず、次の目的

地までの旅に出たのだった。


ギルド御用達の馬車は以外と立派で広々としていた。

途中何度も休憩を取りながら進む事10日間。

やっと王都のあるマジステの街が見えて来たのだった。

途中、魔物との遭遇はあったものの、そこがギルドか

ら派遣された御者というべきか、元冒険者だったせい

か難なく討伐しながら進んで来たのだった。


マジステは南は海に面した港町で、品物の輸入が盛ん

な場所だった。

海の幸に山の幸。

どっちも豊富に揃えられるのはここだけだろう。

漁港以外にも観光船も泊まっているので物資の面では

どこよりもいい品が集まると言ってもいい。


「活気があって、賑やかですね」

「そうですね。ここは王都とあって城門の警備も厳重

 なので街の外へと出入りはしっかりしているんです」

「ここまでありがとうございました」

「いいえ、ギルド長の命令ですから。それに私の家族

 妻と娘も、このそばにあるウボツメ村にいるんです。

 久しぶりに会いに行ってみようと思うんです」

「なるほど、それは楽しみですね」

「はい、ハルカくんと同じくらいなので……まるで娘

 に会いに行けと言われている気分でした」

「おーい、ハルカ。先行くぞ」

「すぐ行く!では、失礼します」


ギルド長の気遣いなのだろう。

御者の人に礼を言うと遙は先に行くメノウを追った。

地図にはなかった村だが、ただ乗っていないだけだ

ろうかと思い返しながら王都にあるギルドへ向かった。









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