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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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13話 嫌がらせ (5)

メノウを引き留めたのは、いつも依頼を邪魔していた

冒険者達だった。


「またお前らかよ……今度はどんな嫌がらせだよ」

「違う……あの子のことで話しておかなければならな

 い事があって……」

「あの子?」

「君と一緒にいつも来ているハルカくんの事だよ」

「……お前らハルカに何かしたのか?」


いくら鈍感なメノウでも、何かあったのだと気づく。

それがどんな事であろうと、緊急を要するだろう事

も理解できたのだった。


「あいつは今どこにいるんだ?」

「案内します。俺たちは別に少し懲らしめる程度で

 依頼の件をやってたんです。ですが……」

「今はそうも言っていられ無くなってしまって…」

「あいつらが動き出したので、今頃きっと……」


早足しで向かった先を見た瞬間、全員の目が釘付けに

なったのだった。

あのガルイドの屋敷が氷漬けになていたのだった。

メノウはすぐに中へと入ろうと駆け出した。


だが、近くで待機していたギルド長のネイサンによっ

て止められてしまった。


「中にハルカがいるんだ。あいつを連れ去ったドルイ

 ドって奴を……」

「分かっている。だが、今は中に入れないんだ」

「どういう事だよ…」

「それは……」


そう言って指差した先には入口まで氷の彫刻が

並んでいた。


「あの建物自体をなんらかに術が覆っているら 

 しい。だから無闇に入ると……奴等の二の舞に

 なる」

「だけど、早くハルカに会わないと……いや、俺

 ならいけるんじゃ……」


そう考えると、遙にもらった剣を取り出した。

魔力を消費してどの属性をも付与出来ると言っていた。

ならば、常に自分の周りを炎で維持できれば……。


メノウの属性は火だが、同じ力を持続する事は

まだできない。


なら、魔道具を使えば可能だと考えたのだった。


「多分、俺なら中にいけると思います」

「なに?では、私も一緒に行こう。中で判断を強い

 られた時に証人にもなれるぞ?」


ギルド長は自信を持って自分も行くと言い出したの

だった。


「失敗したら、共倒れ……それでもいいですか?」

「構わない」


即答したネイサンを連れてメノウは一面凍って

しまった屋敷へと足を踏み入れたのだった。


思った通り、剣の周りは氷が溶けて通った後、

再び凍りついていた。

パキパキッと氷を踏む音が響く。


廊下にも数人の逃げ遅れた冒険者であろう人の

姿があった。


「中で一体何があったんだ?」

「それを知る為に中に入るんだろう?それにここ

 までの魔法は大魔術師以外にも出来たとは信じ

 がたい……ぜひともスカウトしなければならな

 い人材に違いないよ」


ネイサンは好奇心あふれる目で語って来る。

メノウにとっては、なんとなく分かっているのだ

った。


前にも同じような光景を見た事がある。

それは遙の作った魔道具の試し実験の時だった。


地面に刺して使う魔道具で、円形状の安全地帯以外

を氷の世界にするものだった。

範囲は約この屋敷の大きさだった気がする。

そうなればきっと、この中心にいるのは……自ずと

分かって来る。


そして、一番上の奥へと来た。

そこで見たものは部屋の主人もろとも全員が凍って

いる姿だった。


魔道具だけが輝きを増していた。


「これを止めれば終わりか」

「これは……まさか魔道具かい!素晴らしい。実に

 素晴らしい」


横で歓喜の声が上がる。

その頃メノウは部屋の中でハルカの姿を探した。


そして見つけたのは男に抑えつけられている遙の姿

だった。

近づけば男も一緒に動けるようになってしまう。

そう思うと、下手に近づけない。


「待ちなさい。溶かす前に怪我の治療が先だろう?」

「あ、そうか……」


商人ギルドで最近売り出した効果の高いポーション

を取り出すとネイサンは遙の手の甲に刺さっている

短剣を引き抜いて、そこに流した。


確かに、回復速度が違い過ぎる。

今までのポーションは回復魔法と同時にかけてこそ

効果を高められるというものだった。

だが、今見たポーションはあきらかにそれだけでの

単体としての回復効果が高すぎるのだった。






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