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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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11話 嫌がらせ (3)

短気なメノウとその弟という設定の遙。

二人は最近ハルラの街に流れて来た冒険者だ。


「最近来たばかりの冒険者の兄弟知ってるか?」

「あーそう言えばいたな。黒髪なんて珍しいからな」

「あいつらCランクだってよ。裏で何をしたらあの

 年齢でCランクになれるんだろうな。俺らなんて 

 この前やっとDランクに上がったところだっての

 によぉ」

「可愛い顔してっから、長官殿に身体売ってるの

 かもな」


なんの気なしに言った言葉だったのだろう。

それを聞いた別の冒険者がいきなり机を蹴飛ばし

たのだった。

大きな音がして、全員の視線がそちらに集まる。


「おい、さっきの話。詳しく聞かせろや」

「いや〜俺たちも詳しい事は知りませんがね。

 実はですね…………」


その場にいる冒険者達は、口裏を合わせたかのよ

うにある事ない事を口にしたのだった。


「許せね〜な……。子供だからって贔屓するギルド

 もだが、軍事長官自ら乱れた取り締まりをやると

 はな……ちぃ〜とお仕置きが必要そうだな」

「そうですよね〜。俺たちもそう思っていたんで

 すよ…ガルイドの兄貴」


数ヶ月前に流れて来た冒険者パーティーでガルイド

という男を中心とした前衛中心のパーティーだった。


回復職はおらず、ただただ突き進むゴリ押しの構成

で、5人のうち4人が前衛で、1人だけ弓というバラ

ンスの悪い職構成だった。


だが、一人一人が強いせいか怪我もほとんど負わな

いので回復はポーションだけで事足りていたのだ。


その中の一人は少し特殊な性癖を持っていた。


「ガルイド、俺に回してくれるか?」

「おいおい、お前がやると死んじまうだろ?泣き叫ぶ

 姿が興奮するって言ってこの前も始末が大変だった

 じゃねーか」


手がつけられないほどのサディストなのだ。

男でも女でも関係ないのだ。

ただ拷問をして、泣き叫びながら許しを乞う姿たま

らないのだという。


「死なないようにやりますって、ガキなんでしょ?

 加減しますから任せてくださいよ」

「あーー、廃人にするなよ?」

「へい、分かってますって」


ガルイドが声を掛ければ、その辺にいるごろつき共

は動き出す。

それが誰に逆らう事であろうとも。


「おい、さっきの話やばくないか」

「知らねーよ、俺らのせいじゃ……今日は帰るわ」

「おい、お前っ………」


ガルイドに話した冒険者パーティーのうちの一人は

後悔していた。

ただ、愚痴を漏らしたに過ぎないのに、ここまで

大事になるとは思いもしなかったという顔で周りを

見回したが、みんな同じように視線を逸らしたのだ

った。





     ♦︎♦︎♦︎




部屋に帰って、金貨を仕舞うと遙はいつものように

魔道回路の作成に取り掛かった。


「今度は何をしてるんだ?」

「魔力量によって魔道具の時間が決まっているので

 それを初めから制御できたら良いなって思ってる

 んです。あとは、こことここを繋いで……」

「また複雑なのを描いてるのな」


メノウにはさっぱりわからない世界だった。

それでも、遙は毎日魔力が続く限り回路を刻んで

いる。


これには理由がある事も知っている。

落ち人の宿命である短命を伸ばす行為だった。


魔法という概念がない落ち人には、魔法が使えない。

だが、魔力だけは多くあるのでそのせいで身体が

耐えきれず崩壊するのだ。


まさかそれを解決する方法が魔道回路の作成だとは誰

も考えなかった事だろう。


そもそも、錬金術に触れるなんて考えた人は今までい

なかったのだとおもう。

結果的に、延命にもつながり、優秀な錬金術師が生ま

れたのだった。


「明日も行くか?」

「うん、もう邪魔はしてこないだろうから大丈夫だと

 思うしね。それと、これ」

「なんだよ、これ?」

「新しい魔道具を改良したもの。メノウさんは魔法も

 剣も使うから、混戦時に魔法を使うと味方まで燃や

 すでしょ?だからリミッターって事かな」


剣の柄に付ける事で剣を使っている間発動出来るアイ

テムだった。

戦う前に剣に魔力を込めると自動的に発動して好きな

魔法を付与出来るというものだった。

メノウは火の魔法しか使えないのだが、これを付ける

と火の魔法が氷にも風にもなるのだという。

少し火力は落ちるが剣に纏いながら使えるので効率

がよく、敵の属性さえわかれば有利な属性に変えれる

というものだと言った。


「便利だな」

「少しづつ魔力を消耗しちゃうけど、微々たるものだ

 し大丈夫かなって。」

「また規格外のものを……まぁ、いっか…」


そうして夜明けになってようやく眠りについたの

だった。


冒険者の朝は早いもので、日の出と共と活動する。


「メノウさん、起きないんですか?」

「おい、さっき寝たばかりだろ?……」

「依頼見に行くんじゃないんですか?」

「あーーー………後で行く」

「全く……先に行ってますからね」


そういうと、遙は着替えると下に降りて行く。

上着を羽織るとポケットの裏にはいつものマジック

バックが縫い付けられている。


それ以外にも小さな鞄を腰に引っ掛けるとこれも

少量なら入るマジックバックになっている。

遙以外には普通の腰のバックに見えるだろう。

そこにはいつもポーションを一個と短剣を入れて

あるのだった。


メノウは朝に弱いので、行動はいつも3つの鐘が鳴

ってからだった。


朝早くに1個目の鐘が鳴り、働く始める合図で2個

目の鐘がなる。

この時に店のほとんどが開店する。

そして日が登った頃に3つ目の鐘がなるのだ。


「今日は、いっぱい残ってますね〜…どれにしよう 

 かな〜〜〜」

「おいおい、子供が遊びにくる場所じゃないぞ〜?」


後ろから声をかけて来た男はあきらかに遙を見て声

をかけたとわかる。


振り返ると、そこには数人のパーティーなのだと分

かった。


「ご心配ありがとうございます。ですが、僕も冒険

 者ですから、大丈夫です」

「そうか?その細い腕で剣が握れるのか?魔法は?

 杖もないって事は魔法職ってわけでもないんだろ?」

「僕らは僕らの戦い方があるので……」


何を言っても無駄だなと思うと、その場から離れる

事にした。

掲示板の前を開けると横にずれた。

だが、それでもしつこく話しかけてくるあたり敵意

を感じた。


「ここは子供の遊び場じゃないんだ。そうだ、いい遊

 び場を紹介してやるよ。おい、連れってやれ」

「ほら、ついておいで」

「結構です……」

「いやぁ〜、君にぴったりの場所があるんだ」


取り囲むように周りから見えなくされる。

いくらギルド内とは言えど、問題を起こす事はで 

きないだろうと思っていたが、少し甘かったかも

しれないと考えていたのだった。







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