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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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9話 嫌がらせ

新人が活躍するのをよしとしない人が大勢いた。


「おい、あの新人冒険者知ってるか?」

「あぁ、パルポロ長官に気に入られたって話だろ」

「それも裏で何か取引きがあったって知ってるか?」

「マジかよ、汚ねーまねしやがって」

「早速Bランクだってよ。あんな奴らこのまま放置

 してていいのか?」

「なら、思い知らせるべきだよな……」


コソコソと話が広がっていく。

曲解された噂は、どこからともなく知れ渡る事となる。


遙達は、暫くはここで活動するので出来る限りの依頼

を受けようと思って居た。


だが、数日間。

依頼が無くなっている事が多くあった。


何度も見に来ているが遠方の依頼以外が全部取られて

いるのだった。


「今日も依頼がないですね」

「なんでねーんだよ。普通あるだろ!どうなってんだ?」

「……誰かの嫌がらせですかね……まぁ、いいでしょう

 採取でも行きましょう」

「でもよ……」

「冒険者ギルド以外にも、稼げる場所はあるでしょ」

「……分かった」


メノウだけならどうしようもなかったが、遙がいるのだ。

商業ギルドなら買い取ってくれるポーションがある。


メノウが採取して、その場でポーションにすれば劣化を

考えなくていい。


外で錬成は普通気が散るしでやる人は居ないのだが、遙

には全く問題にもならなかった。

採取場所はギルドで発信している冊子に載っている。

それを参考に採取場所へと向かった。



「あーーー。まじでムカつく」

「そんなに怒っても仕方ないでしょ?」

「ハルカはムカつかねーのかよ?」

「別に何も?だって……そう長くは続かないから」

「………?」

「見ていれば分かりますよ。すぐに諦めますよ」


遙は落ち着いていて、全く焦りもしなかった。

その理由を理解したのはそれから5日が経った頃だった。




無理矢理に依頼を取ったはいいが、完遂できず未達成

になった冒険者が多数出たのだ。


ギルドでは未達成をしてしまうと、理由がない限り

降格対象として見られてしまうのだ。


そのせいで、何人も降格対象になってしまったという

わけだった。


それが続けば、初期のFランクに戻ってしまう。

せっかくあげたランクが下がる事に怯えた冒険者は

無闇に依頼を取るのをやめてしまったのだ。


すると、遙達が来た時にも依頼が残っているという

状態になるのだった。


「やっと、終わったようですね」

「結局やれなくなったってわけか」

「そういうわけです。無理な量はランクを下げるだ

 けですからね」


そういうと、遙は依頼の掲示板に手を伸ばした。


「おっと、悪いな。これは俺が受けるよ」


そう言って横から依頼の紙をかっさらうように持

っていった人がいた。


「おい、俺たちが受けるやつだぞっ!」

「子供には無理だろう?だからわざわざ俺たちが

 受けてやるんだ。感謝するんだな」

「なにっ!……てめぇ〜らマジで……」


すぐに遙がメノウを止めると、別の依頼の紙を

取った。


「僕たちはこれでもいいです」

「ハルカがいいなら俺は別にいいけど」

「なら、こっちにしましょう」


同じ討伐依頼だったが、難易度は格段に違う。

さっきの横取りされたのは、ブラックベアの毛皮で、

今遙が取ったのは、ブラックシープの毛だからだ。


ブラックベアは凶暴なクマの魔物化したものだった。

それに変わって、ブラックシープとは羊の魔物だ。


そこまで凶暴ではないが、逃げ足だけは早くて捕ま

えるのは絶望的だった。


羊毛が欲しいので、魔法での遠距離攻撃は絶対に

してはならない。

剣で切って血だらけになると、市場価値が格段と

下がってしまう。


だから、わざと取らなかったのだろう。

いや、遥達に取らせたのだろう。


「僕たちなら問題ないよ」

「そうだろうな……さぁ、行こうぜ」

「そうだね」


こうして、嫌がらせを受けながらの依頼になったの

だった。





乗り合い馬車載って3時間、歩いて40分と行った

ところの草原で目撃が確認されているブラックシ

ープはとにかく逃げ足が早く、捕まえられる人は

かなり少ないらしい。


たとえ見つけられても、近寄ると逃げてしまうの

だった。


「あ!あそこにいるのがそうじゃねーか?」

「そうですね。さてと、準備するのでまだ動かな

 いでください」

「あぁ……でも、どうやって狩るんだ?」

「殺しませんよ?だって依頼は羊毛だけで、それ

 ならいい方法があるじゃないですか」

「………?」


メノウが不思議がるなか、遙は錬金鍋を取り出した。


前に狩った動物の肝とメノウが間違えて食べてお腹を

壊した雑草とあきらかに見て毒々しいキノコを取り出

すと鍋の中に放り込んだ。


「おい、それって……」


ぽいぽいと入れると魔力を調節する。

ゆっくり馴染ませるように鍋をかき混ぜると、急に中

身が光だすとコロンッと小瓶ができたのだった。


「よし!できた。はい、これを口と鼻に当てて。絶対

 に離しちゃダメだから。」


爽やかな香りのする布で口と鼻を塞ぎさっきの小瓶の

蓋を開けた。


中かからは薄紫の煙が上がる。

それをこの前使った風を操る魔道具で前へと飛ばす。


黙々と微かに煙が漂っていく。

外敵には警戒をしているが、煙には警戒しなかった

らしい。

ブラックシープのそばでとどまると、急にバタっと

倒れたのだった。


「え………はぁ〜?」

「さぁ、すぐに毛を刈りにいくよ」

「どうなってるんだよ」


そう言いながらも、メノウも遙に続いて走る。

皮膚に傷をつけないように羊毛だけを刈り取って行く。

きっちり5頭分取ると、ゆっくり離れる。


目を覚ましたブラックシープは丸坊主になった事に

気づいているのか居ないのか。

遙達外敵を見つけると即座に走って行っていった。


「逃げ足は早いな…」

「そうだね。でも、警戒心が甘いから捕獲は難しくは

 ないんだよ」


余裕の表情を浮かべると、依頼を譲ってくれた冒険者

に感謝しなければならないと思ったのだった。








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