表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
PR
69/76

8話 信頼

夕刻までには浄化も終えて、風呂でさっぱりさせると

ギルドへと向かった。


冒険者は朝早く出かけて昼過ぎには戻ってくる事が

多いらしい。


夜は酒をかっくらって盛大に金を使う羽振りのいい

職業だと思われがちだった。

だが、それは一部のパーティーだけで、ほとんどの

パーティーはカツカツで生活していたのだった。


「そう言えば、最近きたパーティー聞いたか?」

「聞いた聞いた。冒険者なのにまだ子供だっただろ?」

「そうそう一人は成人したてで、もう一人はまだ幼い

 んだろう?」


噂では簡単な仕事をこなしてCランクまでになったと

言われて居た。


「子供でCランクだってよ」

「誰に媚を売ったのかしらねーけど生意気だよな」

「そんなCランク様が下水道掃除を引き受けたって

 よ?Fランクの仕事を奪うなって」

「だよな〜」


聞こえているのをわざと言っているのか、まだDラ

ンク冒険者達は僻みのように話していた。


「なんだよ、あれ……感じ悪いな」

「言いたい人には言わせておけばいいんです。それ

 に下水道掃除もちゃんとした仕事ですし、誰もや

 りたがらないからずっと残って居たわけですから」

「だよな〜、でも、あんなに早く終わらせたせいか 

 ギルドの奴ら慌てててよな〜」


さっきギルドに報告に行くと、もう終わったのかと

確認の為に人員を派遣した。

帰って来るまではギルドの食堂で食事をとりに来た

のだが、僻みに声が聞こえて来たという訳だった。


「遙様!こちらにおられたのですね。確認が取れま

 した。依頼完了です。受け付けまでお越しください」


ギルド職員が呼びに来ると、メノウと一緒に席を立

った。

周りの視線などどうでもいい。

どうせ、この街にはあまり長居をする気はなかった

からだ。


アネスタ王国首都、マジステ。

一番多くの人が住んでおり、ありとあらゆるものが

揃う街である。

そこでは船が出ており、ファルマン公国経由でペリド

王国へと渡る事ができるのだった。


そしてもう一つ、東に位置する大きな街。

イーストの街。

石化天然ガスが取れるせいか、そこでは蒸気を使った

産業が発達した。


飛行船もその一種だった。

ただ、値段が高く貴族がよく使っているだけだと聞く。


一人、金貨500枚。

食事代、部屋代別途必要というのである。


乗車賃だけだと、広い場所で雑魚寝になるというので

ある。


「やっぱりイーストだよな〜。俺、飛行船って見た事

 はあるけど乗ったことねーからさ」

「これを見ても乗りたいと?」

「これって……」

「料金表です」


ハルラの街にはイースト行きの乗り合い馬車も出て

いる。その為、飛行船の乗車料金も書かれていたの

だった。


「まじか………高過ぎだろ…」

「それは一人分だそうですよ」

「………俺が何年働けばいいんだ?」

「………一生?」

「いやいや、無理だろ!いっそ、この前みたいに…」


メノウが言いかけたのを遙が制した。

この前のは普通ではないのだ。


賞金首を探して捕まえる。

そんな事は、誰でも分かっている。

だが。簡単ではない。


だから賞金首なのだ。


ギルド職員に報酬を貰うとそのまま外へでた。

次に向かうのは冒険者ギルドのそばに位置する商人

ギルドだった。


前にもらった誓約書と金のカードを見せるとすぐに

中に入れて貰えた。


「こちらに納品分を入れても?」

「えーっと、これはマネラク殿の字ですな……分か

 りました。こちらにお願いします」

「こちらが、納品分です」


決まった数を、決まった日に渡す。

そういう契約だった。


代わりに、手数料を取らず決まった価格で規定量

買い取るという誓約書だった。

マネラクという職員はホルンの街で支店長のよう

な位置付けだったはずだ。


だが、このハルラの街でも信頼されているらしい。

疑われる事なく、支払いも子供に対してではなく

大人の対応をされたのだった。


「ありがとうございます。」

「こちらこそ、大層いい品質のものが買えて助か

 ります。またのご来店をお待ちしてます」


すごく丁寧な接客にしっかり損得が分かっている

人の対応だった。


「なんか対応がおかしくねーか?」

「はははっ、この契約書が効いているんでしょうね」


遙が見せた師匠が持つはずだったカードと遙が持ち

込んだポーションの品質のおかげか、商業ギルドは

どこに行っても対応はいいのかもしれなかった。


冒険者ギルドの方は、見た目でバカにされてしまっ

たが………。




     ♦︎♦︎♦︎




3日後に領主邸にて人と会う約束をして居た。

冒険者ギルドを通して会う約束をしたのはアネスタ

王国では恐れられている軍事を取りまとめる軍事

長官であるパルポロ長官である。


この日、遙はいつもと違ってメガネをかけていた。

目が悪いわけではない。

メノウも一緒にいるが髪の色は変えている。


「お待たせしかかな……」


領主さんの案内で通された部屋に入って来たのは

気のいい顔した年配の男性だった。


「冒険者ギルドの依頼でスフューエン様から荷物

 を預かってきました」

「それは助かるよ。荷物はどこに?」

「いえ、パルポロ長官に直接渡すようにとの事で

 したので。長官様はどこにおいでですか?」

「………私がそうだが?」

「ご冗談を……居ないのでしたら、出直して来ます」



睨めっこした後、男は大声で笑い出した。


「合格だ。スフューエンが褒める人物だけはあるな」


そういうと、奥から貫禄のある男が入って来た。

彼を見つけると遙は手に収まる箱を机の上に置いた。


「パルポロ長官ですね、こちらが依頼のものです」

「私がそうだと確信できると?」

「はい」

「それは君のスキルとかかい?」

「いえ、スキルはないので」

「………まぁいい、そういう事にしておこうか」


何かを納得したかのように依頼された荷物を受け取

ると、受け取りのサインをして返してきた。


「では、これで僕たちは帰ります」

「ちょっと待ちたまえ……荷物の中身は気にならない

 のかい?」

「気にしても仕方がないでしょう?僕が頼まれたのは

 運ぶ事までなので」

「実に物分かりがいい子だな」

「僕に関係のない事に首を突っ込む趣味はないです」


これほどハッキリと言われると実に清々しい。

長官の機嫌はすこぶる良くなったのだった。


すぐに領主邸を後にした遙達は、受け取り書をもって

冒険者ギルドへと向かった。


報酬は予想よりも格段によかった。


「こちらが報酬となります。長官からのお詫びも兼

 ねてありますと」

「なるほど……分かりました。では、この依頼をお

 願いします」


そう言って次の依頼を受ける事にしたのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ