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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第三章 強く、より強く
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7話 浄化と駆除

朝起きると、メノウと一緒に下水道へと降りた。


「うげっ……マジでくさっ……」

「まずは匂いですかね……」


魔道具を取り出すと、匂いが一気になくなった。

風を循環させてニオイを一気に外へ出すのだという。


「匂いは取れても、この暗い中で掃除するのか?」

「その必要はないでしょう。だって……」


そう言った遙は目の前を移動して居たネズミを見た。

そして、地面に光る粉を置いたのだった。


ネズミは警戒しながらも、粉に近づくとパクっと口

に含んだ。


すると、身体が光だした。

次々と光出すと周りが明るくなる。

そして、それより問題なのはネズミのそばの汚れた

地面が綺麗になって居たのだった。


「これは……」

「聖魔法……汚れを全部浄化して回るんです。それ

 をするのは僕らではなく、この子達です。明日ま

 でしか効力はないですが。この子達が走りまわっ

 てくれれば、問題ないです」


そう言って、風を奥へ奥へと向かわせる。

それに合わせるようにネズミ達が移動を始めた。


まるで操られているかのように散らばっていくのだ

った。


「魔法が使えたのか?」

「いえ、これは魔道具です。前にも同じ事をやった

 ので」


そう言って手の中に納まる程度の小さな魔道具を見

せてきた。

メノウも見た事がないもので、使い方はいたってシ

ンプルだった。


ただ、魔力を流すだけ。

それもさほど多くないので誰でも使える代物だった。


円形の小さな箱に付けられた魔石。

魔石の中には無数の回路が刻まれており、それに魔力

が流れると風が起こり飛び回るように無数伸びていく。


それに従って行くようにネズミ達が走り回るのだ。


ところどころに光る砂のようなものを設置すると進んで

いく。


「こんなところに置いてどうするんだ?」

「これはまだいるネズミ達の分です。こんな場所にいて

 はネズミ達も住みにくいでしょ?だから浄化する為に

 自ら食べるはずです」

「さっきのネズミのようにか?」

「はい、そして元気になった子達はそのまま走り回る」


実に効率的な方法だった。

人が掃除するよりも、細いところまで手が届くと言う

ものだろう。


「魔物も住み着いてるだろ?どうするんだ?ネズミ

 じゃ倒せねーだろ?俺達がやらねーと……」

「そっちも、大丈夫です……見ててください」


遙の作った粉を食べたネズミを丸呑みした魔物が

一瞬のうちに浄化されて消えて行くのが見えた。


魔物にとって光る標的なのだ。

そして食べれば、そのまま浄化される。


数時間とかからず、終わってしまった。

多分、後でギルドの人間が確認しに来ると思うが、

これほど早く終わらせた人間はいないだろう。


奥の行き止まりまで行くと、遙は何かを設置して

いた。


「それは?」

「目標?後で分かりますよ」

「ふ〜ん……」

「ちゃんと使い方も教えますよ。それに…宿屋に

 帰ってやる事もありますからね」


帰りには床に転がった魔石も回収したのだった。

多分、ここで例のネズミを食べて浄化されたであ

ろう魔物を考えると、実に滑稽に思えた。


「普通、こんな簡単じゃねーよな……」

「ほら、メノウさん、いきますよ」

「おぉ……」


一旦宿屋に戻ると、部屋の中に大きな桶樽を出した。


「お!風呂か!旅の途中は風呂に入れなかったから

 懐かしいぜ」

「まさか人がいる場所で出すわけにもいかないです

 からね」


魔石のついた魔道具を設置すると湯を出す。

温度と湯量を設定しておくと自動で湯を張ってくれる。

そして、人が入った後で湯を浄化の魔石で綺麗に

すれば何度入っても一番風呂のように透明な湯に

なるのだった。


「俺が先でもいいか!」

「………」


すぐに入りたそうな顔で聞いてくるメノウに遙は

ため息と共に頷いたのだった。


「静かに入ってくださいよ?部屋の中に風呂なんて

 普通はないんですからね」

「おう、分かってるって」


防音と防水のシートを下に敷いているせいで多少湯

が溢れても床を濡らす事はない。


放水カーテンも魔物の皮で作って置いた。

現代で言うビニールのような素材で、濡れても弾く

ようにできている。


湿気は除湿装置を起動させれば問題ない。

宿屋のベッドは主に藁を敷いてその上にシーツを被

るだけの簡易的のもので、たまに藁が刺さる事があ

る。

それを防ぐために低反発のようなウレタン生地を作

るのに数ヶ月かかった。


それをシーツに包んでベッドの上に敷いて寝るだけ

で寝心地が全く変わってくる。


どれもが、王族よりも快適な生活を送る為に作られ

たものだった。

師匠と一緒に快適を求め試行錯誤したのだ。

それが、今では当たり前になって居た。


最初はメノウも驚いて居たが、一度慣れてしまうと

もう、昔には戻れない。


「俺のベッドも敷いてくれよ」

「師匠の為に作ったやつですけど……」

「いいだろ?だってさ〜、もう無しでは寝れねー

 って〜。前にシャイアと村長の家に泊まったけ

 どさ〜、やっぱり寝心地悪くってさ」

「そりゃそうでしょ?どれだけ苦労して作ったと

 思ってるんですか」

「分かった、分かった。だからよろしく!」


遙も現代の快適さを忘れる事ができずに作ったの

だから人の事は言えない。

最初、ウレタン生地を作りたいと師匠に言った時

の事を思い出すと笑いそうになった。


「やっぱり、いい人に拾われたな………」


今でも、ここにきた時の事を思い出すと、師匠に

は感謝しかない。


自立するまでに色々な知識や好き勝手させてくれた。

一人でいたのを、騒がしくさせてしまったかもしれ

ない。

それでも、遙にとっては、これ以上ないほどの出会

いだった。


だが、彼にとってはどうだったのだろう。

遙を生かす為に死ぬことになった彼にとって……。


この出会いは………いい事だったのだろうかと今でも

考えてしまうのだった。








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