7話 諸外国の事情
ファルマン公国。
国を統治しているのはメンティウス・ファルゴアス
という。
妻は一人でローザ婦人という。
たった一人を愛した珍しい人だった。
公爵という立場でありながら、妻と娘を溺愛する人
物なのだ。
長女はオスタリア公国のメノウより一歳年下で、今の
遙と同じ五歳だった。
第一王女のロザリアはちょっとぽっちゃりしたおとな
しい性格だ。
第一王子はウィリーといい。ロザリアより二歳年下だ。
何事にも興味を示すと好奇心旺盛なのだった。
正反対の姉弟なのだ。
次にナニス王国。
ここを統治しているのはエルネスト・リーズ・ドリ
トール王だった。
戦闘卿だと言われるほど戦いが好きで、妹をオスタ
リア公国へと嫁がせたのだった。
孫であるメノウが後継者になれなかった暁には、国
を潰すとまで断言したほどの男だった。
第一皇女のナージャ嬢は今年で九歳になる。
その二歳下には腹違いのルイーシャ嬢がいる。
第一皇子のサードニクスは今年で五歳になる。
そして……もう一人皇子がいた。
名をタンザナイトという。
私生児で全て母親が違うという事だった。
ドリトール王は攻めた国の女を孕ませる事が多く。
きっともっと皇子はいるのかもしれない。
だが、その中でも認めているのはこの4人の姫と皇子
だった。
愛して育てているわけではない。
国と国との戦争に利用できると思って育てているのだ。
それほどに、戦争が好きだった。
アネスタ王国。
クンツァイト・ノン・イグネリア女王が全てを管理し
ている国だった。
ここだけが女王が管理する国とあってか厳格なルール
が多く、わずかな不正でも許されないほどに厳しい国
であった。
高官も高い教養とマナーを求められていた。
第一皇子はジェイド皇子といい、今年で九歳となる。
ナニス王国のナージャ嬢と同じ年だった。
第二皇子はコーラルという。
今年で六歳になる。
オスタリア公国のメノウと同じ年だ。
その一年後にシトリン嬢が生まれるのだが。
それは、後の話だ。
そしてペリド王国。
ここは老人が憧れる国だった。
錬金術師の真髄を知りたければペリドへ行けと言われ
るほどに錬金術師が憧れる地なのだ。
「いつかは行きたいんじゃがな……」
「いつかじゃなくて、行けばいいんじゃないですか?」
「それは無理なんじゃよ。わしはこの国で名を売り過
ぎたんじゃ。王の覚えもある錬金術師が他国へ行く
事は許されてはおらんのじゃ」
「そんな………引退したら一緒に行きませんか?」
「そうじゃのう……わしが引退できる日は来るんじゃろ
かのう」
師匠であるこの老人の知識や技術は国一番なのだそう
だった。
だから何人も弟子を作ったのだが、誰一人として長続
きしなかったという。
その中でもまだ長かった方なのが赤の塔の主である、
タヒソ・エクドールなのだという。
「僕は師匠と色々なものが見たいです。だから…」
「そうじゃのう。いざ出る時はわしの死を偽装でも
するとしようかのう」
笑って流したが、それを本当にやったらきっと国中
が大混乱になる気がしたのだった。




