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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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28話 レステルの想い

1週間という期間に渡って毎日のようにオークション

は行われていた。


期間的には短く感じるかもしれないが、それが終わ

ると閑散期として一ヶ月近く別の会場として使われる。


オークションハウスは一ヶ月間に集められた珍しい

物品を1週間という決まった期間で競りにかけるのだ。


その為、この1週間に貴族達はこぞって珍しい品物を

買い漁るのだ。


そこにはこの場を使って違法な薬物の売買を目論む

者も少なからず関わって来る事がある。

それを防止する抑止力が常に欲しいと思っていた。


そこに、高級ポーションを持ち込んだのがマネクラ

だった。

商業ギルドのギルド長をしている彼から、予想外の

モノが出品されたのだった。


「レステルさん、こちらの商品をオークションにか

 けてみませんか?」

「高級ポーションですね……それは一般的に買い取

 りに金貨3枚、売値は金貨8枚ってところでしょう 

 かね」

「いえ、そうではないんです。鑑定をかければより 

 鮮明に異質な事がわかりますよ」

「鑑定を?では、うちの鑑定士に頼んでみましょう」

「えぇ、ぜひとかそうしてください。これを売って

 きた冒険者は、自分で作ったそうですよ」

「そうなんですか……名前を伺っても?」

「いいですよ?聞いた分、しっかりお願いしますよ」

「鑑定次第ですね……」

「彼の名は…………」


取引きしたのは高級ポーションと中級ポーション

だった。

それだけでも、異質だった。

たかがポーションにそこまで言うような人物ではない。


そして、その理由を知った時には、レステルは冒険者

ギルドへと指名依頼を出していたのだった。


彼との出会いは本当に不思議だった。

まだ幼く見える外見からは、予想もつかないほどに

はっきりした言動と、観察眼には驚かされるばかり

だった。


「どうして、あの鞄の中に子供がいるんですかね?」

「子供?どこを言っているんだ?」

「あそこです、あの囲われている場所。どこよりも

 広く取ってある場所にいる人のもっている鞄です」

「あそこは………確か侯爵の……」


侯爵と事を構える気にはなれない。

ただ、しっかりした証拠があれば話は変わってくる。


「何が見えたか詳しく聞いても?」

「えーっと、では、これを通して見てください」


渡されたレンズ越しに見た景色は全く別のものだった。

不思議なレンズを通すだけで、人が赤く表示された。


そして、机に置かれた大きな鞄、その中に押し込められ

ている人の形をした赤いモノ。


もう考える必要もなかった。


すぐに私兵を連れて降りていく。


「すいません。侯爵様、こちらで違法な取引きが行わ

 れていると通報があったのですが……」

「何を言っているんだ。少し待ちなさい。今、片付

 けるから。」


そう言われて部屋から誰も出さないように見張ると、

やっと中に入れた。

だが、その時には大きな荷物は全部なくなっていた。


商人の男はすぐに立ち去ろうとしたので荷物検査だけ

行うと、帰って行った。

それを引き止めたのが彼だった。


そして、彼の手によって商人の持っているマジックバ

ックの中から攫われた少年少女が出て来たのだった。


意識はなかったが、後日無理矢理連れ攫われて、あの

場所に連れてこられたのだと言う事が判明した。

それからも、彼の機転で犯罪を摘発できた。

売買した貴族達もこれから厳しく追求されるだろう。


父に彼の事を話すと、ぜひ会ってみたいと言われた。

食事に誘うと、遅れて父も来た。


疑う父の視線にも、彼は遅れを取らなかったように

見えた。

父の「嘘はないな…」の言葉にホッとしたのも事実

だった。

自分の人を見る目には狂いはないのだと確信した。


今日も、彼と一緒に働ける。

だが、それもあと数日だった。


「はぁ〜………」

「なんだ?……若いのにため息か?」

「もうすぐ終わってしまうなって思うと…」

「あぁ、例のハルカくんか?そんなに名残惜しいなら

 婿に取ればいいだろ?私の娘に不遜はないだろ?」

「なっ……///////何を言い出すんですか!」


いきなりの父の発言に飲んでいたものを吹き出してし

まった。

冗談にも、ほどがある。

そう言いかけたが、言葉を飲み込んだ。


彼はまだ若い。

まだまだ成長するだろう。


もっと、成長しら姿見が見てみたいと期待している

自分もいるのだ。


「こんなところで彼の足を止めさせるのは勿体無い

 でしょ?」

「そうか?お前がそう言うならそうなのかもしれんな

 まぁ、縁があればまた会えるだろ?」

「そうね、その時は全力で口説くわ。今は、まだ……」


彼との繋がりはきっと、私に取っていい事のはずよ。

そう確信を持って、ギルドに依頼完了の報告と推薦状

を出したのだった。


「早くBランクに上がりなさいよね。いつまでも低い

 ランクのままでは、こっちが困るのよ。指名依頼

 が出しずらいじゃない」


レステルはハルカ思いながら戻っていったのだった。


「今回はお世話になりました〜」

「いえいえ、こちらこそ。ハルカくんにはいいもの

 を売ってもらえて助かったわ。これは私と信頼で

 きる部下しか使わないわ。早くB級クラスの冒険

 者になってくださいね。また指名するので、次に

 会うのを楽しみにしてます。あと、父上からこれ

 を渡すようにと…」

「これは……」

「どこに行っても、この国にいるうちは力になるの

 で、困った事があったら名前を出すようにと。」


素性も知らぬ子供に身分を示す階級章を渡すとは。

本当に予想外の信頼を得てしまった気分だった。


依頼を終えて、宿屋に帰って来るとやっとゆっくり

出来るのだった。






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