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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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27話 オークションハウス (7)

桶を取り出すと湯をはる。


音が隣の部屋にも反響するのでゆっくりと湯に浸

かるとホッと一息つく。


「過大評価されても困るんだよな〜」


レステルさんを見る限り、年頃の女性だというのは

見ていれば分かる。

そして、仕事場では人に厳しく、自分にも厳しい人

であるのも分かる。


その為か、周りからの視線はいつも尊敬的なもので

あって恋愛対象に向けるものではない。


そこで、いきなり連れてきた遙を可愛がっているよ

うに見えたのだろう。

父親自ら見定めに来たというところだろうか。


まだ16歳の遙にはそういう感情はまだ誰にももて

なかった。


そもそも、この世界で生きていく事の方が重要で、

恋愛など、にのつぎなのだ。


「やっぱり、一気に稼ぐなら討伐依頼なんだよな〜」


メノウがよく、討伐依頼を受けたいと何度も言って

いた理由はそれだろう。

遙のように採取依頼でも、ポーションを自分で作れ

る場合、そっちでの収益も見込めるので、生活に

困る事もないし、貯蓄もできる。

だからといって二人分を貯める気はない。

メノウの乗車賃は自分で稼いでもらうつもりだ。




     ♦︎♦︎♦︎




最近では、オークションハウスに来る客層に変化

があった。


昔は評判の悪い貴族が多かったのだが、次々と告発

された事により、誰でも気楽に入れるようになった

のだった。


「オークションハウスへようこそ。こちらで手荷物

 検査を行っております。簡単な検査ですので気楽

 にどうぞ〜」


遙がニッコリと微笑むと、ご婦人方は喜んで列に並

んだのだった。

幼い子供の笑顔は一番効果があるらしい。


ここで大事なのは、ご婦人に紛れてマジックバック

での来場と、何か怪しいものを持ち込んでいないか

の確認だった。


例えば、麻薬などの薬や、奴隷などの違法とされる

取引きに会場を使われない為にだった。


「お薬をお持ちでしたか?」

「え?あぁ、そうですわ。持病がありますの」

「そうですか、では、こちらで案内の者が参ります

 ので、お待ちください」

「他の方は入っているのではないかしら?」

「いえ、持病がある方は安全の為にこちらが案内す

 るようにしております」

「あら、そうなの?ありがたいわ」

「はい、では。少しお掛けになってお待ちください」


そういうと、後ろの人に知らせた。

入ってきたレステルさん達にその女性を引き渡すと

こそっと耳打ちした。


「持病があるという理由で持っている薬ですが、多分

 違法薬物です」

「なぜそう思うのか聞いてもいいかい?」

「量が多すぎるんです。持病の為の薬なら少量で十分

 です。ですが彼女のバックに入っている量はあきら

 かに誰かに売るつもりで持って来たとしか思えない

 からです。それに鞄の底に隠すように入っているの

 で………」

「なるほど、では、こちらでじっくり対処しよう」

「お願いします」


実際、鞄の中にはハンカチ、手鏡、数包みの薬しか入

ってはいなかった。

だが、遙の目には鞄の裏底にびっしり詰まった薬の包

みが見えていたのだった。


こうして、ひっそりと何人もの人が裏から護送されて

いくのだった。


「今日もお疲れ様〜。君すごいな〜」

「いえ、偶然ですよ」

「偶然で何人もの犯罪を防げるのか?貴族ってのは

 あの手この手でやって来るからな〜」


職場の先輩はいつもこの仕事をしているそうだが、

犯罪を見分ける術がないのだという。

先輩は力には自信があるという事で、警備として

雇われているという。


その道に長けた人を集めているようだった。


「今日もお手柄だったわね」

「ありがとうございます、レステルさん」

「お礼を言わなければならないのは私の方だ。やっぱ

 りハルカくんのソレはすごいな」

「魔力の流しかた次第では犯罪になっちゃいますけど」

「なんだよ、それって」

「秘密だ。さぁ、片付けで呼ばれていたぞ」

「はーい、行って来ますよ。またな、ハルカ!」

「お疲れ様でした。また明日!」


そう言って手を振って来た先輩に手を振りかえしたの

だった。


残ったレステルさんはじっと遙を眺めて来ていた。


「あの、何か?」

「あのだな……あの魔道具を売ってもらう事はできな

 いだろうか?……勿論言い値で構わない。ハルカく

 んはずっとここにいるわけではないのだろう?」


確かに、その通りだ。

この依頼が終わったらある程度討伐依頼を受けて荒

稼ぎしようと考えていたのだった。


「ですが、これは一つ間違えれば犯罪にも使われる

 可能性があります」

「はい、承知しています。それでも、そのような

 魔道具は見た事がないのです。どうしても無理

 でしょうか?」


レステルさんの考えも分からなくはない。

遙がいつも犯罪を事前に見抜ける理由はこのメガネ

にある。

魔力の流しかた次第では、鞄の中身や、性質なども

知る事ができる。


使い方次第では、服の中身も見えてしまう。

これには、ちょっと魔力の操作次第なのだが。


性犯罪の危険性が高いものでもあった。

所持金も丸見えなのは、ちょっとやばい気もする。


「そうですね。レステルさん以外が使わないという

 条件を守って貰えるのなら……考えなくはないで

 す」

「!?……それでは……」

「売っても、構わないです。ですが、他の人には内緒

 でお願いします。非売品なので。」

「あぁ、勿論だとも。ただ、父上には話さないわけに

 はいかないかもしれないが、構わないだろうか?」

「そうですね。スフューエン様だけにしてください」


約束を取り付けると、金額は後日話会うという事に

なったのだった。







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