25話 オークションハウス (5)
遙の活躍によって、商人の男とそれにつながっていた
貴族達を一掃できたのだという。
そこには、あの時会った偉そうな態度の貴族も含まれ
ていた。
侯爵と言っていたが、捕まれば奴隷行きに間違いない。
犯罪奴隷は大概鉱山での労働が多く、貴族などの運動
不足の人の多くは早死にする傾向にあるという。
オークションハウスでの仕事は主に、客の監視と入場
時に、ヘタな物を持ち込ませないようにする事だった。
契約期間は隣接した建物の寮に住む事になる。
二人で一部屋を使う為、相部屋の場合が多い。
だが、初日の功績を鑑みて、遙には一人部屋をあてが
われたのだった。
「ふぅ〜……今日は大変な1日だったな〜、メノウさん
の方は上手くやれてると良いけど……。まさかパー
ティーメンバーを燃やしたりしてないよな………」
火力はあってもコントロールができないメノウは一つ
間違えれば、仲間をも傷つける可能性があるのだ。
次の日から遙はオークションハウスの受付けを担当
する事になった。
執事風の服に、メガネをかけて一人ずつ担当する。
入口では荷物検査がおこなわれる。
大人の職員と、一見子供に見える遙が立っていれば、
自ずと後ろ暗い人は遙の方へとやってきた。
子供ならなんとか言いくるめられるだろう。
そんな甘い考えをした貴族が、また一人とくるのだ
った。
「オークションハウスへ、ようこそ。荷物はこちら
だけですか?」
「あぁ、そうだ。見てわかるだろ?」
「そうですね。はい、大丈夫です。では、係員が案内
するので暫くお待ちください」
「ん?自分で行くんじゃないのか?」
遙の前に来た男は、案内があるとは聞いていないと
不思議がった。
勿論、普通なら案内などない。
そのまま会場に入ってもらって構わない。
だが、荷物に問題がある人のみ、係員へと渡す事に
なっていた。
「いえ、他の方とは違い身分の高い方には特別な
サービスがありますので、こちらでお待ちくだ
さい」
「おぉ、そうか。なら待つとしよう」
そうしてきた係員員に遙は事のあらましを話して
奥へと案内してもらったのだった。
その後、裏口から兵士に連れられて出て行く貴族
らしき男が目撃されたという。
「今日もお疲れ様、ハルカくん、ちょっといいかな」
「はい、大丈夫です」
「今日この後、暇だったら食事でもどうかしら?」
「あ、はい、ですがレステルさんは忙しいのでは?」
「大丈夫よ。向こうは専門家に任せておいたから」
そう言って、終わったら入口の前で待ち合わせの約束
をしたのだった。
レステルさんの私服は普通のどこにでもいる女性用
の春色めいたスカートに白いシャツ。ふわりとショ
ールを肩にかけていた。
「お待たせしたかな?」
「いえ、とてもお似合いです」
「ありがとう。ハルカくんは素直で可愛いな」
「それは……ちょっと、僕はこれでも男ですから」
「はははっ、すまない。ついな……店はこちらで予約
しておいたから…さぁ、行こうか?」
「はい」
レステルについていくと、あきらかに高級そうな店
へと入って行く。
絶対に場違いだろ?
と心の中で叫びそうになる。
「えーっと、ここは…」
「行きつけの店なんだ」
「お、お高いですよね?」
「あーははっはっ、気にしなくていい。出すのは私
ではないからな」
「え?では、誰が?」
レステルさんと一緒に食事だと思っていたが、他にも
誰かいるらしい。
少し不安気に聞くと、笑顔で誤魔化せれた。
もう、来た時に見ればいい。
そう思いながら席に案内されると、先に食事を注文し
だしたのだった。
「勝手に注文して良いんですか?」
「あぁ、構わない。遅れる方が悪いからな」
レステルさんは、仕事場では見せないような笑みで笑
ったのだった。




