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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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24話 オークションハウス (4)

2階で見えた大きな荷物が入った鞄は部屋の片隅

に折りたたんで置かれていた。

遙に貸してもらったメガネで見えた鞄の中身は

あきらかに人間の形をしていた。

体温に反応して赤く見えるそれを使って見た限

りは、3人はいたずだった。


だが、今兵士を連れて入った時には、大きな荷

物はなく、焦る様子もない。


悪びれもせず、ただニヤニヤと卑しい笑みを浮

かべてこちらを見ていた。


「探せっ!必ずあるはずだ。この部屋からは出

 ていないからな」

「そろそろ私どもは帰ってもいいでか?」

「それは……荷物だけは検査を受けるように」

「はい、勿論です」


商人風の男は手荷物は小さな鞄一つだった。

横を通り過ぎて通路に出た時、目の前に遙が立ち

はだかったのだった。


「坊や、親と逸れたのかね?」

「えぇ、おじさん……その鞄マジックバックです 

 よね?生きた生物を入れた場合、中はどうなっ

 ているんですか?」

「!?」


ハルカの言葉を聞いた瞬間、あきらかに動揺して

見えた。

それとも、早く取り出せばまだ間に合うのだろう

か?


すかさず走り出す男の足元へ向けて持っていた

玉を投げつけた。


ソレは床に落ちるとネバネバになってそれを踏

んだ男は床に転がったのだった。


「すぐに出してください。さもないと……持ち

 主が死んだら中身は出てくるんでしたっけ?」


そう言う遙の言葉を聞いたレステルは剣を握ると

男の首に突きつけたのだった。


こうして、私兵だけで取り押さえると、鞄の中に

入れられていた少年少女は無事救出されたのだっ

た。

勿論、これで俺終わったわけではない。


どこまで罪に問えるかと言う話になるのだ。

商人の男が勝手にやっていた事で、売買はされて

いないとなると、貴族までは罪に問えない事にな

るだろう。


せっかく現行犯で捕まえても、証拠がなければど

うしようもないのだ。


「自白させるまで食事を与えるな!いいか!」

「はい!」

「連れていけ!」

「はい」


兵士に半ば引きずられるように連れて行かれる。

問題の貴族は優雅にティータイムをしていた。


「申し訳ありません、この場にいた男の鞄から

 子供が出てきており、奴隷売買に関わってい

 ないかを後日調べさせていただく事になります」

「そうか……さっきの男がな〜、全く信じられ

 んな〜、さっきまで話していただけなのだがな」

「そうですか、そうである事を願っております。

 では、今日はお帰りいただいて結構です」


レステルの言葉に、重い腰を上げるとゆっくり出て

行く。

絶対に自分は罪に問われない自信があるのだろう。

そこまで口の硬い男には見えなかったが、何かある

のだろう。


「どうでしたか?」

「あぁ、ハルカさん。先ほどはありがとうございます。

 捕まえた男からは絶対に吐かせます」

「そうですね」


遙からしたら、多分なにか裏があるとしか思えな

かった。

そして遙の知っているマジックバックは生きた生物

を入れると、中でバラバラになって生きて取り出す

事はできない。


だが、さっきの商人の男の持っている鞄からは

生きたまま取り出す事ができたのだ。

男は死ぬ事より、鞄の中身を出す事の方を拒んだ。


もしかしたら、出されては困る物が入っているの

ではないか?……と、今なら思えてくる。



「レステルさん、さっきの男の鞄を見せてもらう

 事はできますか?」

「それは構わないが、本人しか取り出せないよう

 にしてあるから、他人が見ても普通の鞄でしか

 ないですよ?」

「はい、それで十分です」



そう言うと、遙はマジックバックを受け取ると

ゆっくりと魔力を込めて行く。


元々遙は魔力があまりあるほど豊富だった。

だが、魔力を出す繊維が細くて並の魔術に使う量

を一気に出せない性質がある。


その為、ゆっくり時間をかけてする作業は向いて

いるのだが、戦闘には不向きなのだ。


錬金術において、魔力の量もだが、質が一番肝心

な要素だった。

そして細かい精密作業は遙の得意とするところだ

った。


社蓄時代に培った集中力は今も健在だった。


魔道具である限り、製作者の意図を汲んで分解

する事も同じ錬金術師なら可能なのだ。


一本一本紐解くように魔力の繊維を解いていく。

これは、作る時よりも案外楽な作業でもあった。


全部が解け終わると、中に入れてあった物

が全部その場に溢れ出したのだった。


丁度良いタイミングで入ってきたレステルが

驚きの表情を浮かべていた。


「これは……まさか中身を取り出せたのか?」

「えぇ、これで全部ですね。そして、あの男

 が拷問を受けてでも取り出されては困る物

 はこちらでしょうね」


遙は出された鞄の中身から一冊の手帳を取り

出したのだった。

そこに書かれていたのは、これまでの取引き

内容と取引きした貴族の名前だった。


日付と、内容が詳しく書かれており、商品の

情報も書かれていた。


それによると、近隣の村から2人、そこ先の村

から2人。そして、日付から見ると、月毎に攫

ってきている事を示していた。


「これで取引き相手も隠し立てできませんね?」

「あぁ、ハルカさんには本当に感謝する。これで

 あの男をしょっぴける……」


レステルは早速手配するといって出て行った。





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