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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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23話 オークションハウス (3)

どんな理由があろうと、ホルンの街で奴隷売買は

違法だった。

レステルはすぐに私兵を連れて会場をこっそり包

囲したのだった。


今回のオークションは貴族を中心に呼んである為、

帰りは前の道に馬車が立ち並ぶ光景が見られる。


そして、出る順番は高位貴族が先に悠々と出て行

くのがいつもの慣わしがだったのだが、今日はそ

うはならなかった。


「今日も良いものが買えた。やはりホルンの街は

 いい。暫くは滞在を考えようかのう」

「それはようございました。そして……こちらの

 商品ですが……」

「あぁ、後で別荘に送っておいてくれ」

「はい、そのように。侯爵様のお眼鏡にかなって

 こちらとしましても……おい、外がうるさいぞ」


部屋の外の違和感に不思議と顔を顰めた。

ドアの向こうには兵士が並び、物取りでも行われ

るかのような形相だった。


「何かあったのかね?」


この部屋の一番身分が高い公爵が声をかけると

さっきまで話していた商人らしき人は後ろの見

えにくい場所へと隠れた。


「この会場で奴隷売買が行われているという垂

 れ込みがあって、確認の為中を調べても構わ

 ないだろうか?」


兵士を連れたレステルが冷たい視線を投げかけ

ると、公爵は鼻で笑うかのように、ドアの前で

待つように言った。


「入る時にも確認したように見えたが?出る時

 にも検査をすることにしたのかね?」

「はい、信用できる方からの垂れ込みだったも

 ので……」

「そうか、なら少し待ってもらえるか?こちら

 としても、少し散らかってしまっていてね」

「分かりました。ですが、この部屋からは出る

 事のないようにお願いします」

「あぁ、勿論だとも」


一旦ドアを閉めてしまえば、上からの遙しか見

えない。


そして、遙はしっかりと見てしまった。

今、まさに何が行われているかを……。


暗くても魔道具を通せば、普通に眺める事がで

きた。

彼らも、まさかずっと見られているなど、思っ

てもいなかっただろう。


そして、今まさに鞄から引きずり出した子供を

商人っぽい男が自身の収納ボックスへと押し込

んでいたのだった。


収納ボックスとは、持ち主の魔力によって大き

さが決まり、死んだ魔物や素材を収めておく便

利なアイテムだ。


だが、中は真空になる為、生きている人間を入

れて生きている確率は極めて低い。


大きな袋から出された3人の子供は、抵抗もせず

押し込まれていった。


そして、何食わぬ顔でレステルを招き入れたのだ

った。


「これはまずいな……」


貴族にあらぬ疑いをかけた上に、証拠がなければ

逆にレステルが犯罪者になってしまう。

それだけなら良いが、弱みを握られこのオークシ

ョンハウスを犯罪の場として使われる事だって考

えられるのだ。


遙は慌てたように部屋を飛び出るとレステルの元

へと向かったのだった。




      ♦︎♦︎♦︎




侯爵という高い身分の人間が人身売買などあって

はならない裏切り行為だった。


部屋のドアを開けると落ち着いた態度で中へと

レステルを招き入れたのだった。


「垂れ込みがあったと聞いたのだが、一体誰に

 言われたのか聞かせて貰えるだろうかな?」

「それは本人の守秘義務がありますので……」

「しかし、もし何も出てこなければ……一体誰が

 責任を取るのか聞きたいものですな」


貴族の後ろに隠れるように商人の男がいる。

荷物はさほど大きくはない。

上から見た時に隅に置かれていた大きな鞄は今は

たたまれて中身がない。


一体、どこへ行ったのか?

とにかく、もう後戻りはできない。

証拠を見つけるしかない。


ニヤつく小太りの貴族の男はふんぞり返った姿勢

で椅子に腰掛けるとレステルを眺めるだけだった。







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