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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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21話 オークションハウス

メノウが冒険者ギルドで討伐依頼を受けている頃、

遙宛に、指名依頼が来ていた。


名指しで指名されれば断ることもできない。

一応、身の危険性のある依頼が断る事はできるが、

一般的に冒険者なら、受けるのが筋だった。


「ハルカです。ギルド宛に指名依頼があると聞いた

 のですが…」

「はい、ハルカ様ですね、お話があるのでこちらへ

 どうぞ」


案内されたのはギルドの2階の部屋だった。

中は、書類の山ができており、机は書類だけで埋ま

っていた。


「ここで待っていればいいですか?」

「いえ、中にギルド長が……ギルド長!書類整理お

 わったんですかー!しっかりしてくださいよ」


受け付け嬢は声を荒げると書類の山に呼びかけた。

すると、書類の中から大きな巨体がむくっと姿を

現したのだった。


「わざわざ来てもらって悪かったな、この冒険者

 ギルドの長をしているハリンソンだ。君が、あ

 の噂のハルカくんか。まだ幼く見えるが………

 いや。見た目で判断してはいけないな…、早速

 だが君宛に指名依頼があってな…」


一通の書類を出してきたのだった。

そこにはこの街で一番大きな建物であるオークシ

ョンハウスの招待状だった。


「これは……」

「この街にいれば否応なく知っていると思うが、

 オークションハウスの招待状だ。依頼主はこの

 オークションハウスの管理人だ。もちろん断っ

 てくれてもいいが、金払いはいいぞ」


ギルド長は遙がいつも採取依頼ばかりをしている

のを知っているからこそ言っているのだろう。


だが、遙は商業ギルドにも登録しているので、稼

ぎはそっちの方が多かった。

それに加えて、師匠がもらうはずだった商業ギル

ドでのカードに入っている金貨を思うと、別にそ

こまで稼ぐ必要は無かったのだった。


まぁ、勿論これはメノウには秘密だ。


「まずは依頼内容を聞いてからにしようかと」

「いい判断だ。明日、ここに行ってくれ」

「面接のような物ですか?」

「まぁ〜そう思ってくれていい。マネクラ殿からの

 推薦でハルカの名前が上がったらしいが、知り合

 いか?」

「えーっと、そうですね……」

「そうか、あやつは商業ギルドの長だからな。少し

 変わっているが悪いやつじゃない……気楽にいけ

 ばいい」


そういうと地図も書いてくれたのだった。

ギルドの受付でメノウがパーティーを組んで近くの

村へと行った事を聞かされた。


「そういえば討伐依頼を受けたがっていましたから

 ……溜池に巣食うリザードマン退治ですか……。

 しばらくは帰ってこなそうですね」


ハルカは少し悩むと、部屋へと戻ったのだった。

オークションハウスの依頼は1週間と記載されていた。

多分だが、これは泊まり込みの可能性を示唆していた

のだった。




     ♦︎♦︎♦︎




「我がオークションハウスへようこそ〜」


ピエロの服を着た愉快な男性が入り口で手を振って

いる。

今日は正式にオークションが開催されているわけで

はない。

富裕層向けだけに行われるそうだ。

ギルドからの依頼書と招待状をだすと、すんなり中

へと入れたのだった。


「こんにちわ。ハルカくんでよかったですか?」

「はい、ギルドへの指名依頼で来ました」

「はい、話は後程にして、今から行われるオークショ

 ンを見て行かれませんか?」

「はい?あの、失礼ですが……」

「あぁ、そうでした。名乗り遅れました、私はこの

 オークションハウスのオーナーをしております、

 レステルと申します」

「えーっと、ご丁寧に…僕はハルカといいます。

 この度は……どうして僕の事を指名されたのか

 不思議で…この前ここに来たばかりですし……」


戸惑いながら答えると、レステルはクスッと笑い

を含んだ。

彼女は一見軍服のようなしっかりした服を着てい

るが、笑うと可愛らしい笑顔を見せた。


「失礼……あまり笑う事はないのだが…ハルカく

 ん、君の事は商業ギルドで噂になっていたんだ。

 凄腕の錬金術師がいるとね。しかも冒険者で

 もあると聞いたんだ。だから、是非とも会って

 みたくなったのだよ」


そういって、話しているうちに観覧席へと辿り着

いた。


「まずはここで見ていくといい。これからする仕

 事場になるかもしれない場所だからね」

「あ……はい」


2階のテラス席に案内されたようだった。

ここには数席あるだけで、誰もいない。

今は、オーナーのレステルと遙だけだ。

女性と二人だけというのも緊張しないでもない。


会場はひと席毎に区切りがされており、隣の席の

顔が見えないような作りになっているようだ。


「もっと、席がいっぱいあるのだと思ってました」


ポツリと漏らした言葉に、レステルは下を指差し

ながら質問に答えてくれた。


昔は、ただ席が並んでいるだけだったらしいが、

それでは、落札した人の顔が丸見えで後で商品を

強奪されるリスクがあったのだという。


その為、誰が買ったのかは番号のみで表示するよ

うになったのだという。


特に貴族達が多いと、身分の低い貴族は自由に物

を買えないと今の体制になったのだという。


「それは素敵な考えですね」

「そういってくれるか?金さえあれば、好きな物

 を買える!それがこのオークションハウスなら

 ではの醍醐味なんだ!」

「一階のあの囲われた場所はなんですか?」

「あそこにいるのは、この場で一番位の高い貴族

 だ。普通に他の貴族と一緒の待遇では嫌だと言

 われてしまってね」

「そう………ですか……では、どうして鞄に子供

 を入れているのですか?」

「…!?」


一瞬、レステルの顔が強張ったのだった。






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