20話 討伐のやり方
メノウが受けた討伐クエストは、村の水源に住み
ついた魔物の駆除だった。
このクエストには、やり方にふた通りのやり方が
考えられる。
一つは、魔物の討伐。
1匹残らず駆除する場合。
そしてもう一つは、ここに住みたくないと思わせ
て自ら出て行ってもらう事だった。
一つ目は、1匹でも逃すと報復で、後日村が襲わ
れる危険性を孕んでいた。
だが、自ら集団で出ていく場合は未練がない為、
平和的でもある。
だが、住みたくなくなるという事は、そこの
水源が使えなくなる事を意味していた。
依頼を受けると、すぐに村へと出発した。
さほど遠くはないので、このホルンの街にも少
なからずにも影響が出るかもしれない案件でも
あった。
「どうするか………悩むな〜」
「全滅させればいいだけだろ?」
「それでも構わんのだがの……1匹残らず殲滅すると
いうのならその正確な数を把握せねばならんのだ
が…わかるかのう?」
「んん?」
考えるのが苦手なメノウがそう、深く考えて行動する
はずも無かった。
結果的に、殲滅のが簡単だろう。
そう考えた答えに過ぎなかったのだ。
「とにかく倒せばいいだけだろ?」
「そういうわけにもいかないのだよ。向こうも人型、
考える力があり、ただ無鉄砲に見つけたら攻撃し
てくる訳ではない。あやつらなりに考えて行動す
るんだ。もし、1匹でも取りこぼせば後々面倒に
なるからこういう場合は、数をきっちり把握して
から倒さねばいかんのだよ。新人くん」
「新人って……俺の事かよ」
「それ以外におらんと思うが……まぁ、いい。勉強
だと思えばいいよ。」
シャイアは村の村長の家を聞くと、メノウを連れて
向かった。
村長といっても、村人とさほど変わらないボロ屋に
住んでいる。
「すいませーん、ギルドの依頼できた冒険者です」
「おぉ、其方たちがあの魔物を倒してくれる冒険者
かえ?」
「はい、それでご相談があるのですが……」
「はぇ?すまんのう、頼みますよ」
「おじいちゃんあ、る、ん、で、す、よぉー」
「おぉ、お入りなされ。何もおもてなしできんが、
よければここに泊まるとええ」
声を張るあげると村長の耳もとで叫ぶ。
やっと聞き取れたのか、村長は家の中に招いてく
れた。
村長は耳が遠いのか、呼び鈴を鳴らした。
そして、やってきたのが年は二十歳くらいの女性だ
った。
「はーい、えーっと、あなた達は……」
「ギルドの依頼で来ました冒険者のシャイアです、
こちらは相棒のメノ。これでも38才なので、見た
目で判断されぬように」
「あぁ、すごく若いと思ってしまいましたわ。私は
この村の村長の孫でリアと言います。説明は私の
方からしますね。」
そういって、お茶を出しながら話してくれたのだった。
この辺りは自然が豊かで、薬草が多く自生している
事から村では薬草を塗り薬として村の特産品として
いたという。
村の水源は裏にある川の水を堰き止めて作った溜池
だという。
溜池の周りには匂いの強いハーブを植えており、川
からの流れて、いつも綺麗な水を使える状態だった
のだという。
しかし、そこに何処かから流れてきたリザードマン
が住み着いたせいで近寄れず、溜池の整備ができな
い為に、水が濁り生活で使う事ができなくなったの
だという。
時折り、村に来て作物を荒らして、村人に危害を
加えているのだという。
「薬草をとりに行こうにも、いつ魔物と出会うか
と思うと……お願いです、討伐してください」
「なるほど……、それでは質問だが、今の溜池を
壊しても大丈夫だろうか?壊さずに討伐となる
と時間がかかってしまうが良いかな?」
「それは………今は使えず井戸に頼ってしますが
無くなるのは困ります。討伐していただければ
すぐに使えると思っていたので……」
「なるほどな……分かった。既存のを残したまま
倒すという方法だな……」
「おう、任せろよ。しっかり倒してやるから安心
しろよ」
「メノ、お主は余計な事を……。まぁ、引き受け
たからには安心するといい」
「あ、ありがとうございます」
その日は村長の家に泊まる事になった。
孫娘は隣の家で夫と暮らしているのだという。
「メノ、明日は数を把握するでな。朝早くに出るぞ」
「飯はどうするんだ?」
「昼でもいいだろ?それに、干し肉ならあるからそれ
で我慢すればいい」
シャイアは手慣れているのか、何括りかになった干
し肉を見せた。
冒険者は、あまり多くの荷物を持たない。
咄嗟に動く時に、大荷物では身動きが取れないから
だという。
武器と、干し肉。
そしてポーションがあれば、大体の事は乗り切れる
のだと言った。
遙と一緒にいると、あまりにも快適すぎて忘れそう
になる。
部屋に風呂など普通はないし、桶一杯分の水が貰え
ればいい方だった。
それで手や顔、体を清めるのだ。
汗で疲れた身体は、服だけではあまりスッキリし
ない。
汗臭い服は窓際に干して、明日も着る。
遙と一緒の部屋だったら、ぐるぐる回る箱に入れて
出した時にはいい匂いがついていた。
「はぁ〜、そういえば今日帰らないって言ってねーな」
「なんだ、一人じゃ無かったのか?連れがおったの
なら言ってくれれば……」
「いや、あいつは採取依頼ばかりだから……」
「採取依頼にこだわる冒険者もおるからな。安全で戦
えない者は皆そうするな〜」
「戦えないわけじゃないけど……まぁ、そうだな」
メノウは遙を思い出して笑った。
確かに、魔道具はすごい物が多いが、自ら戦おうとは
しない。
危ない事は避けているようにも思えたからだ。




