5話 この世界の事
この大陸は二つに分かれており、その真ん中に大きな
水流れがあるという。
右の大陸をランドブルグ帝国。
ここを収まる皇帝によって数カ国が滅び今では大きな
大国となったのだという。
その真ん中に大きな渡れない湖があり、根元には険し
い山脈が連なっている。
そこにも小さな国が存在し、そこをペリド王国という。
魔道具作りが盛んで、民の多くは錬金関係の仕事につ
いているという。
老人はこの国の話をする時だけは目を輝かせていた。
「ペリド王国には行ったことがあるのですか?」
「いや、ないな。わしは元は貴族の生まれでの。そ
この3男だったんじゃが、魔力の才能があって城に
召し抱えられたんじゃ。そこで高官をしていた男の
弟に錬金術師にならんかと持ちかけられてすぐに、
弟子入りしたんじゃ」
「でも、高官って身分が高いですよね?
どうして錬金術師になったのでうすか?」
「それはのう…わしは人間が嫌いじゃったのからじゃ」
城の中ではいつも険悪な雰囲気だったのだという。
自分がよりいい立場になる為にと、他人を蹴落とそう
とする者ばかりで、飽き飽きしていたのだという。
話を戻すと、錬金術師が焦がれる国ペリド王国。
そこには、優秀な錬金術師が沢山いるのだという。
国からも優秀であれば多額の研究費等が降りるのだと
いう。
両側を険しい山脈に囲まれている為、多方面からの
侵略を受ける事もなく、魔道具が発達した国である
おかげで強力な魔導武器によって、戦争を仕掛けら
れる事もないのだという。
そして右の大陸の北部にはナニス王国がある。
寒い北の大地の半分をこの国が占めており、年の
半分以上を雪に覆われる地域でもあった。
その為、雪が降っていても戦える様にと過酷な戦闘
を日々余儀なくされており、どんな場所であろうと
戦えるだけの装備を整えている。
その下に位置するのがこの国オスタリア公国だった。
左右に国があり、東にファルマン公国、西にオスタ
リア公国と真ん中にある広い森を境に分かれている。
その森には魔獣が生息しており、時折り互いの国へ
と接近することがある。
そこで冒険者と言われる職業が活躍しているのだと
いう。
冒険者ギルドと呼ばれる荒くれ者をまとめるギルド
では、いつも魔獣の討伐や、危険な場所での薬草採
取などの依頼をお金で請け負ってくれる。
その代わり、国から冒険者への手出しを出来ない様
に取り決められていた。
冒険者とて正義を振り翳しているわけではない。
中には人を騙して悪事に手を染めている者もいる。
そこで、冒険者になるとギルドカードを作るのだが、
そこには血を一滴垂らす事が決められている。
その血で本人であるかを証明していた。
そして、むやみに人を殺すと、カードの色が変わる
ように魔法がかけられている。
これは神の選択なのだという。
どう言う理屈で作られた魔法なのかは人間である自分
達には分からないのだという。
どちらにしても、冒険者ギルドとは国に所属しない、
そんな集まりなのだという。
東の隣国であるファルマン公国はオスタリア公国と
は今では同盟国であった。
合同遠征もよく行われているという。
ファルマン公国の強みは造船技術によるものが多い
という。
と言っても船があっても右の大陸には行けない。
あそこの海域には大きな魔獣が出没する為に船での
航海は禁じられているのだ。
だが、右の大陸へなら陸伝いに船での物資の行き来
を可能にしている。
そして最後に南に位置するアネスタ王国。
ここは中立国と言うべきどこにも属さない国だった。
ランドブルグ帝国からの脅威はなく、大きな流れの水
に塞がれ、陸沿いにはペリド王国とファルマン公国を
通らなければならない。
そして、アネスタ王国の強みは飛行船にあった。
空を自由に行き来する船。
それが飛行船だった。
ナニス王国と貿易をしており、重要な物質や人を運ん
でいるという。
南の一番穏やかな気候のおかげか、北の高山の鉱石を
飛行船を用いて運び、加工する。
加工技術はどこの国にも劣らないというのだった。




