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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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17話 メノウの魔法

遙は見た目こそ子供だが、中身は大人である。


この世界では山を一人で散策するのが危険だと

いう事は、どんなに小さな子供であろうと知っ

ている常識だった。

それを護衛なしで、スタスタと入っていくのに

はメノウとて、不安でしかない。


ましてや、今日の朝、いきなり山に行こうと

言い出してから、ほぼ無言で歩いている。


「メノウさん、つきましたよ」

「あのさ、説明しろよ。いきなり何なんだよ」

「あぁ、そうですね。今から見えるあの小屋で

 すが………燃やしちゃってください」

「いいのか?誰かが中にいたら…」

「いいんです。中には誰も人はいませんから」


何か確信めいた事をいうとメノウに燃やすよう

に促す。


メノウは火魔法が得意だ。

だが、力加減ができず、味方をも巻き込みかね

ねないのだ。

いわゆるコントロールがなってないのだ。


剣術同様、サボりがちだったせいでいまだに

上手く扱えていないのだ。


ところ構わず魔法を使うと、味方にも被害がでる

ほどにコントロールが未熟だった。


だが、誰もいない小屋を一気に焼き切るくらい

造作もない事だった。


「仕方ねーな。一気に行くぜぇ〜」


そういうと、加減なしに魔法を放った。

火魔法は最大火力で小屋に向かって飛んでいく。


多少コントロールがずれても、標的が大きければ

外す事はなかった。


目の前にあったのはたかがボロい小屋だったはず

だった。

だが、魔法が当たる寸前に小屋が揺れた気がした

のだ。


「あれ?あの小屋……今動かなかったか?」

「動くと思うよ?火が向かってくれば逃げるでし

 ょ?まぁ、逃さないけど…」


遙の一言にメノウは目を見張った。

小屋だったものが、目の前でみるみるうちに魔物

へと変わっていったのだ。


「嘘だろ……」

「最近、この辺りで人が消えているって噂があっ

 て、調査依頼が出てたんだけど、こういう理由

 だったみたいですね」


擬態した魔物の小屋に人間から入っていけば、

行方不明の理由としてははっきりしていた。


「さっきの小屋で人を引き寄せて、食べていたって

 事かな」

「えぐいな…」

「だから、退治した方がいいかな」


メノウは攻撃が当たる寸前に逃げ出した魔物の足元

を密かに凍らせたせいで、身動きが取れずメノウの

攻撃は直撃したのだった。


確かに、メノウの火力は人並み以上だった。

これでコントロールができて、火力の調整ができて

いれば、もっと使い勝手がいい事だろう。


「残念過ぎる火力ですね」

「残念ってなんだよ?すげーだろ?俺の実力なんだ

 ぞ?」

「標的から少しずれてますよね?標的が動いたから

 よかったものの、そのままだったらかする程度

 でしたよ?」

「それは……動くのを見越してだな〜」

「最初はただの小屋だって言ってませんか?まぁ、 

 いいです。討伐部位はっと…」


そういうと、討伐完了の為に魔物の部位を切り取っ

て持って帰る。


あとは、この前訪れた山の中腹まで行ってみる事

になった。


今日はギルド職員の馬車には乗らず歩いて来たせ

いか、行きだけでもかなり疲れた気がする。


遙はポケットから出したポーションを普通の水の

ようにごくごくと飲み干した。


「自分だけかよ?」

「いるんですか?体力は僕よりあるからって自慢

 してませんでしたか?」

「悪かったーって、鉱石を掘るのも体力がいるん

 だからよぉ〜」

「仕方ないですね。はい。しっかり働いてくださ

 いよ?」


そう言って、遙はもう一個ポーションを取り出す

とメノウに渡した。

下級ポーションで体力回復にはちょうどいい代物

だった。

軽い傷なら治るし、飲んでからしばらくは疲れ知

らずで動く事が出来るのだ。


「おぉ〜身体が軽いぞ!」

「下級ポーションなんですから当たり前でしょ?

 ほら、無駄口叩いてないで先を急ぎますよ」

「はいはい」


二人はたまに魔物が出てくる森を抜けると、メノウ

がこの前堀に行った場所まで来た。


先客がいたが、気にせず入口で名前を記入すると中

へと入った。


「そういえばツルハシ借りないのか?」

「そんなもの入りませんよ」


普通はギルドから無料で貸し出しされるツルハシを

借りていくのだが、遙はそれを無視して奥へと急ぐ。


メノウは一応籠とツルハシを借りると後を追うように

向かった。


入り組んだ場所を迷う事なく進む遙についていくと

いきなり立ち止まったのだった。


「この辺でいいですね。」

「おっと、止まるなよ。って行き止まりじゃねーか? 

 あんなに自信満々に言っておいて迷子か?」

「メノウさん、貴方じゃあるまいし、僕が迷子に見え

 ますか?」


ギロリと睨むと、魔道具を取り出した。

布のようなものに何か機会が取り付けられた不思議な

魔道具だった。


布全体に何か特殊なインクで文字が刻まれている。

それを岩に被せて、発動させた。

すると、形が変わりグニョグニョと気持ち悪く動いた。


そして、光が止まると下からポロポロと岩の中にあった

鉱石だけがこぼれ落ちて来た。


普通なら岩を砕いて鉱石の含んだ部分を取り出すのだが

これは、鉱石のみを取り出す事が出来るらしい。


どういう仕組みになっているのかはわからないが、布

の触れた場所の鉱石だけに反応しているようだった。


「まじか……こんな簡単に…」

「提出分は自分で掘ってください。僕のやる方だと

 怪しまれるので」

「あ〜〜〜、確かにな……」


あまりに綺麗に掘り起こされているので、どうやって

堀ったのかと問い詰められるだろう。

魔道具での採掘は違法ではないが、取り過ぎるせいか

あまりいい顔はされない。


昔師匠と一緒に来た時も、ほどほどで帰ってきたの

だった。


誰にも見つからない奥で行うのが一番安全でもあった

からだ。

こんな簡単に掘れるならと、悪用する人が増えて鉱石

を取り尽くされる危険性があるからだと言っていたか

らだった。









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