15話 商人ギルドの奇跡のポーション
商業ギルドの支店長から貰ったカードは、店での買い
物の時にも利用できた。
それだけではなかった。
ギルド内にある銀行口座にも直結している。
そして、そこには多額の金貨が入っていたのだった。
大手の店は全部が商業ギルドに加入している為、その
カードを見せるだけで優遇される事になるのだ。
盗難防止の為に、遙の名前が記載される事になり、提
示の際には本人確認が必要になるのだという。
「こんなすごい物貰っちゃったけど……大丈夫だった
のかな〜……」
遙は改めて貰ったカードと、自分の登録カードを並べ
て見比べてみる。
どっちも名前は遙だったが、豪華さが違う。
普通に身分証明だけなら通常のカードでいいが、大き
な取引きなどではこっちの金色のカードを見せると、
手数料などの余計な費用がかからないのだ。
それだけじゃなく、下手な詮索もされないのだという。
素材さえあれば簡単に作れるポーションがここまでお
金になるとはちょっと驚いた。
師匠から相場は聞いていたが、実際に換金するのは初
めてだったからだ。
いつもなら、師匠が持っていってお金に変えてきてく
れたから気づかなかった。
「やっぱりどこでも金額をぼったくるんだな〜」
相場を知っていなかったらそれだけ低く見積もられて
いた事だろう。
宿屋に帰ると、まだメノウは帰ってきてはいなかった
のだった。
♦︎♦︎♦︎
マナポーションは魔力だけの回復に飲まれる事が多い
のだが、遙が作ったものは少し違っていた。
商業ギルドでは初めて買い取ったポーションや商品は
一回ギルド職員が試しに使って見てレビューを書く事
が義務付けられている。
遙はあの偉大な錬金術師の弟子だとあってか、商品の
質が他とは異なっていた。
「はぁ〜……相場を知ってて来たんだもんな〜。
あの方の弟子だけあるって事か……」
書類仕事をしながら魔法で書類が元あった場所へと
片付ける。
こう言う仕事が風魔法が使えるとすごく便利だった。
下級貴族の3男として生まれたマネラクは、成人して
早々に家を出た。
どうせ家を継げないのだからと商業ギルドへと入った
のだった。
仕事を覚えるのが早かったのと、その時に指導にあた
ってくれた先輩の影響でとんとん拍子に出世した。
今では、この街の商業ギルドを任される程度になった。
それでも、王都や飛行船の街イーストの商業ギルドに
はまだいけない。
もっと、業績を伸ばしていけばいつかは……と思って
いる。
そして、問題のポーションをと手に取るとゴクリと
飲み込んだ。
喉越しは爽やかで苦味はない。
錬成時に時間がかかるとここに苦味が出る事がある
らしいが、それもない。
水の花の鮮度次第でえぐみも加わるがそれもない。
鮮度のいい状態で錬成したのだろう事がわかる。
「あとは……回復量だけど……あれ?魔力も?」
飲んだポーションを確かめたが、これは下級ポーシ
ョンだ。
時間経過とともに回復する魔力だが、今目で見て分
かるくらいにグイグイ回復しているのがわかる。
これは鑑定眼を持つ者だけが見ることの出来る現象だ。
では、マナポーションはどれだけ回復するのだろう…。
興味が出て来たのだった。
マナポーションは魔力を回復させるポーションで主に
魔法職の人が使う事が多い。
魔法のほとんどが貴族などの身分の高い者が就く傾向
にあった。
なぜなら平民が魔法を習う場所がないからだった。
稀に強い魔力を持った平民も現れるが、やはり貴族の
師弟が一番多いのだった。
魔力は使えば使うほど、枯渇した時の疲労感も大きい。
ダンジョン内では、魔法職が魔力枯渇で動けないなん
て事があれば、それは死活問題でもあった。
それを防ぐために開発されたのがマナポーションだった。
使いすぎた魔力を回復してくれる優れものなのだ。
全回復出来るマナポーションは滅多にないが、魔法
攻撃を数回打てるくらいには回復する。
マネラクは魔力を減らす為に、鑑定依頼のかかった
品物を一気に鑑定し始めたのだった。
疲れてくると、さっきのマナポーションを飲み干した。
「これで、どれだけ回復したかを………んんっ?」
自分を鑑定して疑問が浮かんだ。
さっきだいぶ使ってしまった魔力が満タンになって
いたからだった。
さっきまでの疲れも一気に取れた気がした。
「これは………まさか……」
マナポーションという名の、これは魔力も体力も
回復していたのだった。
これは、他とは別格過ぎる品質だったのだ。
「やばいものを仕入れてしまったようだ」
さっきの青年のポーションは他のポーションと
同じ基準で査定すべきではなかったらしい。
どう見ても根本的に性能が違い過ぎるのだ。
「おーい、ラクラ!」
「はーい、いかがしましたか?」
「さっきの客覚えているか?」
「はい、親の使いですかね〜」
「これから彼が来たら、すぐに呼んでくれ。俺が
対応しよう」
「マネクラ様がそこまでいうとは、よっぽど腕が
いいんですね〜是非とも彼の両親とはこれからも
取引きしたいですね〜」
「…………」
こうして、商人ギルドでも知らぬうちに噂が立ち
始めたのだった。




