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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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14話 売買

遙は、朝食後商業ギルドへと向かった。

昨日余分に作った上級回復ポーションと中級回復

ポーションを買い取って貰う為だった。


「すいませーん、誰かいらっしゃいますかー?」

「はーい、今行きます」


奥から声がすると、ドタバタと足音が聞こえてきた。

商業ギルドは冒険者ギルドより西に位置しており、

商店が多く並ぶ大通り沿いの一角に建っていた。

見た目は冒険者ギルドよりもこじんまりしているよう

に見えるが、中に入ると装飾品が所狭しと並んでいて

豪華さがまさに雲泥の差だった。

中でも、ここでは迷宮品が高値で売られていた。


「すごい……」

「お待たせしました。えーっと、お客様です…よね?」


遙を見て、第一印象で口籠るあたり、全く人を見る目

がないと言える。


「ラクラ、何をしているんだい?お客様にお茶をお出

 ししないか……」

「はっ!マネラク様、ただいまお持ちしまふ!」


慌てて言った言葉を噛むと罰が悪そうに真っ赤な顔を

して奥へと下がっていった。


「これは失礼。私はこの商業ギルドの支店長を務め

 ているマネラクと言う者です。平民は御嫌いです

 か?」

「いえ、見た目で判断しない人なんだな…と思いま

 して」

「ははっ、私も身分で対応が違うと言うのは好きで

 はないのでね。さて、本題に入りましょうか?」

「はい、これらの商品をこちらで買い取っていただ

 きたいのです。これからも同じ頻度で納品すると

 したらどうですか?」


上級回復ポーション10本と中級回復ポーション10本、

下級回復ポーション20本、マナポーション10本を机

の上に置いたのだった。


「これは……マナポーションかな……うん、いい出来

 だね」


マネラクと言う人は、鑑定眼を持っているらしい。

すぐに品質と商品を紙に書き出すと買取り金額を書き

足したのだった。


上級ポーション………10個、金貨30枚

中級ポーション………10個、銀貨10枚

下級ポーション………20個、銅貨20枚

マナポーション………10個、金貨30枚

   合計で、金貨60枚、銀貨10枚、銅貨20枚。


「こちらではいかがですか?」

「えーっと、ちょっと考えさせていただいてもいい

 ですか?」

「なら、マナポーションを金貨35枚では、いかがで

 しょうか?」


上級は1本あたり金貨3枚、中級は銀貨1枚、下級は

銅貨1枚で取引きされる。

ただ、マナポーションは滅多の出回らず、冒険者で

も、魔法職の人が主に買っていく事から高価だが、

需要が低いとされていた。

それでも、魔法職といえば貴族が多いので、買う時

はごっそりと買っていくので、儲け幅は大きいと聞

いていた。

したがって、マナポーションは一般的には金貨5枚

が妥当なのだと聞いていたのだった。

売値は金貨8枚はするので、かなりの儲けが期待で

きるのだった。


「マナポーションは別のところで売ることにします」

「では、金貨50枚でいかがでしょう」

「そうですね〜、それならいいですよ」


遙はニッコリと笑みを浮かべた。


「相場を知っていて試しましたね?」

「いえ、師匠に聞いた事を覚えていただけです」

「師匠ですか……優秀な方だったのでしょうね。

 では、手数料を引かせてもらって……これから

 は常時取引を行う形でいいですか?」

「はい、構いません。」

「では、別室でギルド証を発行しましょう。ちなみ

 にですが、師匠と仰いでいる方の名前を伺っても

 いいですか?」

「師匠の名前ですか?手数料をまけてくれたら教え

 てもいいですよ?」

「………」


ニコニコと笑みを浮かべると、好奇心に負けたのか、

目の前男は、情けなく眉を歪めた。


「いいでしょう。情報も商品です。今日は手数料な

 しで買取りましょう」

「メルバルト・ファオニンと言っていました。10年

 程弟子として一緒に暮らしていました」

「メル……バルト……ファオニンと?あの偏屈な?」

「強情ですが、筋の通った人でしたよ?優しかった

 ですし?僕を拾って育ててくれましたから……」


師匠の名前を聞いた瞬間、マネラクはすぐに金色の

カードを渡してきた。


「これは、あの方に返す為に持っていた物です。ま

 さかこんな形で弟子の貴方に出会えるとは……」


そう言うと、彼は遙にこの商業ギルドでの売買を行

う上で、必ず手数料がかからないギルド優待カード

を渡したのだった。


これはお得意様だけに渡されるもので、滅多に流通

していない物でもあった。


「これは……」

「これを見せて売買を行うと、毎回かかる手数料を

 無視して売り買いが出来るのです。あの方に渡す

 はずだったものですが…弟子ならいいでしょう」

「ありがたくいただいておきます……」


帰り際に、ポツリと漏らした言葉は、誰の耳にも届か

なかった。


「あの人の弟子なら、このポーションの出来にも納得

 ですね……下級ポーションが中級を超える性能なん

 て聞いた事ないですよ……」


鑑定眼を持つものだけが事実を見抜くことが出来る。

冒険者ギルドにいた鑑定士にはここまで詳しく見る事

は出来なかっただろう。

だが、マネラクには見えていたのだった。


ポーションの品名の横に付け加えられた小さな文字を。







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