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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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12話 採取依頼 (4)

宿の部屋は1日銀貨1枚。

朝、晩の食事付きで1日銀貨2枚になる。


メノウはそれだけで今日の稼ぎ分のほとんどがチャラ

になってしまう。

そこで、女将さんが気を利かせてくれて二人で銀貨3枚

で一部屋に藁ベッドをもう一個運んでくれると食事付き

でいいと言ってくれた。


寝る時くらいは一人になりたいと思いながらも、この世

界に来てから一人になったのはこれが始めてだと気づく。


いつも師匠がついていてくれて、小さい時は寝るまで、

ずっと一緒だった。


まるで親子のような関係だった。

でも、もうそれも終わってしまった。


遙を護ってくれる存在はいないのだ。

必要な知識は、しっかり教えてもらった。

多少、常識には疎いが、それは師匠もさほど変わら

ない。


そして、ここにもう一人、常識に疎い人がいた。

メノウだ。


「なんだよ?」

「いえ、メノウさんは常識とはかけ離れているんだろ

 うなって思っただけです。さぁ、食事に行きましょ

 うか」

「なっ!そんな事はないぞ!おい、聞いてるのか?」


後ろから声がするが、軽くスルーした。

一階の食堂へと行くと、いい匂いが漂って来た。

お勧めを頼むと、串に刺さった肉に、何かわからない

魚を煮込んだものが出て来た。

付け合わせのポテトを蒸した物と一緒に口に含む。


味付けは塩とハーブでシンプルだが、意外といける。

厨房では一人の男性が鉄鍋を奮っていた。

屈強な体格の人で、ここの主人だと一目で分かった。


「ここの料理は一人で作っているんですね…」

「そうよ、あの人がいるからここはやっていけるのよ

 それに……あの人の料理は最高よ」


女将さんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

信頼しているのだろう。


少し欲を言えば、ポテトをもうちょっと別の調理を

すれば、もっと繁盛すると思うくらいだった。


ここでは一般的なパンは硬いパン一択のようだった。

師匠との食事の時も、いつも硬いパンに肉や野菜を

挟んで食べていたからだった。


前に、ミルクと卵に浸したパンを砂糖で甘くして焼

いたら、師匠は気に入ってその日からしばらく同じ

ものが続いたことがあった。


きっとパンを加工するという発想がないのかもしれ

ない。


是非とも暇な時に、話してみたいものだと考えなが

ら食事を済ませると、部屋へと戻った。


部屋には洗面器程の容器が置かれ、中にはお湯が入っ

ていた。


「これは……」

「あぁ、それで身体を拭くんだろ?おい、知らないの 

 か?あのジジイは教えなかったのか?」

「え?師匠なら毎日……あ……そういう事ですか……」


少し黙ると、魔道具を探した。

それは自動的に湯が溜まる大きな樽だった。

備え付けの魔道具に触れると勝手にお湯が出てくる

仕組みになっている。

毎日こうやってお風呂に浸かっていたので、拭くだけ

の生活は遙には考えた事もなかった。


「なんだよそれ!おい、なんで風呂に入れるんだよ」

「魔道具ですから……後で使うなら貸しますけど?」

「使う!使うに決まってるだろ!」


メノウもしっかり風呂に入りたかったらしい。

それ以来、この部屋では部屋の隅に間仕切りをつけて

そこで風呂に入る事にしたのだった。








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