10話 採取依頼 (2)
綺麗な水の側に咲くとされている水の花はすぐに見
つける事が出来た。
ただ、問題があるとするなら……。
「あれが、水の花だな…よ〜し、俺が取ってくるぜ」
すごく張り切っているメノウが率先して花を摘んで
いる事だった。
遙は魔法が使えない。
一応魔力はあるそうなのだが、魔術師が使う魔法も
一般的な平民が使う生活魔法も使えないのだ。
自力で流せる魔力は微々たるもので内包魔力は人一
倍あると言われても実感がない。
師匠が言うには異世界から落ちて来た人は、長くは
生きられないそうだ。
その理由が、自分の中にある魔力をうまく出せずに
魔力過多で早死にするのだという。
今、遙は魔道具作りという形で強制的に魔力を使っ
ている。
ポーションにしても、魔道回路にしても、多くの魔
力をゆっくり消化出来るので早々死にはしないよう
になっている。
だが、魔法が使えないのはちょっぴり寂しい。
師匠はすごい魔法をいとも簡単に使っていたからだ。
魔道具作りも出来て、魔法も使える。
更に剣の腕も一流だったのだ。
元貴族だと言っていたので、小さい時から習わされ
たのだという。
知識も豊富で遙と会う前までは、つまらない生活を
していたと言っていた。
誰にも自分の価値を理解されず。
誰にも相談できない。
同じ価値観を持っている人がいなければ、これほど
つまらない日々はない!と、いつも言っていた。
「おーい、こんなに取れたぞ〜〜〜」
嬉しそうに遙に手を振るメノウを眺めながら遙も
水の花へと手を伸ばした。
触れるとひんやりして気持ちがいい。
鋏に魔道具を付けるとチョッキンッと根元で切る。
切った所が一気に凍り付いた。
そのままマジックバックへと放り込んだのだった。
言われた数は20個だった。
遙は20個取り終えると、あとはその場で錬成用に
使う。
鍋とテラリウムを取り出した。
一番鮮度のいい取り立ての水の花を錬金鍋に入れる
とそのままゆっくり魔力をなじませる。
取り出した杖でゆっくり混ぜると……コロンっと
小さな小瓶が数個出来上がったのだった。
「よし、出来た」
これほど鮮度のいい材料があれば上級ポーションが
出来るらしかった。
遙がポーションを作成している間に、メノウは黙々
と水の花を回収していた。
満足いくまで取れたのか、やっと戻って来たのだった。
「おう、終わったから帰ろうぜ」
「しっかり取れたんですか?」
「あぁ、ほら、こんなに取れたぜ」
「あ……急いで帰った方が良さそうですね」
「ん?俺が取った分は分けてやらねーぞ?」
「入りませんよ。さぁ、戻りますよ」
メノウと一緒にギルドまで戻って来ると早速受付け
へと依頼書と一緒に提出した。
「メノ様はこちらに、ハルカ様はこちらにお出し下
さい」
「見て驚けよ?いっぱいあるからな〜」
メノウは自信満々に取り出すとどれも萎びてしまっ
ていた。
それでも、一応鑑定はするという事で台の上に全部
置いたのだった。
遙の方は最低限の20個をあたかも鞄から取り出した
かのように見せかけてマジックバックから直接取り
出したのだった。
摘みたての鮮度のいい状態で、しかも切った茎から
は、滴る水が全く溢れていなかったのだった。
普通、切り口から水が溢れ落ちていき、鮮度が落ち
ていく。
だが、遙が持って来たものは、それが全く感じられ
ないほどに切り立ての状態を維持していたのだった。
「これは……凄いです、すぐに鑑定へ出してきます」
「はい……お願いします」
奥へと持っていくのを見送ると、近くの椅子に腰掛
けたのだった。




