9話 採取依頼
こうして簡単な講習を聞くと、採取依頼を受けたのだ
った。
遙も同じ依頼を受けているので一緒に行動する事にな
るのだった。
「まずは、水の花20個ですね。気をつけて行ってらっ
しゃい」
受付けの人に見送られるように遙とメノウは渡された
地図の方へと歩き出したのだった。
さっき通った門をくぐると、さっきの門番の人がにこ
やかに送り出してくれた。
「坊主、気をつけるんだぞ〜!鐘が鳴るまでに帰って
こいよ〜」
「はい、ありがとうございます」
愛想よく笑顔を向けると遙は門番の人に手を振った。
こういう時ほど愛想よくしておいて損はない。
「水の花を20個って簡単じゃん」
「はぁ〜………しっかり聞いてました?」
簡単、簡単と余裕綽々にしているメノウに遙は呆れる
ようにため息を吐いた。
講習では、一番簡単で取って来ただけ全部買い取って
くれる採取依頼を中心に教えてくれた。
回復ポーションやマナポーションに必要な材料がこの
『水の花』なのだ。
回復ポーションにはこれに『テラリウム』を加える。
マナポーションは『魔法のキノコ』と『風の花』を加
えて出来る。
実に聞いているだけなら簡単に聞こえるが、実際は
そうではない。
材料を買い取った錬金術師が魔力を調整してやっと
ポーションが完成するのだ。
ただ、これには下級ポーション、中級ポーション、
そして上級ポーションに分かれる。
違いは何かというと、作る人の腕と材料の鮮度に比
例して出来が左右されるのだ。
「メノウさん、ちゃんと聞いてました?鮮度が買取
り金額に左右されるって話。ただ取ってくればい
いと言うわけではないんですよ?」
「分かってるって!俺様が取るんだから、鮮度抜群
に決まってるだろ?」
何を言っても聞きそうにはなかった。
メノウは武器の剣以外にも短剣を購入した。
遙はいつも使っている鋏を腰に付けると目的の水辺
へと向かったのだった。
綺麗な水が出る場所に自生している花で水色の綺麗
な色をしている。
特徴は切った瞬間から水分が抜け始め、時間経過と
共に萎びてしまうのだ。
もって1時間。
それ以上経つといくら水につけたままでも色が変色
し鮮度を損なってしまうのだった。
だから、この花を積む時はバケツに水を入れて持っ
ていく。
そこに詰んだ花を入れていく冒険者が多いらしい。
だが、遙は知っている。
師匠と何度も詰んだ花なのだから……。
この花は切った場所を凍らせると鮮度が落ちるのを
防ぐ事が出来るのだと。
これはギルドにも知られていないようで、説明され
ていなかったのだった。




