8話 メノ、冒険者になる
オスタリア公国から1週間弱かかってアネスタ王国
へと無事着いた。
アネスタ王国の一番北の街ホルンは海に面してい
ないが、月に4回行商人が来て新鮮な魚介類を売
りにくるのだという。
ぜひ、買っておきたい。
そこから数十キロ離れた場所にあるのが、ハルラ
という大きな街なのだという。
その南へ行くと王都マジステがある。
ここは最南端で船が出ている。
この船に乗ればファルマン公国を経由してペリド
王国へと行く事が出来る。
そのもっと西へ行くとイーストという街があって、
そこでは身分の高い人が別荘を建てて所有してい
る街として有名なのだという。
移動手段は主に、飛行船が空を飛んでいるのだと
いう。
それはオスタリア公国の北、ナニス王国へ行くに
はこの飛行船に乗るのが一番早い。
だが、乗車賃が格段に高い為、身分の高い貴族や
有名な冒険者などしか利用できないと言われていた。
「船か、飛行船か……」
「飛行船いいよな〜、俺一回乗ってみたかったん
だよな〜」
「金額わかってます?」
「ん〜〜〜知らねっ」
船のが格段に安いが、それでも普通の一般人が乗る
には高いとしか言いようがない。
それに、オスタリア公国はファルマン公国と友好条約
を結んでいる。
その為、もし乗船者への検査などあろうものなら見つ
かって引き渡される可能性も考えられた。
このホルンの街で一番有名なのは、オークションハウ
スなのだと観光案内に書いてあった。
王都から離れてはいるが、貴族などの身分の高い人間
がオークション目当てで訪れる事もあるのだと書いて
あったのだった。
「オークションハウスだってよ?面白そうじゃん」
「それよりもギルドが先です。それに……お金持っ
てるんですか?」
「ん?持ってるわけねーだろ?稼げばいいじゃん。
魔物を倒せば金になるだろ?」
メノウはそういうと楽観的に笑っていたのだった。
門を入って真っ直ぐ向かうと大きなレンガ作りの建
物が見えた。
看板には大きな字で冒険者ギルドと書かれている。
「ここが冒険者ギルドですね…」
「なんか、オスタリアより大きく……いてっ!何す
んだよ?蹴る事ないだろ?」
「言いましたよね?余計な事は、言、わ、な、い、
で下さいって…」
遙の言葉に、メノウはハッとして口をつぐむ。
通りには人はまばらで、聞こえていなかっただろう
事が幸いしたが、中でそれを言っていたらと思うと
ゾッとする。
「名前と自分の魔法属性以外は余計な言葉は慎んで
ください」
「お……おぅ」
厳しく言い聞かせると、二人は中に入ったのだった。
朝と違って昼を過ぎているせいか冒険者たちも少なく、
受付けの人は暇そうにしていた。
真っ直ぐに受付けへと向かうと遙は自分の冒険者証を
取り出した。
「受付けをお願いしてもいいですか?」
「はーい、ここでは初めてかしら?」
「はい、両親が亡くなって冒険者としてやっていき
たいんです」
「あら、偉いわね。もう登録は済んでるわね。じゃ
〜あそこの右側の掲示板から好きな依頼を受けて
来ていいわよ。そっちの子はどうするのかしら?」
遙に掲示板の方を案内すると、後ろにいたメノウへ
と視線を向けた。
「俺は……俺は登録を頼む」
「分かったわ。こちらに名前や必要事項を書いて」
「あぁ、俺様は強いから魔物討伐を受けたいからな」
「あらあら、あまり自信を持ち過ぎちゃダメよ?
この辺りは門を出れば危険な場所も沢山あるのよ」
紙を受け取ると、目を通すと針の着いた器具を出し
たのだった。
「これで血を一滴垂らしてくださいね。そしたらす
ぐにカードができるわ」
メノウは器具の中央に指を乗せるとプツッと針が刺
さり血が滴る。
すると、下で光が起こるとカードが表示されたのだ
った。
「はい、これが貴方の冒険者証よ、無くしたら発行
にお金がかかるからね」
「あぁ、無くしたりはしないさ。さぁ〜俺に見合っ
た依頼を探してくれ」
「ふふふっ……さっきの子と一緒のところで探して
いいわよ。でも、一つだけ……最初は採取依頼を
受ける事!これは絶対よ」
「採取って葉っぱやキノコだろう?俺には似合わな
いだろう?」
「似合う似合わないじゃないのよ。まずは実力がわ
からないうちから討伐に出て大怪我をする人がい
るからそれを防ぐ処置よ。それに依頼に失敗した
らランクが下がるから気をつけてね」
メノウは最初なのでFランクからスタートなのだ。
Cランクからは試験が必要になる。
ちなみに遙はいつでもBランクに上がれるだけの依頼
数はこなしていた。
だが、試験を受けていないのでランクが上がっていな
いだけなのだった。




