7話 アネスタ王国
数日かけてやっと南の検問まで辿りついた。
オスタリア公国とアネスタ王国の境にある検問。
ここを抜ければ、アネスタ王国へと入れる。
ここまでの間に、追っ手らしき人は来なかった。
警戒すべきは、この検問だろう。
「下手な事は言わないで下さいね」
「なんだよ?下手な事って?」
「自分がマーロ公爵の息子だって事ですよ。名前も
気をつけてください。もしお尋ね者にでもなって
いたら…」
「あ、そうか!逃げて来たんだもんな……でも、あ
いつ……無事かな…」
「まさかイーサさんのことですか?」
「あぁ、あれでも俺の弟だしな」
本当にアホなのかと思う。
殺害疑惑がかかっており、下手したら処刑される所だ
ったのだ。
まぁ、遙がだが…その原因は、自作自演か、もしくは
誰かが仕組んだことか!
どちらにしろ、まだこのままで終わるとは思えなかっ
た。
イーサが死んで、メノウが捕まれば得する人間はいる
だろう。
こんな単純な事に誰も気づかないわけはないだろう。
師匠が自分の机には触れるなと言ったのには理由があ
る。それは、遙と一緒に作ったポーション。
エクリサーが入っているのだ。
多分、それを使ってイーサさんは助かっただろう。
だが、それも毎回使えるわけではない。
小瓶一個しか残しておかなかった。
もう一個は遙の手にある。
「本当にこれでよかったんですよね……師匠」
師匠が死んで遙が生き残った。
確かに遙はこの世界では異物かもしれないが、師匠に
とってはそうではなかったらしい。
自分の命をかける位に大事にされていたという事だっ
たのだ。
一緒に過ごした日々は本当に楽しかった。
社蓄として働いていた時より、充実していた。
好きな事を、好きなだけ研究出来るというのが、こん
なに楽しいと思えたのは、師匠が色々な知識を教えて
くれたおかげだ。
一緒になって研究室に籠って実験に明け暮れた。
それが今の遙を作っているのだった。
「ここの冒険者ギルドに登録してまずは身分証を作
りましょう。そうしないと宿にも泊まれないので」
「あぁ、そうだな。名前はメノでいいか?」
「まぁ、安直ですが……いいんじゃないですか?」
「そうだな。じゃ〜行くか!」
そう言って、二人は歩きだした。
検問はあっけなく通れてしまった。
こんな場所を訪れるのは行商人しかいなかったらしく
門番の人も親切に街の事を教えてくれた。
「おう、子供だけで大変だな〜。」
「はい、両には病気で先立たれまして……」
「それは大変だな。何かあったら言えよ?教会はまっ
すぐ行って右奥の高い建物だ。冒険者になるなら中
央通りをまっすぐだ。でかい建物が見えるからな。
宿屋はその真っ直ぐ行った場所にあるぞ」
「ありがとうございます。行ってみます」
ニッコリと笑顔を見せるとメノウと一緒に堂々と入っ
ていく。
やっぱり、お涙頂戴が一番効率がいいらしい。
この世界では十七歳で成人なので、一応まだ子供で
通る年齢だった。
それ以前に遙の見た目なら、10歳でも通る程だと言
われたのがちょっと悔しい。
よほど童顔み見えるという事だった。
いや、これは身長が小さ…………全く失礼な世界だ。




