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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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3話 新たな旅立ち (3)

認めたくない!

認めたくない?

認めたくない……。


この世界で初めて会った人。

この世界で、初めて家族のように親しくしてくれた人。

いつかは年老いて死ぬだろうとは思って居たが、まさ

かこんな別れを迎えるなんて、思ってもいなかった。


一緒に世界を回る約束。

いろんな場所へ行って、もっと知識を教えてくれると

約束したのに……。


わざと、弟子一人に罪を被せて…。

そしてこっそり姿を変えて弟子を逃した。

それで自分が死んでは意味がないではないか?


もっと、研究したい事はいっぱいあったはずなのに

どうして……。


遙は、まだまだ一緒にやりたい事はいっぱいあった

し、教えてもらいたい事だっていっぱいあった。


「途中で弟子を投げ出すなんて……卑怯ですよ」

「なんだよ?あのジジイに捨てられたみたいないい

 方してよ〜、あのジジイの事だから逃げだしたん

 じゃねーの?」

「…………」


街の人の話では、処刑された少年は死んだ瞬間老人

なって居たと言って居た。

それは、死んで薬が解けたと言う事だろう。


それはすなわち、師匠の死を意味して居た。


「僕の身代わりに死んだんですよ………」

「………なんでだよ?あのジジイが死ぬ訳ないだろ」


確かに、強い人だった。

魔法も、剣術も…貴族の末席だったせいか一通り

習って居たのだろう。


いつも、師匠は口癖のように言っていた。

貴族なんかに生まれるもんじゃない。………と。


自由のない、どこにもいけない。

自分の意思など通らない、そんな監獄のような

場所だったと昔を語った事があった。


遙には貴族の生活とやらは分からないが、煌び

やかな場所だと思っていた。

が、現実は違っていたらしい。


「師匠は幸せだったんでしょうか……」

「幸せだっただろ?お前の前では楽しそうだっ

 ただろ?あの偏屈ジジイが笑ったのを見たの

 は初めてだったしな」


少し照れたようにメノウが話した。

メノウが見て来た限りでは、絶対に笑わない人だ

ったらしい。

むしろ、眉間に皺を寄せては嫌味や小言を言う人

だったという。

弟子を何人も取っては、すぐに辞めさせたらしい。


出来の悪い弟子にはきつくあたったのだろう。

それでも、偉大な功績を残した錬金術師なので、国

からも弟子をとって教育させるようにと言われたら

しい。

そして最後の弟子と思われていたのが、エクドール

だった。

彼は、温和な性格だったせいか長くもった方だった。

それでも、2年しか続かなかった。


それが、どうだろう。

遙とは、5歳の時に拾われ、16歳まで一緒にいられて

いるのだ。

奇跡と言ってもいい。


「あのジジイが楽しそうにしてたのはハルカだけなん

 だぜ?自信持っていいとおもうぞ?」

「そう……かな……」

「あぁ。ジジイは幸せだっただろ!それに、あの年で

 もまだ、研究熱心なんだもんな〜」

「生活を向上させるには、まだまだ魔道具が足りない

 くらいです」

「そう、それだよ。お前らの原動力がすごいんだよな

 俺には全く理解できねーもん」


メノウは遙を励ますつもりなのか、調子のいい事を言

っているようにも聞こえる。

それでも、今は…それが何よりもありがたかった。


もう、死んだ人間をどうこうはできないけれど、その

死を無駄にしない事はできる。


そう思う事にしたのだった。














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