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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第二章 冒険者として生きる
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1話 新たな旅立ち

見知った顔に似ている。

そんな思いで目の前を歩いていた人物の肩を掴むと

振り返らせる。


「ハルカだよな……どうして……」


朝、連れて行かれた少年。

そして今日、処刑されたはずの少年だった。


他人の空似といえば、そうかもしれないが、ハルカ

の容姿は独特で黒目、黒髪が珍しく滅多に生まれない。


そんな姿の人間が、何人もいるとは思えなかった。


「ハルカだよな……生きていたんだな……」

「……」


ただ、黙って何も言わずメノウの手を振り払うと先

を急ごうとした。


「おい、待てって……なんで何も言わねーんだよ」

「……」

「俺は、お前が処刑されたって思ってだな…」

「こんな人の多いところで話す事じゃないでしょう?

 もう時間がないというのに……貴方はバカですか?」


久々の暴言に、メノウは少し安堵した。

あのジジイは弟子を見捨てた訳じゃなかったのだ。

それにしても、どうやって逃げおおせたのだろう。


処刑は執行されたと町中では噂になっていたし、逃亡

したのなら、もっと騒ぎになっていてもおかしくはな

いのだ。


「それより、今からどこに行くんだ?」

「どこって…はぁ〜……考えればわかるでしょ?ここ

 を出るんですよ。もう、邪魔だから帰ったらどうな

 んですか?」

「いや、俺も行く。どーせ城に帰っても部屋に軟禁さ

 れるだけだしな」

「は?……後悔しても知りませんよ?」

「しねーって、俺、強いし?護ってやろうか?」


茶化すようにメノウは笑顔で自信満々に言った。

だが、遙にとってはそんな事はどうでもよかった。


師匠の言いつけ通り、すぐにこの国を出発したかった

のだ。


物資は買えるだけ買った。


あとは小ぶりな鞄を背負って夕刻の鐘が鳴る前に外へ

と出るのだった。


まだ、町中が騒ぎになっていないうちにギルド証で出

てしまえば、あとは追手さえ掛からなければなお良し。


そううまくは行かないと思うが、まずは段取りよく

進めていくことにした。


少し問題があるとすれば、メノウが途中で合流して

付いて来ると言われた事だった。


確かに、一人では不安ではあったが、メノウと一緒

というのは余計に不安でしかない。


何を呑気に鼻歌を歌っているのかと睨んだが、彼を

喜ばせるだけだった。


「本当に、僕の邪魔はしないで下さいよ」

「あぁ、しねーって!安心しろって」

「それが余計に不安でしかないですよ」


一応メノウは服は平民ぽい服にして来たおかげか

帽子さえ被れば、まさか自国の王太子だとは思わ

れないだろう。


ポケットから帽子を取り出すと、メノウに放り投

げた。


「これでも被っておとなしくしててください」

「おぉ」


そのうちに遙は屋台の方を周り、食材を買い占めた。

そして、全部マジックバックへと押し込む。


途中、見回りの兵士達とすれ違ったが、フードを深

くかぶりやり過ごした。


1個目の鐘の音がした頃には、門の前まで来たのだ

った。


1個目の鐘が鳴ると、屋台は一斉に締めて帰り支度

をしだす。

そして2個目の鐘が鳴ると、家に入って戸締りをす

るのだ。


そして3個目の鐘が鳴ると外へ通じる門は閉ざされ、

朝まで開く事はない。


これは、この世界で生きていく上での常識なのだと

教わった。


それはどこの国に行っても共通の常識とも言われて

いたのだった。


「すいません、ここを通りたいのですが…」

「おぉ、坊主。今から出たら2つ目の鐘までに間に

 合わないぞ?悪い事は言わないから明日にしてお

 きなさい」

「お母さんが、病気なんです。早く薬草を取ってこ

 なきゃいけないんです。すぐに帰って来るので、

 ここを通して下さい」

「それは……わかった。すぐに帰って来るんだぞ」

「はい、帰りは北門から入るので大丈夫です」

「気をつけろよ」


門番に見送られながら遙とメノウは外に出たのだった。







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