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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第一章 異世界にきてしまった
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27話 旅立ち

マーロ公爵の前に引きずり出されたハルカはただ

悔しそうに口を噤んでいた。


「こたびのイーサ殿下の毒殺に関与したとして死刑

 をいい渡す。申し開きは認めん。其方が恨むなら

 師匠を恨むんだな。これでファオニンは無罪とな

 るんじゃからな……お前一人の死刑で終わるんだ」


そういうと拘束されたままのハルカを両脇で抱える

と兵士達が死刑場へと運んでいく。


途中の廊下でエクドールがハルカを見て辛そうな顔

で見てきたが、何も言わずに顔を背けたのだった。

多分、知っているのだろう。

自分のかつての師匠が何をしてこうなったのかを。


だから、無罪と分かっていたのだ。

それに、まだ16歳の子供がそんな大それた計画を立

てるわけがない。

すると、突然少年がエクドールへと視線を向けると

声をかけたのだった。


「エクドールよ、まだ容体が治らんようじゃったら

 わしの机の引き出しを探るんじゃな……」


真横を通り過ぎる時に、子供の声が聞こえた。

その声は確かに子供の声だった。

だが、それは懐かしい師匠の声のようでもあった。


振り返ると、連行されていく子供の姿が見えた。


だけど、その話方は、昔懐かしい師匠のものだった。

ハッとして見つめると、こちらを見て笑ったのだ。


間違いない。

あれは、あの人だ!


エクドールは愕然とした。


「貴方は………まさか……」


衝撃的な事は、死刑の後で起こった。

民衆の前で一人の子供が死刑となった。


首を落とされるまで、不敵に笑っていた子供。

君が悪いと思いながらも、死刑が執行された。


執行までには、半日かかった。

町中を馬に縛り引きずり回し、ボロボロになった少

年はそれでも、死ぬまで不敵に笑っていたのだった。


とうとう首を落とすとなった時。

彼は、大きく息を吸うと、叫んだ。


「これがこの国じゃ!腐っておる!罪もない人間を

 犯人に仕立てて解決するんじゃ!いつか罪の報い

 を受ける、そうなった時は、民も同罪じゃ!」


その叫びは長くは続かなかった。

死刑台の上で、執行人が剣を振るった。


コロンッと転がった頭を民衆の前に掲げると、

それはいつの間にか老人の顔になっていた。


さっきまで転がっていた胴体も小柄な少年ではなく

年老いた老人のものだった。


それは、呪いのようで、民衆を騒がせたのだった。



処刑場は一時騒然となった。

処刑されたのは、一体誰だったかの?


民衆の恐怖は徐々に国へと向けられていくのだった。


同時刻、牢から出された老人とメノウは自分の家へ

と戻されたのだった。

メノウは自宅謹慎。

ファオニンは……塔へと送り返されたのだった。


大きなため息を吐くと、老人は鏡を見る。

年老いたしわの多い顔がそこに映し出されていた。


「もう、師匠はちゃんと逃げられたんでしょうね…

 もし、逃げ損なってたら、許さないんですからね」


鏡の自分に言うと、すぐに自分で作ったマジックバ

ッグへとありたっけの荷物を詰め込んだのだった。


倉庫にしまっておいた薬も鉱石も、足が早い薬草や

粉末の瓶なども全部詰め込んでいく。


そして使い慣れた錬成鍋や、魔道回路に使う一式。

入るもの全部を入れてもまだ余裕があるようだった。


師匠と一緒にギルドで貯めた金貨も一緒に持って行

くと、ダミー用の鞄を背負った。

マジックバッグは服の裏のくっつけてあるなんの変

哲もポケットだった。


遙のみが取り出す事が出来るようにもしてある。


もし、遙が死ねば誰も取れ出せないものとなってし

まうのだった。


師匠と最後に作ったエリクサーをイーサ殿下に届け

るべきかと考えたが、このままそっと出ていく事に

したのだった。


出来たエリクサーはニ本。

一本を遙が、もう一本は師匠の机の引き出しの中に

入っている。


確か、師匠は引き出しには触れないように言ってい

た気がする。

だから、棚にあった本は全部持っていくが、引き出

しだけには触れなかった。


多分……これでいいのだと思う。

そう思いながら塔を出たのだった。








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