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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第一章 異世界にきてしまった
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16話 イーサの不安

赤の塔の錬金術師は、イーサの前に出ると、弟子達

はその場から距離を取った。

主の客人に敬意を払う為だった。


「お待たせいたしました、イーサ様。この塔の主、

 錬金術師統括、タヒソ・エクドールと申します」

「父君は準男爵だったか?」

「はい、ですが、家督は弟が継ぎましたので、私

 はただのエクドールと……」

「分かった、エクドール。君に頼みたい事があっ

 てここに来たんだ」

「はい、なんなりと…」


イーサは満足そうに笑みをみせるとエクドールを

ともなって城に戻って行ったのだった。


エクドールはこの国では2番目に実力のある錬金

術師だった。

もちろん、頑固ジジイと名高いメルバイト・ファ

オニンを置いての話ではあるのだが……。


青の塔の錬金術師で、もう老人と思いきや最近また

新しい視点で魔道具を作る様になった。

何か心境の変化があったのだろうか?


そんな事を思いながら城に着くまでの間、エクドー

ルにこれからの事を話したのだった。


「では、民の為になる事をすると同時に軍事力を高

 める為の魔道武器作りと言う事ですか?」

「あぁ、僕がこの国を継ぐとまずは、北の脅威にさ

 らされるだろう。そこで戦闘になれば、同盟国で

 あるファルマン公国はいいとしても、アネスタ王

 国がどう出るかわからないからな」

「確かに…最近もまた北の山脈に軍を派遣していた

 と聞きました」

「だろうな……共同軍事演習以外は立ち入りを控え

 るようにという制約があるはずだが…ナニス王国

 はそういう国だからな」


昔は事あるごとに、ナニス王国から攻めて来る事は

よくあったと言われていた。

それが無くなったのは、王妃のアンネが嫁いで来た

頃だっただろうか。


そして、今回メノウがあれだけ傍若無人であっても

不利にならないのは、バックにナニス王国が控えて

いるからだった。


軍事力では、ナニス王国に負けているとは思わない。

が、それでも不安はある。


一度戦いが起これば民達の生活が苦しくなる。

国を滅ぼしたいわけではない。


そして、サボり癖のある傲慢なメノウには任せられ

ないと思うからだった。


「全力でサポートさせていただきます」

「助かる。期待しているよ」

「はい…しかし、メノウ様はどうなさるのでしょう

 民の信頼もなく、今のままでもこちらが有利かと

 思いますが…」

「いや、アンネ様の後ろだてがあるので余裕だと思

 っているのだろう。まともに勉強もしていないと

 聞いている。まぁ、あの人が黙って見ているとは

 思えないがな……」


メノウは大人しくとも、その母親まで大人しいとは

限らない。

昔いたという正妻を殺してその座についたという噂

は嘘か、誠か。


どちらにしろ用心に越した事はなかった。

その日から、エクドールはイーサの部屋に通うよう

になった。


新しい魔導武器の開発に取り掛かりながらも、イーサ

の名声を高める為にと錬金術師達は動き始めたのだ

った。


 





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