14話 マーロ公爵の選択
オスタリア公国の一室に二人の王子が呼ばれていた。
一人は今年17歳になった第一王子でイーサ殿下。
もう一人は16歳になったばかりの第二王子でメノウ
殿下である。
そして、目の前にはマーロ公爵が座っている。
「もう、二人とも成人の儀式は済んでいるから問題
ないのう。此度の遠征でわしも老いを感じての。
いつでも後を継げる様にお前たちには言っておか
ねばならんと思ってな……。次期後継者は………」
「「………!?」」
その言葉に、二人は目を合わせると睨みつけた。
そして、イーサは早々に部屋を退出したのだった。
残ったメノウは父の前に行くと、机を叩いた。
「どうしてですか?俺が相応しいに決まっている
でしょう?俺の方がいい血筋を持って生まれて
来たんだ!」
「メノウ、お前はまだその様な事を言っておるの
か?そんなんだから……まぁいい。下がれ……
此度に事は決定事項だ、変える気はない」
そういうと、控えていた騎士に連れ出されてしま
った。
イーサとメノウの前で言ったのは、これから二人
を競わせるというものだった。
今から3年の間に民に慕われ、大きな功績を挙げた
方に継承権を与え、もう一人には国を出てもらうと
いうものだった。
こんな理不尽な事はなかった。
国の騎士たちは皆、サボりがちなメノウの言う事
など聞きはしない。
そして、高官達もイーサの味方だった。
唯一、貴族達の信頼は、母であるアンネがいれば
動かす事は出来るだろう。
何せ、ナニス王国の血筋を受け継いでいるのだか
ら……。
だが、それだけだった。
騎士も、城の兵士も、誰もがイーサを褒め称えて
いるという。
メノウの話など聞きもしないし、ましてやどこか
へ出かける時も随行すらしない。
いつも青の塔に向かう時も、一人で馬を駆けて行
くのだった。
「3年って何をしたらいいんだよ……」
メノウはむしゃくしゃする時は、いつもの様に自
身の愛馬乗って走る事にしている。
「お前だけは俺を見てくれるんだよな……」
馬は何も言わないし、ご主人に忠実だった。
メノウも、自分に逆らわない愛馬だけは大事に扱
っていた。
今日も、気軽に出かけたのだった。
騎士達の前を横切っても、何も言われない。
そういう態度がどうにも気に入らなかった。
その時、イーサが来ると、騎士達はすぐに駆け寄
っていった。
目の前に膝を付くとニコニコと笑顔でで迎えてい
たのだった。
「なんだよ……あの態度は…」
メノウには向けた事のない態度だったのだ。
素通りする様に通り過ぎると馬に乗って駆け出し
ていた。
それを見送るようにイーサは騎士達と一緒に出か
けると告げたのだった。




