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黒の錬金術師〜異世界に来たからには無双したい〜  作者: 秋元智也
第一章 異世界にきてしまった
13/14

13話 成人

ある日、師匠が街へ出かけると言って、遙を置い

て行った時だった。


塔の外で大きな声が響いてきた。


彼だった。

メノウという名の少年だ。


師匠には、決して出るなと言われていたが、しつ

こく騒がれると、作業に集中できなかった。


「おーい、ジジイ出てこいよ!今日も来てやったぞ」

「……」


ドアに耳を当てて伺うと、再び怒鳴り声が聞こえて

きた。

流石に、遙は煩いと言おうと思うとドアをあけた。


「やっぱり居るんじゃねーか!おう!ジジイ会いに

 来てやった………ん?お前、誰だよ?」

「それはこっちのセリフです。いい加減煩いので、

 その大声を上げるのはやめて下さい」

「なんで子供がいるんだよ」


全く聞いていないのか、遙を見下す様に見下ろした。

確かに身長的にも、年齢的にも下だが、見下される

言われはない。


「人の家の前で煩くする礼儀知らずは、さっさと帰

 ってください」

「礼儀知らずはだとぉ〜?」

「それ以外なら、騒音人間ですか?」

「お前、俺に対してその言い方していいと思ってる

 のか?」

「別に関係ないです。それに貴族なら貴族らしく

 しっかりと振る舞うべきじゃないですか?」


痛いところ指されたのか、メノウは黙ってしまった。

確かに、礼儀作法は習ってはいるが、実際には出来

ていない。


兄のイーサはもうすでに礼儀作法をマスターして

外交の場にも連れて行ってもらっていると聞く。


その事で母も、メノウの事は見放し気味でもあった。

母は今、下の息子であるアンバーを可愛がっている。

昔は、メノウだけという様に甘やかして育てていた

のだが、あまりにいうことを聞かなかったせいか、

もう、興味が失せたかのように見向きもしなくなった

のだった。


そこで、偏屈ジジイと噂される青の塔の錬金術師に

毎回会いに来ては揶揄っていたのだ。


実際は揶揄われているのだが、本人は気づいていない。


「まったく、師匠に突っかかっていく割には、成長し

 ないんですね」

「なにおう?だったら、俺に勝って見せろよ!」


そういうと手に持っていた木刀を抜くと遙へと駆け

出していた。


遙は手に持った瓶の粉を目の前へと投げた。

手に持った魔道具をグッと握ると、涼やかな風が舞う。


「なんだよ……これで目眩しのつもりかよっ!」

「足元に気をつけた方がいいですよ?ほら、蛇がいっ

 ぱいいるじゃないですか!」

「……は?………うわぁぁーー!!」


メノウは一瞬何を言っているんだ?と眉を顰めると

地面に視線をやる。

すると、さっきまで何もいなかった場所にぬるりと

長い蛇がブーツの先に絡みついているのが目に入っ

たのだった。

大声で叫ぶと逃げ惑う。

しかし、どこに行っても無数の蛇がいて、逃げ場

などどこにもない。

木刀を振り回すが、ゆらゆらと避けられて余計に

体にまとわりつく様に増えていく。


「やめてくれっ!助けてくれぇーー!」

「もう、煩くしないですか?」

「しない!しないから、早く取ってくれーーー!

 俺は蛇が一番嫌いなんだぁーーー!!」


『パチンッ!』


という音が響くと、さっきまで辺り一面にいた蛇が

まるで嘘のように消えていた。

そして、目の前にはニヤニヤした真っ黒な髪の少年

が立っていたのだった。


「お前、何しやがった?」

「幻覚香……、どこにでも自生している薬草と鉱石

 で作れる粉ですよ。さっきの言葉忘れたんですか?」

「……むっ……ズルだろ!」

「ズルとは?僕が作った物であれば、ズルではないの

 ですよ」


そういうと、遙は塔の中に入っていった。

メノウは悔しそうにしながらも、少しそのまま止ま

っていたが、そのあと馬に跨り帰っていった。


それからは、師匠がいる時は師匠に絡んでいくし、

師匠がいなくても遙に絡むようになった。


そして月日は流れ、遙も十六歳になった。

この世界では十七歳で成人の儀をするのだという。


「ハルカもあと一年で成人じゃのう。一緒に酒で

 も酌み交わせる日が楽しみじゃのう」

「お酒もいいですが、食事もちゃんと食べて下さい

 よ〜」


前に街に浮浪者が溢れた時があった。

そのあと、国境付近で小競り合いがあったという。


そこに師匠もしばらく呼ばれていた。

戦闘とまではいかなかったらしいが、避難民が押し

寄せたせいで、街に浮浪者が増えたのだと言っていた。


今は、落ち着きを見せているようだった。







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