10話 怪しい動き (10)
結局、会議は穏やかに終わる事はなかった。
半分は破談となって、サードニクスが持ち帰る事と
なった。
そもそも、最初から破談にする為の話し合いだった
のだ。
ナニス王国は戦争に持ち込みたいというのが本音だ。
どんなに抗っても、結果は変わらない。
メノウの姿で見てきたサードニクスは多分嘘は言って
いない。
彼は精一杯メノウと王妃を逃がしたいと思っている。
もし争いが起きれば、国どころではない。
民も、貴族も、王族も。
みんな同じように処刑か、奴隷行きとなる。
イーサはこの国にとってなくてはならない後継者なの
だった。
変わって、部屋に軟禁されているメノウは外に出る事
もできず、ただ一日中部屋でゴロゴロしているだけだ
ったのだ。
それでもナニスの血筋なのだ。
放ってはいけなかったのだろう。
それに、メノウはサードニクスと手紙で通じていた
らしい。
ズボラな性格だったはずだが……こまめな事だ。
そのおかげで今はこうやって情報を聞き出せている
のだから問題ない。
メノウになりすますには、それなりの情報がいる。
メノウの部屋にはいくつもの手紙が無造作に置かれ
れいた。
それを参考にイーサはメノウになりすましていたの
だった。
「あのいい加減な性格は部屋の中にも出ているな」
タヒソと一緒に整理しながらメノウの毛髪を集めつ
つ、漁った結果だ。
今回の話し合いは破談するよう仕組まれていたの
だから、わざわざは話を合わせる必要はない。
アンネ王妃もこのまま国外へ逃すつもりもない。
「父上、アンネ様を部屋に軟禁してはいかがですか?」
「アンネをか?しかしなぁ〜、アンバーもいるのだ。
流石にむげにはできん」
「ですが、彼らは初めからこちらに攻め入る口実を作る
為に来ているのですよ?」
「それでもだ。ファルマン公国とアネスタ王国と手を
組めれば変わるだろう」
「しかし………それは……」
それは不可能ではないだろうか?
イーサはその言葉を一瞬飲み込んだ。
ファルマン公国ならロザリア嬢がなんとかしてくれる
だろうが、アネスタ王国は軍事国家である。
たいして実りのない同盟は結ばないだろう。
技術も、産業もオスタリア公国よりも進んでいる。
劣っている国を助けて何を求めるのか?
誰だってわかっている。
属国にするならまだしも、ただ同盟を結ぶという事
にメリットはないのだ。
だが、属国にするならいっそ攻めてしまえばいい。
王族や最高権力を持つ公爵のマーロと息子のイーサ、
アンバーを殺せば簡単に国が手に入るのだ。
「全く、頭が痛いな………」
考える事だらけだった。




