8話 怪しい動き (8)
ナニス王国の使者として来た大臣も、サードニクス
も、メノウの事は全く疑っていなかった。
歓迎の祝賀会が行われたが、メノウは部屋で軟禁さ
れていると通達してあるので、欠席でも不自然では
ない。
「イーサ様、サードニクス様が、メノウ様と話がし
たいとお部屋に向かったようです」
「部屋には絶対に入れるな。いいな?」
「かしこまりました」
サードニクスを追うように警備を向かわせた。
メノウの部屋には誰であろうと近づけさせるわけ
にはいかないのだ。
それが王妃であろとも……。
「イーサ兄様、メノウ兄様は今もお部屋なのです
か?」
何も知らないアンバーは全く姿を見せなくなった
メノウを気にかけているようだった。
「そうですね。寂しいですよね…ですが悪い事を
してしまったメノウ兄さんは暫くはお外に出る
事を禁じられているので、一緒に出てくるまで
待ちましょう」
「うん、待つ!早くお外で一緒に遊びたいね〜」
「ですね。」
アンバーの無邪気な笑顔に少なからず罪悪感が募る。
イーサは人前ではほとんど飲み食いをしなくなった。
毒殺の件があったのもあるが、それ以外にも何度も
毒を仕込まれた経緯があるからだった。
犯人は毒と思っておらず栄養剤を混ぜた程度だと
思っていたので罪の罪悪感は全く感じていなかった。
「牢の者たちはどういたしますか?」
「殺しておけ。反逆者を生かしておく道理はない」
「かしこまりました」
イーサは非情に見えるかもしれないが、罰せられなけ
ればこれからもこう言う輩がどんどん出てくるだろう。
それを塞ぐ抑止力として処刑は最良だった。
今回は料理長の補佐をやっていた年若い男だった。
小銭を貰って、イーサの食事に栄養剤を混ぜたという。
最近疲れているから、密かに飲ませれば元気になると
上手い口車に乗せられて、知りもしない薬品を混ぜた
というのだ。
「あさはかな考えしか持たぬものなど、この城には
必要ない」
「はい、そのように……」
「あ、それと……代わりに来る者にも目を配って
おいてくれ」
イーサは会場中を見て回り、挨拶を終えると席を
見つけ座った。
本当だったら、メノウと一緒に挨拶回りをするは
ずだったのが、今は一人だ。
「どこでほっつき歩いてるのか………」
窓の外を眺めるが、そこには真っ暗な闇が広がっ
ているだけだった。




